日本の王子ホールディングスは10月10日、ベトナム南部ドンナイ省のロンタイン・ハイテクパークで、無菌充填用の紙製容器を製造する工場の起工式を行った。投資額は1億1,000万USDで、2028年の稼働開始を予定する。年間最大80億個の生産能力を備え、ベトナム国内の食品・飲料市場に加え、東南アジアなど海外市場への供給拠点としても活用する方針である。
年間最大80億個、食品・飲料向け容器を生産
工場は、王子グループの液体食品用包装事業ブランド「Oji Liquid Pak(OLP)」のプロジェクトとして建設される。敷地面積は約5万7,000平方メートルである。
主な生産品は、飲料や液状食品向けの無菌充填用紙製容器だ。工場の生産能力は年間最大80億個を見込む。
今回の投資は、王子グループがベトナムでの事業を拡大する取り組みの一環である。現地に生産拠点を設けることで、顧客に近い場所から専用包装材を供給するとともに、東南アジアやその他の国際市場を含むグループの供給網を強化する。
ベトナムを東南アジアの戦略的生産拠点に
起工式で王子ホールディングスの寺内執行役員は、ベトナムが同社にとって重要な市場であり、東南アジアにおける戦略的な生産拠点としての位置付けを強めていると述べた。
現地生産を通じて、ベトナム国内だけでなく、アジア太平洋地域の顧客に対するサービス向上を目指す。
ドンナイ省の工業団地・経済区管理当局の代表者も、今回のプロジェクトが国内の生産能力向上や地域産業の発展につながると評価した。さらに、ベトナム企業・産業の地域サプライチェーンへの参画を強化する効果も期待されている。
既存の充填設備を活用、導入負担を抑制
OLPは、生産能力の拡大と並行して、資源の循環利用を意識した包装ソリューションの開発を進める。包装材メーカーや消費財メーカーに対しては、拡大生産者責任(EPR)への対応も求められており、回収・リサイクルを含めた取り組みが重要になっている。
同社は、森林資源、紙、包装、リサイクル分野で王子グループが培ってきた知見を活用する。東南アジアでは、技術開発やバリューチェーンの関係企業との連携を通じ、無菌充填用紙容器の回収・リサイクルを促進する取り組みも進めている。
OLPのケスティウティス・スリウザス社長は、包装業界では生産効率、食品安全、設備運用の柔軟性に加え、材料の循環利用を実現する能力が重視されていると説明した。同社は現在の需要に応えるだけでなく、将来的な要件にも対応できる包装ソリューションの提供を目指す。
同社のソリューションの特徴の一つは、市場で使用されているロール式の充填機に対応できる包装材料を提供する点にある。顧客は既存設備を活用できるため、設備の全面的な更新を抑え、導入負担や運用コストの低減を図れる。
顧客は包装材料のみを購入することも、包装材料に充填技術や技術サービスを組み合わせた一括ソリューションを利用することも可能である。
150年以上の歴史を持つ王子グループ、液体食品用包装を拡大
王子グループは、森林資源、紙、包装などの分野で150年以上の事業実績を持つ。2023年には、無菌充填用包装で40年以上の経験を持つイタリア企業IPI S.r.l.を買収し、液体食品向け包装事業の能力を拡大した。
ドンナイ省の新工場は、同グループの地域生産・供給ネットワークを構成する拠点となる見通しである。ベトナムの食品・飲料産業に向けた包装材の供給能力を高めるとともに、東南アジア市場での事業展開を支える役割が期待される。




























