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ベトナムエラー通信簿Vol.28
他人事でない領収書のない取引
食事代は支払ったばかりです

アイクラフトJPNベトナム 西田社長

 領収書がなければ取引が実際にあったのかを証明できません。領収書は取引の真実を担保する大切な書類ですが、簡単な取引では発行が省略されます。私が遭遇したのは、昼食時のレストランでの支払いのトラブルです。

 一緒に食事をした3人が別々に精算しました。二番目の私は、ぴったりの代金をレジの前にを置きました。レジ担当者はすぐにその紙幣をレジに入れたと思いますが、3人目の精算が終わった時に「あなたはまだ支払いをしていない」と言われたのです。

 私の代金は15万VNDでした。財布に5万VND札が1枚だけあり、釣銭がないように払おうとしたことを覚えていました。その5万VND札がないので、支払ったことは間違いないと確信しました。

 そのため私は日本語で反論しましたが、相手はベトナム人です。日本語での苦情は伝わりません。幸い一緒に食事をしていた仲間の一人が、ベトナム語でレジ担当に伝えて支援してくれました。

 レジ担当者は受け取っていないと思っているようでしたが、その日のレジを締めた時まで、判断を待ってもらうことになりました。私の食事代が足りなければ、必ず支払うことを約束し、連絡先を伝えました。その後、幸いにも連絡はありませんでした。

 ベトナムではお客から受け取った現金を、お釣りがある場合でも先にレジに仕舞うことがあります。それはトラブルの原因になります。領収書の発行がない取引は、相手の目を見て支払ったこと、受け取ったことをお互いに認知するから成り立ちます。

 金銭の授受の基本を再認識した出来事でした。

西田俊哉 Toshiya Nishida
アイクラフトJPNベトナム社長。生命保険会社に23年勤務の後、2005年に仲間とベンチャーキャピタル・IPO支援事業の会社を創業し、2007年に初来越。現在は会社設立、市場調査、不動産仲介、会計・税務支援などを展開。