お金を稼げる仕事は「いい仕事」、お金を稼げる人は能力が高い。私も以前はそう思っていました。それなりにお金を稼ぐことができた新卒後の保険会社勤務。しかし、業績を上げるのが第一で、お客が必要でないと思う商品も勧めることがありました。モヤモヤしても、比較的給与が高かったので疑問を突き詰める境地にはなりませんでした。
ところが、早期退職制度で退職金額の誘惑に負けたのが暗転の始まり。転職すると給与は半額、妻からは「だったら私が飲食店を出す」と退職金が妻の店に流れると同時に、私は単身海外に流れることを選択。ベトナムで数年過ごすうちに、お金を稼ぐことの考えが変わっていきました。
清貧な住居に住んで、分相応の生活をしていると、自分にとって何が大切かを考えるようになります。自分のやりたい仕事を選択し、お客のためにサポートできることが意外と幸せなのです。報酬が多いか少ないかではなく、適切な価格設定で相手が満足してくれる仕事ができれば自ずと充実感が得られます。
今の私は会社から与えられた仕事をやっているわけではありません。自分でやりたいと思う仕事を続けています。資金繰りが厳しい時は苦しみを感じることもありますが、社員に継続した仕事が提供できればそれもまた幸せです。
多くの報酬が得られる「いい仕事」を完全に否定するわけではありません。しかし、お金だけでない多様な価値や満足感が得られることも「いい仕事」の条件かなと思います。転職の失敗から考え方を変えるしかなかったからかもしれません。