ベトナムの税務総局(財務省)は、個人事業者の間で広がっている電子インボイス(電子請求書)制度への不安について、「すべての仕入れに電子インボイスが必要というわけではない」との見解を示した。取引内容に応じて法律で定められた適切な証憑(しょうひょう)を備えていれば、経費として認められるとしている。
電子インボイス制度への誤解が広がる
ベトナムでは定額課税制度が廃止され、実際の売上に基づく申告方式へ移行して半年以上が経過した。しかし、多くの個人事業者はいまだ電子インボイス制度の運用について疑問を抱えている。
特に小売業や飲食業、食品販売業では、小規模な仕入先から商品を購入するケースが多く、販売者がインボイスを発行しない取引も少なくない。
こうした事業者の間では、「インボイスがない仕入れは経費として認められないのではないか」との懸念が広がっていた。
購入明細書などでも経費計上が可能
税務局によると、2026年以降の税制では、実際の売上高や電子インボイス、電子データを活用した税務管理が進められるものの、すべての支出に電子インボイスを義務付ける制度にはなっていない。
2026年政令第68号では、個人所得税の課税所得を算出する際に必要な経費は、「実際に事業活動のために支出され、インボイスや証憑、会計法令に基づく書類が備えられていること」が条件とされている。
この「証憑」には電子インボイスだけでなく、会計法で認められた各種書類も含まれる。
さらに、2025年通達第152号では、インボイスを発行しない販売者から商品やサービスを購入した場合には、「商品・サービス購入明細書」やその他の会計書類を証拠書類として利用できることが明記されている。
税務局は、「立法段階からインボイスを発行しない販売者との取引は想定されており、その場合の証明方法も制度上整備されている」と説明している。
インボイス発行義務は販売者側にある
税務局は、インボイス発行の責任は購入者ではなく販売者側にあることも改めて強調した。
政令第123号(2020年制定、2025年改正)では、インボイス発行義務の対象となる販売者は、商品販売やサービス提供時にインボイスを発行しなければならないと規定されている。
一方、販売者が制度上インボイス発行義務の対象外である場合、購入した個人事業者は購入明細書や会計書類を作成・保管することで、税務上の要件を満たすことができる。
「取引に応じた証憑の準備が重要」
税務局は、現行制度は各法令が相互に整合する形で設計されていると説明した。
その上で、「すべての仕入れに電子インボイスが必要だと心配する必要はない。重要なのは、取引内容に応じて法令で定められた適切なインボイスや証憑を準備することである」として、個人事業者に冷静な対応を呼びかけている。



















