ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想第50回
在ホーチミン日本国総領事館

ベトナム南部に住む日本人ビジネスマンにとってお馴染みの在ホーチミン日本国総領事館。その業務内容は意外と知られていないが、昨年の邦人へのワクチン接種で存在感が際立った。150号記念として渡邊信裕総領事に取材した。

日々の信頼から生まれるもの

―― これまで様々な国に赴任されています。

渡邊 ベトナムでアジアは3ヶ国目になりますから、高温多湿の気候には馴染んでいると言えなくはないと思います(笑)。赴任時期が異なるので単純な比較はできませんが、ベトナムには若さと躍動感を感じます。とても活動的な国でこちらも元気になりますし、加えて日本への期待を強く感じます。

 2004~2005年、ハノイとホーチミン市に出張したことがあります。ホーチミン市は夜のイルミネーションが印象的で、同じ国でもハノイとはまた違う都市だと感じました。

 日越は緊密かつ友好な関係にあり、多くの日系企業も当地でビジネスをしています。そんな国で働けることをとてもうれしく思っています。

―― 在ホーチミン日本国総領事館(総領事館)の取組みを教えてください。

渡邊 ベトナムの中部以南、メコンデルタを含む20以上の省市を管轄しており、ここに住む在留邦人の安心・安全な生活の確保が主要な任務の一つです。また、進出日系企業の事業やビジネスのサポートといった企業支援も重要な役目です。

 中には在留邦人の登録がない省もありますが、日本との経済的つながりもあり、可能な限り全ての省市に足を運びたいと思います。これまでは新型コロナの影響で難しかったのですが、今後は積極的に訪ねたいと思っています。

 総領事館ではベトナムと日本の地方自治体の連携の支援もしており、これまで双方で70以上の自治体または関係団体間で覚書を交わしています。その内容は時代の流れの中でビジネス、投資、人材交流、観光促進などと移り変わってきました。

 昨年は新型コロナ第4波の感染拡大に伴い、邦人へのワクチン接種を推進しました。ゴーバップ区の175軍医病院の協力を得て、接種会場での案内や日越語通訳、体制の整備などをサポートしました。9~11月に複数回実施されましたが、不安を抱えられる皆さんの立場になって、丁寧な対応を心掛けました。

 今年の6~7月には第2小児病院と協力して、日本人の子どもを対象にワクチン接種を実施しました。子どもへの接種は成人と違って大きなキャンペーンなどなく、ベトナムで使えるワクチンも不透明でした。

 そんな中、市保健局幹部に会った際に、これまで保護者等から子どもへのファイザーのワクチン接種に対する強い要望が寄せられていたため、接種への協力を直接頼んだのです。すると後日、ファイザーが入手できたとの連絡があり、特別な配慮をしていただきました。

 成人へのワクチン接種でもそうでしたが、越側との間で日々の信頼関係を構築しておくことの大切さを実感しました。

―― 日本はベトナムに経済協力や支援を続けています。

渡邊 日本はベトナムの最大の援助国であり、官民が連携して高速道路、鉄道、空港、港湾、橋梁などのインフラ整備をしています。南部でもチョーライ病院、タンソンニャット国際空港ターミナル、カントー橋など、歴史に残るプロジェクトが数多くあります。

 こうした大型案件のほかに、総領事館主導で地方での草の根レベルの援助もしています(草の根・人間の安全保障無償資金協力)。1000万円以下の比較的小規模なプロジェクトで、小さな病院や小学校の整備、道路や橋の補修などで、1年に5~10件あります。

 地方省市に広く募集をかけ、応募してもらうのですが、徐々に認知度が上がってきています。大型のプロジェクトはもちろん大切ですが、地域コミュニティの生活環境の整備も日越の関係を高める一助であり、ここに参画できることに喜びを感じます。

来年は全員参加でご協力を

―― 日本の新型コロナ水際対策もあり、ベトナム人の訪日はこれからです。

渡邊 確かに現在は旅行目的は難しい状況ですが、訪日を待ち望んでいるベトナム人は相当数いると思います。そこで、日本の魅力を知ってもらう取り組みを続けています。

 例えば、総領事館の公邸を利用して、日本の地方自治体にアピールをしてもらいました。ベトナムの企業や関係者を呼んで、福島県や山梨県などが観光地や日本酒、名産品を紹介したのです。好評だったため、今後も続けていく予定です。また、首長が来越してトップセールスを行う地方自治体もあり、そうした地方自治体とも引き続き連携していきたいと思っています。

 また、日本への留学経験者が組織する「ベトナム元日本留学生協会」という団体があり、彼らの協力で日本留学のセミナーなどを開催しています。ベトナム人で日本の良さを知る人たちの声は、我々よりもベトナム人に響くとも思います。

 日本語普及活動としては、JCCHのご協力を得て中高生の日本語スピーチコンテストを毎年開催しています。また、総領事館の施設を使って大学生向けの映画上映会も行っています。

 こうした活動を通じて実感したのは、ベトナムの若者の日本への関心は高いが、日本語を話す機会が少なく、日本語の教師も不足していることです。また、新型コロナ禍で対面行事が実施できませんでしたが、ようやく最近在留邦人の協力で茶道のワークショップを開くこともできるようになりました。今後は本物の日本文化に対面で触れる機会を作っていきたいです。

―― 来年は日越外交関係樹立50周年という記念の年です。

渡邊 是非皆さんと一緒に盛り上げていきたいです。その準備のための実行委員会が立ち上がり、50周年事業に認定する活動を始めており、ロゴマークも一般公募し現在策定中です(取材時)。

 基本コンセプトは「手に手をとって未来へ世界へ」です。単なる祝賀事業ではなく、日越外交の50年の軌跡を振り返り、今後の50年を視野に入れた、両国が世界に飛躍するための礎を築く事業としたいです。日本とベトナムは「広範な戦略的パートナーシップ」の下で良好な二国間関係を築いており、対等なパートナーシップでの事業を目指します。

 ACCESSの読者の皆さんにお願いがあります。色々なサークルやグループ活動をしている方が多いと思いますので、ぜひその活動を通じても記念事業に参加してください。全員参加型の事業を目指しており、ぜひ協力していただきたく誌面を通じて呼びかけさせてもらいます。

 日越外交関係樹立50周年という歴史的な年に立ち会うのですから、ぜひ足跡を残していただきたい。プレイヤーは今ここにいる全ての人です。わからないことがあれば総領事館にご連絡ください。

―― ベトナムの日本人ビジネスマンにメッセージをお願いいたします。

渡邊 昨年は新型コロナで大変ご苦労されたと思います。特に第4波以降は厳しい社会的隔離や操業規制があり、大変な思いをしたと思います。今年はウィズコロナとなって経済や投資は堅調に伸びていますが、それでも日々ビジネス活動を行う中では様々な困難に遭遇されるでしょう。

 その際にはできるだけ支援をしたいと思っておりますので、ぜひご相談ください。皆さんは日越関係を支える大きな柱です。これからの活動に大きな期待をしています。

在ホーチミン日本国総領事館(Consulate General of Japan in HCMC)
渡邊信裕 Nobuhiro Watanabe
外務省に入省後、インドのマドラス(現:チェンナイ)総領事館、オーストリアのウィーン国際機関日本政府代表部、フィリピン大使館、米サンフランシスコ総領事館に海外勤務。2020年6月に在ホーチミン日本国総領事に着任。