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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第22回
NTTコミュニケーションズベトナム

2001年に設立されたNTTコミュニケーションズベトナムは、主に日系企業が顧客のICTプロバイダーだ。大きく様変わりするベトナムで、今後はセキュリティのニーズが高まるなど、館社長は先を読む。

新型コロナでトラフィック増

―― ベトナムの通信事情について聞かせてください。

館 ベトナムにはVNPTやViettelなどの通信キャリアがあり、大手のFPTソフトウェアを初め多くのSI企業もあります。こうしたSI企業は弊社の競合でもあるのですが、国全体の技術力はグローバルレベルで見て上がってきており、今後も進んでいくと思います。

 外資系企業は独自の通信回線を持てませんので、弊社はVNPTViettelなどと提携しながらネットワークサービスを提供しています。1回線ですとダウンしたときに通信が止まってしまうので複数の通信キャリアと提携し、冗長構成を実現しています。彼らとお客様との間に入って常にシステムを落とさない等の対策しており、きめの細かい対応や品質の高さが弊社の強みです。

 お客様は日系企業が多く、業種は製造、流通、金融、サービスなど様々です。おかげさまで顧客数は増えて、事業も拡大しています。

―― ソリューションの提供ということですね?

館 はい。オフィスや工場にネットワーク環境を提供するだけでなく、自前のデータセンターを運営し、サーバーを構築・運用し、ソフトウェアやアプリのカスタマイズや保守も行っています。コンサルティングをすることも多いです。

 例えば、財務管理システムを導入するとします。動かすためにはサーバーを構築し、ソフトウェアを入れて、業務内容に合わせたカスタマイズも担当します。ソフトはハノイ本社に置いて、ホーチミン市支社とつないで使うなどもありますので、ネットワークも含めて構築します。

 海外拠点と連携したサプライチェーンマネジメントシステムですと、システムに障害が起これば部品などの物流が止まりますから、サーバーにバックアップを取るなど様々な対応策を施します。いわば、トータルソリューションとしての構築、運用、保守をするわけです。

―― 以前は海底ケーブルが原因の通信障害がありました。

館 ベトナムをつなぐ海底ケーブルの数は多くないですし、古いケーブルもあります。我々も与えられた環境の中で、冗長化(余裕を持った安全性の向上)をしっかりと続けてきました。技術力とノウハウで止まらないシステム構成を作るということです。

 海底ケーブルによるトラブルは減っていますが、最近ではトラフィック(ネットワークの中を流れる情報量)がかつてないほど上昇しています。要因は主に新型コロナウイルス感染で、テレワークやビデオ会議が増えているからです。これはベトナムだけでなく世界的な傾向であり、トラフィックはまずます増加していくはずです。

 新しい回線を敷設するなどの抜本的な方法はすぐに取れないので、データの送信を効率的に行う技術を使ったり、送信するデータに優先順位を付ける設定をしたりすることで、状況の改善を実現します。

 また、遠隔での業務が増えるとセキュリティの設定も必要になります。外部から安全に社内システムにアクセスするためのファイアウォールや、ルーターの設定変更などで、お客様からのご相談も増えています。

増加する通信系のニーズ

―― ベトナム経済の動きは御社にどう影響しますか?

館 従来はEPEなど製造輸出型の企業が主流でしたが、近年は旺盛な国内消費を狙った、外資系企業のサービス業への参入が相次いでいます。こうしたグローバル企業は世界レベルでのIT環境を求めるので、その知見がある弊社にはチャンスだと思います。

 具体的なビジネスとして伸びそうなのはセキュリティ分野で、特に市場が急成長しているEコマース(EC)での個人情報管理や漏洩対策です。この分野は全般的にまだ対応が遅れており、個人や企業の関心も高まっていくと思います。

 EC以外では企業内のセキュリティで、そのひとつは社内システムからの情報漏洩対策です。機密データへのアクセス権限の設定やパスワード等のセキュリティポリシーといった仕組み作りです。もうひとつは外部からのサイバー攻撃対策で、ベトナムではこれによる被害がとても大きいのです。

 NTTグループにはNTTセキュリティという、全世界でのセキュリティのノウハウを持つ会社があります。これらの技術やノウハウをベトナムでも展開でき、ネットワークサービスとセットでのご提供もできます。セキュリティに敏感な方が増えてきたと思いますし、弊社も注力していきます。

―― なるほど。他にも変化はありますか?

館 デジタルトランスフォーメーションが進むと思います。単にITを使って業務を効率化するのではなく、デジタル技術で事業を強化するということです。

 わかりやすい例ではレストランでの注文があります。タブレットPCとシステムを使って、店員の接客から顧客によるタッチパネル操作に変えれば、コストや注文のミスが減り、収集したデータの活用もできます。大規模な事例ですと、工場の生産設備の稼働データを収集し、ビッグデータ分析をして、最適化された稼働に修正するなどもあります。

 NTTグループは2019年7月にグローバルビジネスの再編があり、NTTコミュニケーションズ、NTTが買収した南アフリカの大手IT企業Dimension Data、先ほどのNTTセキュリティなど約30社の機能を統合したNTTリミテッドがイギリスのロンドンに設立されました。ベトナムでもこれらの集約した叡智を、弊社を通じてお客様にご活用いただけます。

―― お仕事が忙しくなりそうですが、組織運営はいかがでしょうか。

館 弊社には大きく分けて構築と運用の技術部門と営業部門の3つがありますが、マネジャークラスのベトナム人はいるものの、経営層はまだ少ないのです。そこで、見込みのある人材にポジションを与えて部下を持たせ、経営幹部を育成しているところです。

 ベトナムは活気があって前向きな国であり、勤勉で素直な人が多いと感じています。確かに様々なことが重なっていますが、伸びているこの国ですから、喜んで忙しくなりたいですね。

NTT Communications (Vietnam) Ltd.
館 秀樹 Hideki Tachi
大学卒業後にエヌ・ティ・ティ株式会社に入社。主にグローバル事業に関わる営業、経営企画、人事、営業企画、マーケティング部門などを経験。2017年10月に初の海外赴任でベトナムに着任して現職。