ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第30回
横河ベトナム

大型プラントを中心に計測・制御機器などを納入する横河ベトナム。数多くのプロジェクトに参加する一方で、新型コロナの影響も受けている。新規顧客の獲得と日本のソリューション展開を図るために赴任した、谷口社長が語る。

今は「事業拡大」に集中

―― 御社の事業内容を教えてください。

谷口 グローバルで共通になりますが、横河電機では「計測、制御、情報の技術」を結集し、産業用の計測機器や制御機器、アプリケーションなどを、ソリューションと共に提供しています。お客様は非常に広範囲でして、石油、ガス、電力、化学、紙パルプ、鉄鋼、医薬、食品などの業界です。

 特に「Upstream」と呼ばれる上流工程における流体の扱いに強みがあり、ベトナムでは製油所、化学プラント、ガスプラントなどの多くのプロジェクトに参加しています。

 簡単に言いますと、プラント内を流れる石油やガスなどを自動で制御し、コントロール室などで管理する機器やシステムの導入です。取得したデータを活用しての生産効率化やコストダウンも提案しています。

 お客様は売上比率でベトナムのローカル企業が約7割、日本およびタイ、台湾、韓国などの外資系企業が約3割です。ただ、製造業を中心に弊社工業計器などを多く使っていただいているので、こうした企業を含めればお客様の数は何千社になります。

―― 谷口さんは初めての日本人社長と聞きました。

谷口 はい。2003年に駐在事務所、2006年に現在の現地法人を設立して、これまではシンガポール人やマレーシア人が社長を務めていました。ベトナムへの進出が増えた日系企業様からの受注獲得や、日本式ソリューションの海外展開を目指して、5代目で初めての日本人社長として赴任しました。

 横河電機は機器などの製品力に加えてサービス力と、プロジェクトの遂行能力が特徴です。特に日本においてはソリューションの提供が一般的であり、実現可能なエンジニアが弊社におりますので、ベトナムでも浸透させたいと考えています。

 また、弊社のプロジェクト業務はスケジュールが長いこともあって、「受注」と「売上」を分けて考えます。例えば、この3年で売上が約2倍になっていますが、それは2018年の受注が増加したことで2019年の売上が伸びたことも理由です。現在は新規案件の獲得のためにも、日々ベトナム全土を飛び回り活動しております。

―― プロジェクトの受注は入札で決まりますか?

谷口 そうです。石油や化学のプラントが主力ですから、商社やEPCの(設計、調達、建設を一括して請け負う)プラントメーカーと似ているかもしれません。ただ、ちょっと変ったところもあります。

 ベトナムの電力系プロジェクトでは韓国系のプラントメーカーが強いのですが、彼らが受注したら機器は韓国で調達するのが普通です。すると、ベトナムの弊社ではなく、韓国横河電機に発注されたりします。また、どの企業に決まったらどんなメーカーやサプライヤーから調達するのかも、何となく想像できるようになります。

これからはバリア・ブンタウ

―― 新型コロナの影響はいかがですか?

谷口 やはり厳しいですね。総じて大型プロジェクトが延期となって、機器の納入が進んでいません。受注は増えていても売上は下がっている状態です。入国制限で外国人技術者が来られないため、最終的な投資の決定が遅れていることも理由です。

 また、特に新型コロナの影響を受けている石油やガスのお客様では、定期メンテナンスの実施時期見直しや修理予算削減等により、弊社のビジネスが受ける影響も大きいです。ベトナムに限らず東南アジアだけを見ても、2020年は前年の水準に届かないでしょう。

―― ベトナムで注目していることは何でしょう?

谷口 産業発展と共に電力不足が懸念される中、ベトナムは石炭火力発電からガス火力発電へ移行する転換期にあります。その中でガス開発事業、LNGターミナル建設、ガス火力発電所建設の動向、さらにはグリーンエネルギー産業にも注目しています。

 実際にも電力などエネルギー関連の大型案件は多いのですが、私が赴任して約4年の間に実行されたプロジェクトは少ないです。

 2020年は新型コロナが発生して仕方がない面はあるものの、もう少し産業発展のスピードを上げていかないと、今後の需要が満たせない可能性があると感じます。

 ベトナムは経済成長率の数字がもてはやされますが、経済規模はまだ小さく、GDPにしても一人当たりGDPは上昇の途上です。また、輸出産業中心に発展していますが、コアになる自国の産業が育っていないことも気になります。

―― では、ベトナムのアドバンテージとは何でしょうか?

谷口 ひとつは「アジアのへそ」とも言われる絶好のロケーション、もうひとつは高い教育水準に裏付けられた優秀な人材です。立地が良くて人材が揃っているから輸出のための生産拠点となり、現在も工場移転が進んでいるのでしょう。

 ポテンシャルは大きい国ですので、この2つをどううまく活かすか、どうやって経済スピードを上げていくかが、今後の発展のカギになると思います。我々にも何かの協力ができないかと考えています。

 例えば、消費者の嗜好が著しく変化する中、食品業界のお客様のさらなる生産最適化や、医薬品の輸入から国内生産へ移行していく過程での課題解決のお手伝いをしていきたいと思っています。

―― 今後の戦略や計画について教えてください。

谷口 重工業の産業地帯としてタインホア省、クアンガイ省、メコン南部エリアなどを注視していますが、中でもバリア・ブンタウ省に期待大です。弊社の駐在員事務所もあり、今後の主戦場の1つとみなして人材を投入していく予定です。この後、まさにブンタウでの打合せに行くんですよ(笑)。

 業種としては引き続きエネルギー関連が多いですが、先ほどの食品や医薬などのライフサイエンス分野、サプライチェーンの裾野が広い化学業種にも積極的に参入したいです。

 ベトナム全国で弊社のスタッフは約100人おり、新型コロナの影響もあるでしょうが、2020年の離職率は3%以下と安定しています。その仲間たちと一緒にベトナムのお役に立ちたいですね。

YOKOGAWA VIETNAM
谷口 剛 Takeshi Taniguchi
大学卒業後、横河電機株式会社に入社。主に紙パルプや食品関連分野での計測・制御機器やアプリケーションなどの営業職に携わる。海外初赴任で2017年4月に現職となり、ベトナム支社初の日本人社長に就任。