学校のトイレは、付属施設とみなされることが多く、一部の学校ではトイレが無かったり非常に不衛生なために、子供たちがトイレに行くことを避けるようになり、衛生モラルの低下や様々な病気の発生につながることが懸念されている。
中部高原地域の学校で子供たち用のトイレを建設するための調査を実施したホーチミン市第1小児病院のチューン・フー・カイン医師によると、中部高原地域では少なくない学校でトイレが設置されておらず、トイレが設置されている学校もぼろぼろの状態で子供達のニーズを満たしていないことが分かった。ある学校ではトイレを設置したが、水を引き込むことが出来ていなかったり、ある学校ではトイレが放置状態で荒廃しており、子供たちが怖がって近づかないというケースもある。「しかし、視察を通じて最も悲しかったのは、多くの学校で子供用のトイレの設置が忘れ去れているのに教員用のトイレはしっかり設置されていることでした。」とカイン医師は話す。
都市部でも学校のトイレは、完全に整備されているとは言えず、ましてや中部高原地帯や農村部では、トイレの建設費用不足や水道の不備などによって子供たちはより不利な立場に置かれている。多くの地方では学校が建設されても必要不可欠であるはずの子供用のトイレの建設には関心がもたれていない。
ホープ財団の展開する「学校の衛生環境改善」プロジェクトの調査によるとソンラー省の一部の地域では、多くの学校でトイレが設置されていないか、設置されていても非常に簡素なものしかない。多くの学校のトイレが劣化しており、衛生面と安全基準を満たせていない。この地域の学校のトイレにはトタン屋根と壁しかないものや草ぶき屋根の小屋のようなものもある。電気や水道はなく、浄化槽すら存在しない。
カイン医師によると、多くの地方ではトイレは、学校の付属施設にすぎず、トイレの有無は小さな問題だとみなされがちだが、実はこれは大きな問題である。品質と安全性が保障されていないトイレは、子供たちの心と体に悪影響を及ぼし、トイレを後回しにする習慣を形成する。多くの子供が汚いトイレに恐怖心を抱くようになるのだ。
「汚いトイレを怖がるのは、子供達がきれいなトイレに行きたいと考えるからです。あまりにも汚すぎると子供たちは恐怖を覚え、あえてトイレに行こうとしなくなります。実際、多くの子供がトイレに行けないので学校に行くのを嫌がります。この状況が長引けば子供たちは排せつ行為がトラウマになって公共の場所でトイレに行けなくなります。」とカイン医師は話す。
専門家は、トイレの不足、汚いトイレといった問題が、子供たちの正しい場所で排泄するという感覚の育成に悪影響を与えると指摘している。トイレが無かったり、悪臭や汚れのせいでトイレに行けない子供達は、排せつのために学校周辺の壁や茂みを利用するようになり、周辺環境を汚染する。長い間継続すると、間違った場所で用をたすことが習慣になり、今日のような不衛生な文化が根付いてしまう。
ホーチミン市小児病院のグエン・チャン・ナム副院長は、子供たちが汚いトイレに入ることを恐れて、排せつ行為を我慢するようになるのは、非常に一般的な現象だと指摘する。トイレに行くのを我慢することは、子供たちの健康を害し、学習や遊びにも悪影響を及ぼす。
この状況が慢性化すると子供達は、便秘、腹部飽満感などの症状が出るようになり、更には、膀胱炎、結石、出血、尿路閉塞、腸閉そくなどの疾患に繋がる可能性がある。
出典:12/09/2022 VNEXPRESS
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