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ベトナムニュース【海外】中国からの入国者に対する制限について専門家の意見が割れる

(C) VNEXPRESS

新たな変異株の流行を懸念して、アメリカをはじめ諸外国が中国からの入国者に検査を義務付けているが、一部の専門家はこのような対策は不要で現実認識が欠けていると指摘している。

2022年12月28日にアメリカの疾病予防管理センター(CDC)は、1月5日以降、中国からの入国者に対してCOVID-19 検査を義務付けると発表した。アメリカの発表を受けて、イギリス、イタリア、インド、日本、韓国なども同様の措置を中国からの入国者に適用するとしている。

フランスも中国からの入国者に対して出国前48時間以内の陰性証明書の提示を要求することを決めた。フランス当局は、一部の乗客に対してランダムに検査を実施し、陽性の場合は7日間の自己隔離を要請するとしている。

EUは、一部の加盟国が中国から新たな変異株が流入することを防ぐために空港での防疫措置を強化したことを受けて、1月4日に中国からの入国者に対する共通措置についての会議をおこなうことを決めた。

中国からの入国者に対する措置は、中国政府がCOVID-19 対応措置を緩和し、毎日の新規感染者数の発表を停止したことで、中国国内で感染が広がっていることを受けて実施される。

しかし、一部の感染症の専門家は、アメリカやその他の一部の国が中国からの入国者に適用する防疫措置の有効性に疑問を呈しており、不必要で効果の低い措置だと指摘している。

「オミクロン株が世界中に広がった1年前からPCR検査などの入国制限措置は感染拡大防止に意味がないことは明らかになっています。このような措置は、コストの無駄であり感染拡大を食い止めることはできません。」と香港医科大学のベン・カウリング所長は話す。

ワシントン大学健康指標評価研究所のアリ・モクダッド教授も同様の見解を示す。モクダッド教授は、アメリカの中国からの入国者に対する制限措置が不要なものである理由を3つ挙げた。

「まず、もしこの対策を成功させたいのであれば、アメリカは中国からの入国者だけでなく全ての海外からの入国者に制限措置を適用する必要があります。中国人観光客は他の多くの国に入国可能なため、それらの場所で新たな変異株が発生するリスクがあります。なのになぜ中国からの入国者に限定して規制するのでしょうか?」とモクダッド教授は疑問を呈す。

2番目の理由としてモクダッド教授は、中国で流行しているCOVID-19 の変異株はアメリカでも既に確認されており、北京では今のところそれ以上危険な新たな変異株が確認されていない点を挙げた。

「ではなぜアメリカは中国からの入国者を不安視しながら、アメリカ国内では、ある州から別の州へ移動する人に検査を義務付けないのでしょうか?」とモクダッド教授は話し、「パンデミックの初期にニューヨークに出現したウイルスは、中国ではなくイタリアからのものだったことを思い出してください。」と付け加えた。

モクダッド教授の主張する3つ目の理由は、入国時の検査がCOVID-19の感染拡大防止に役立たない点にある。これは世界中で猛威を振るったオミクロン株の時に既に証明されている。「オミクロン株の感染力は非常に強力なので、今日陰性だったとしても明日には陽性になっている可能性があり、空港での検査にあまり意味はありません。」とモクダッド教授は話す。

一方で、アメリカや欧州の一部の国が中国からの入国者に制限をかける理由の一つは、中国政府が新たな変異株が出現した際に迅速にゲノム解析データを公表していない点にあるとの声もある。

アメリカの当局者は、中国からの入国者に対する検査方針が決められたのは、人口14億人を抱える中国国内でCOVID-19 が蔓延した場合、新たな変異株が出現する可能性が高いという懸念からだと説明する。これは、多くの医療専門家が不安視しているリスクでもある。

ジュネーブ大学グローバルヘルス研究所のアントニー・フラホート所長は、AFP通信の取材に対して、新規感染者が増えるたびに新たな変異株の出現可能性が高まると語った。「14億人の中国人が新型コロナに曝されることは、新たな変異株の出現可能性を高めるでしょう。」とフラホート所長は述べた。

フランスのリヨン大学でウイルスを研究するブルーノ・リナ教授は、中国が”ウイルスにとっての潜在的な突然変異環境”になる可能性すらあると示唆した。

但し、カウリング教授は、遺伝子解析と感染拡大の中で発生する新たな変異株の監視プロセスは、中国だけでなく世界中の他の多くの国の課題でもあると指摘する。

2021年12月にオミクロン株がヨーロッパとアフリカの一部の国で確認されたとき、アメリカの医療監視システムは、ゲノム解析プロセスの過程で多くの不備を露呈し、入国ゲートでの規制を強化したにもかかわらず入国者からの新たな変異株の流入阻止に失敗した。

中国の多くのSNSユーザーは、アメリカの新たな入国制限を”ダブルスタンダードだ”と批判し、新京報は、アメリカ政府による中国からの入国者に対する検査義務付けの目的は”グローバルサプライチェーンから中国を追い出す”ことだと報じた。

中国共産党の機関紙である人民日報傘下の環球時報は、アメリカを含めた一部の国による中国からの入国者に対するCOVID-19検査強制は、”差別的”な対応だと糾弾した。

しかし、ジョージタウン大学で国際保健規則を研究するローレンス・ゴスティン教授は、アメリカ政府が中国からの入国者に検査を義務付けることは合理的であり、中国政府はこの政策を批判する立場にないと述べた。

「ゼロコロナ政策を緩和して以降、中国では新規感染者数が急速に増加しています。アメリカには、中国からの入国者による感染リスクの評価が完了するまで、入国を制限する正当な理由があるのです。」とゴスティン教授は話す。

ゴスティン教授はさらに、中国政府はほぼ3年間にわたって海外からの渡航者に非常に厳しい入国制限を課しており、今回の措置に対して中国政府が不当に扱われていると不満を述べることはできないはずだと指摘した。

1月3日の記者会見で中国外務省の毛寧報道官は、中国からの入国者のみに対する検査義務付けは”容認できない”として、中国政府は対抗措置をとると述べたが、詳細については明かさなかった。

「このような動きは、台湾問題、新疆ウイグル人問題など多くの問題で二国間関係が悪化している背景もあり、アメリカと中国という超大国間の緊張をさらに高める可能性があります。」とゴスティン教授は分析する。

出典:04/01/2022 VNEXPRESS
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