ベトナムの財務省は、2023年第2四半期に向けて引き続き物価上昇圧力が高まっていることを認識しており、2023年のインフレ率を政府目標の4.5%に近い3.9~4.8%と予測している。
これは、3月24日にレ・ミン・カイ副首相が開催した物価管理指導委員会の会議で、財務省が明らかにした内容だ。
統計総局によれば、3月の消費者物価指数(CPI)は、2月から0.1~0.2ポイント減少したが、前年同期比では、3.4~3.5%上昇している。2023年第1四半期のCPI平均は、2022年同期と比べて4.2~4.3%増となる見込みだ。
2023年第1四半期に物価が上昇したのは、CPIの主要な指標となる商品とサービスの価格が上昇したことが主な理由となっている。例えば、建設資材価格が7.2%上昇したことで、CPIが1.4%上昇しており、食品価格が4.5%上昇したことで、CPIが約1%上昇した。
一方で、ガソリン価格は11%下落し、ガス価格が1.8%、郵便・通信料金も0.3%下落したことが、第1四半期のCPI押し下げ要因になっている。
結果として、財務省は不安定な国際情勢と国内の必需品の価格が国際価格に大きく依存していることが理由で、2023年4月並びに第2四半期には、国内の物価上昇圧力が更に高まるとしている。
財務省では、2023年のインフレ率予測のために複数のシナリオを提案しており、年間のインフレ率は3.9~4.8%になると予測している。財務省ではCPIの主要構成要素である、ガソリン、食品(米、豚肉)、電力、建設資材、教育、医療、賃貸住宅などの価格について、上昇や下落の予測をもとに、様々なシナリオでインフレ率を予測している。
財務省では、2023年4月以降は、一定の割合で前月から物価が上昇し続けるが、毎月の消費者物価上昇率が0.52%以内に収まれば、年間のインフレ率目標の4.5%を確保することができるとしている。
財務省の2023年インフレ率予測の基礎となった3つのシナリオに基づき、レ・ミン・カイ副首相は、財務省と関係省庁に対して、インフレ率の予測シナリオをより正確にするために、導入した各パラメーターを慎重に検討、分析するよう指示した。これらのシナリオは、財政政策と金融政策をしっかりとフォローし、インフレ率を当初目標の4.5%以下に抑える必要がある。
統計総局のグエン・ティ・フーン局長は、第1四半期には多くの商品が若干値下がりしたが、それでも価格は依然として高い水準に留まっており、経済成長率は2022年と比べて厳しい状況にあると指摘する。今後、経済の不安定性や国内では制御不能な多くの要因によって物価上昇圧力が高まる可能性があり、医療費、電気代、教育費などについてより厳格な管理と、適切な値上げロードマップの準備が必要だとフーン局長は話す。
教育サービスに関して、教育訓練省の担当者は、政府が2022年-2023年度の学費を2021年-2022年度と同様値上げしないことを決定したため、今年の8月までは学費は値上げされないと述べた。教育訓練省では、関係研究機関と協力して2023年9月以降の学費調整に関する提案をおこなう予定だ。
医療サービス価格に関して、保健省のレ・ドゥック・ルアン副大臣は、2023年7月1日から公務員の基本給が引き上げられるため、医療費も改定されるとの見方を示した。保健省では、診察費、治療費に関する通達草案に関して関係機関へヒアリングをおこなっている。保健省では、医療費を社会経済状況に適した価格に設定すると同時に、公立医療機関の収入を確保し、医療従事者の生活水準を改善できるようにバランスをとる必要がある。
ベトナムは世界におけるインフレ率の高いグループには属していないが、世界情勢は依然として不透明で、原材料の供給と製品の製造に影響を与えている。国内企業も回復の兆しを見せてはいるが、まだ多くの困難な問題を抱えている。レ・ミン・カイ副首相は、各省庁は世界のインフレ率と経済動向を注意深く観察し、国内の物価とインフレ率に影響を与えるリスクについて、速やかに警告を発し、適切な対応策を講じるように指示した。
「最悪のシナリオが発生した場合でも対応策を講じる精神的な準備を怠らず、供給を確保し、生活必需品をはじめ各商品の価格安定を目指す必要があります。」とカイ副首相は述べた。
金融政策に関して、カイ副首相は、インフレを抑制しベトナムの通貨価値を適切な水準で維持するために積極的に管理し、企業の製造活動に影響が出ないようにする必要があると指摘している。
各省庁は、電気、教育サービス、医療などの価格が値上がりした場合の影響を注意深く研究分析し、管轄機関に対して、適切なタイミングとレベルで調整を検討するよう提案する必要がある。
出典:24/03/2022 VNEXPRESS
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