スタンダードチャータード銀行(SCB)は、ベトナムの2023年経済成長率予測を以前の評価から0.7ポイント下方修正した。
5月11日にスタンダードチャータード銀行が発表したベトナムの2023年経済成長率予測は6.5%で、1月に出した7.2%の予測から下方修正された。この理由について同銀行は、外部要因をより慎重に検討し、4月までのベトナムのマクロ経済指標が鈍化していることを反映させたものだと説明している。
スタンダードチャータード銀行によれば、ベトナムは2023年4月までに輸出が12%、輸入が15.4%、前年同期から減少しており、貿易収支は64億USDの黒字となっている。4月の物価上昇率は2.8%で、3か月連続で減少しており、小売売上高が11.5%と大幅に伸びたことで、コアインフレ率が4.6%に上昇した。
海外投資額(FDI)は60億USD弱で前年同期から1.2%減少しており、コミッテッドキャピタルも18%近く減少し、約90億USDとなっている。
スタンダードチャータード銀行のタイ・ベトナム担当エコノミストのティム・リーラハパン氏は、「ベトナム経済は輸入依存という特徴があり、国内消費は依然として増加しているものの、輸入指数の低下は国内産業の活動が低迷していることを示しています」と指摘する。
これまでにもIMF(6.2%から5.8%)、WB(6.7%から6.3%)など多くの国際金融機関がベトナムの経済成長率予測を下方修正しており、ADBだけが6.5%の予測を維持している。2023年のベトナムの経済成長は、世界的な景気低迷、先進国の金融引き締め、物価上昇、地政学的変動の影響を受けるとみられている。
実際、ベトナム政府が設定した経済成長率目標の6.5%は、非常に輝かしいシナリオと考えられていたが、第1四半期の経済成長率が3.32%だったことで、暗雲が立ち込めつつある。
今週の国会常任委員会における社会経済状況に関する会議において、計画投資省のグエン・チー・ズン大臣は、年間6.5%の経済成長率目標を達成するためには、第2四半期以降の各四半期に6.7%~7.9%の高い経済成長率を達成する必要があるとして、この目標達成に懸念を示した。
経済成長率の予測に加え、スタンダードチャータード銀行は、ベトナム国家銀行が第2四半期に金利を5%まで引き下げ、2025年までその水準を維持すると予測している。ただし、同銀行はベトナム国家銀行が経済成長よりも金融市場の安定性を重視して年末に金利を引き上げる可能性も排除できないとしている。
スタンダードチャータード銀行の担当者によれば、2023年初頭からベトナム国家銀行は景気回復支援に軸足を置くようになっている。金利の引き下げに加え、国家銀行は、金融の流動性を高めるために4月から企業の債務返済を最大12か月間、凍結、延期することも検討している。
出典:11/05/2023 VNEXPRESS
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