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~現場医療者に聞く~
海外健康の最前線Vol.03
アジア地域で顕著に発生
世界で邦人死因の1位は「傷病等」

 皆様、はじめまして。SaveExpats保健師の長谷川です。前回の平野先生に引き続き、海外駐在員に対する健康管理についてお話させていただきます。第2回目は「海外駐在員に起こりやすい健康課題」です。

 社会構造のグローバル化に伴い、多くの企業が海外に社員を派遣する時代となっています。皆様もご存知の通り、海外では日本と気候、風土、言語、社会の慣習や文化など、様々な環境が異なっているため、そのような環境下では、日本国内と異なる健康課題が起こりやすいと言われています。

 海外駐在員に起こりやすい健康課題としては、「生活習慣病・慢性疾患の管理」、「緊急対応・急性疾患時の対応」、「過重労働・メンタルヘルス」、「健康診断・事後措置」、「感染症」といったものが挙げられます。

 特に「生活習慣病・慢性疾患の管理」と「過重労働・メンタルヘルス」については、適切な管理がなされないと脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こしたり、メンタルヘルスに不調をきたして長期休業や任期途中での帰任となるなど、ご本人と企業にとって大きな痛手となってしまいます。

 令和4年海外邦人援護統計よると、全世界での邦人の死因1位は「傷病等」であり、特にアジア地域では欧米など他の地域と比べて多く発生している現状です。

 健康管理に関するリスクは発生可能性の頻度が高いため、企業・個人としてはご自身の健康に目を向け、駐在中も継続して日常的な健康管理を行っていくことが重要です。

長谷川佳代子 Kayoko Hasegawa
SaveExpats医療統括本部で海外駐在員への健康支援事業を展開。製造業で産業保健師として労働安全衛生、健康管理、BCM業務に従事。現在は中小企業を中心に産業保健体制の構築支援を行う。