ベトナムで仕事を開始してからおよそ18年が経過しました。僭越ながら長年定点観測してきた身として、直近の「ベトナム人材マーケットのトレンド」について大きく3つをお話しします。
①日本からの還流人材と日本人駐在員との交代。技能実習生に始まり技術ビザで入国したエンジニアなど、日本の労働者不足を受けて多くのベトナム人が日本へ渡航しました。日本で経験を積んだ彼らは数年後、ベトナムに戻って当地での就職を試みます。中には4年制大学に留学して日本人と同じ就職活動を経て、日本で勤務していた方もいます。
経験豊富な人材の増加で日系企業が雇用するベトナム人の層の厚みが増していることは言うまでもなく、日本人駐在員との交代にもつながっています。
②インターネット経由の仕事が増えて給与も急上昇。オフショア開発、翻訳、設計、デザインなど、インターネットを介した仕事やプロジェクトの受発注が容易な時代になりました。この恩恵を受ける業界は漸進的に給与が上昇する他業界と異なり、先進国並みの給与水準に急速に近づく動きを見せています。
③高給を惜しまない高度人材の採用。上記のような動きを受けてベトナムの人件費は急ピッチに上昇を続けています。もちろん工場労働者の賃金は比較的緩やかな上昇カーブを描いているものの、高級マネジメント人材や消費市場の攻略に必要なキーパーソンなどは、日本人の給与を遥かに超えた水準になっています。
低賃金が求められたベトナム人材市場ですが、進出企業のニーズには明らかに大きな変化が訪れています。