今回は変化の激しいベトナムの小売店舗の進出状況から、最新の市場動向を見ていきたいと思います。
まず、成長している業界の一つにドラッグストアが挙げられます。代表的な大手ドラッグチェーンのLong Chauは、2023年3月に約2700店舗だった全国展開数を、2024年4月には3200店舗以上に増やし、約2割の成長を遂げました。これは、健康意識の高まりと医薬品へのアクセスが容易になったことが背景にあります。
次に、コンビニやミニスーパーの店舗拡大も目立ちます。韓国系のGS25が店舗数を約2割増やして250店舗弱に、セブンイレブンやミニストップなどの日本ブランドも店舗数を大幅に増やしており、伝統的な小売市場からモダントレードへの移行が進んだ1年となっています。
さらに、飲食業界の地方都市への進出も顕著です。KFC、Jollibee、Pizza Hutなどの有力チェーンが、ホーチミン市やハノイ以外の地方都市での展開を強化しています。飲食業界では、ホーチミン市やハノイでの店舗数が1700弱と約1割の増加にとどまる一方、それ以外の都市では3割以上の成長を記録しています。
一方、家電業界は苦戦が続いています。ベトナムの大手コングロマリットであるモバイルワールドが展開するDien May XanhやThe Gioi Di Dongなどのチェーンは、急速な店舗展開と業界の不況の影響を受け、過去1年間で数百店舗のリストラを余儀なくされています。
これらの動向からもわかるように、ベトナムの小売業界は非常に変化が激しく、今後も各業界がどのように対応していくのか注目されます。