2025年5月、ホーチミン市とハノイに在学中の大学生200名を対象に実施した調査から、都市部の学生たちのリアルな生活実態が浮かび上がりました。
約7割が地方出身者であり、学業と並行してアルバイトにも時間を割く姿が見られます。中でも人気なのは小売店舗の店員(33%)、ウェイター(29%)、家庭教師(12%)と、比較的柔軟に働ける職種が中心です。
一方で、デジタルの活用も進んでおり、オンラインショッピングを週に1回以上利用する学生は37%、フードデリバリーなどのアプリを週1回以上使う学生は67%に上ります。買い物や食事すらもスマホ一つで完結させる世代であり、彼らの生活スタイルにおいてデジタルは欠かせない存在となっています。
週末や余暇には、SNSやインターネット(96%)を中心に、映画や動画ストリーミング(88%)、音楽鑑賞(86%)といったコンテンツ消費が主流です。移動の少ないインドア傾向が伺えると同時に、趣味もオンライン中心であることが特徴です。
将来のキャリア観については、給与(74%)やキャリア成長の機会(69%)を重視する学生が多く、福利厚生(58%)も関心が高い要素です。また、大企業志向(54%)が中小企業やスタートアップ志向(33%)を上回っており、安定性や成長機会のバランスを求めていることが伺えます。
デジタルネイティブでありながら、リアルな現場でも経験を積む大学生たち。彼らの価値観は、ベトナムの未来の働き方や消費行動を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。
著者紹介:黒川 賢吾 Kengo Kurokawa
Asia Plus創業者兼代表取締役。NTT、ソニー、ユニクロを経てベトナムで起業。ベトナム最大級のオンラインリサーチパネルを利用して年間200以上の調査をこなすリサーチのプロ。
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