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【社会】ホーチミン市の歩道レンタル案に賛否両論

(C) VNEXPRESS

一方は、都市の道路整備資金調達のために歩道を1㎡あたり2万~35万VND(約120円~2100円)でレンタルする案を支持しているが、もう一方はこれが合法的な歩道の占有に繋がることを懸念している。

6月13日にホーチミン市祖国戦線委員会は、運輸局が提案したホーチミン市内の歩道の暫定的な有料レンタルプロジェクト草案に関する会議を開催した。

草案によれば歩道スペースのレンタル料は、駐輪場とする場合は、地域によって1㎡あたり5万VND~35万VND(約300円~2100円)、営業活動をする場合は、1㎡あたり2万VND~10万VND(約120円~600円)とされている。試算によればこの歩道レンタルによって、ホーチミン市は年間1兆5220億VNDの歳入増が見込まれる。歩道レンタルによる収入は、全て車道と歩道の維持管理費用に充てるとされている。

歩道レンタル料金は、エリア1(1区、3区、4区、5区、10区、フーニョン区、ナムサイゴン、トゥーティエム新都市)、エリア2(トゥーティエム新都市を除く旧2区、6区、ナムサイゴン地区を除いた7区、11区、ビンタイン区、タンビン区、ビンタン区)、エリア3(旧9区と旧トゥードゥック区、8区、12区、タンフー区、ゴーバップ区)、エリア4(ビンチャン県、ホックモン県、ニャーベー県、クチ県)、エリア5(カンゾー県)によって下記のように分けられている。

ホーチミン市弁護士会のチューン・ティ・ホア弁護士は、運輸局が立案した歩道のレンタルプロジェクト草案は、法的な規定に沿った提案だと述べた。このプロジェクトによる収入は、ホーチミン市の交通インフラの維持、管理、メンテナンスに必要な資金を確保するのに役立つとホア弁護士は指摘する。

ホア弁護士によれば、現在の道路維持管理予算は、需要の40%しか満たしていない。各区と県が管理している多くの道路で重大な損傷が発生しているにもかかわらず予算不足から修復されておらず、交通安全を脅かしている。歩道レンタルから収益を上げられれば、各自治体は道路修復費用を捻出することができるようになる。

ホーチミン市1区ベンゲー地区祖国戦線委員会のホアン・ティ・ロイ副委員長も歩道の有料レンタルは需要が大きいとして賛成の意向を示した。但し、草案の提案する金額は、市場価格と比べて非常に安価だと指摘する。1㎡あたり2万VND~5万VNDで60㎡を借りた場合、1ヶ月の経費は120万~300万VNDとなる。一方で、駐輪代金は安くても1回あたり5000VNDはかかり、場所によっては1万5000VND~2万VNDもかかる。

「レンタル料金がこのレベルなら駐輪場を経営すれば非常に儲かるので私もやりたいくらいです。この差額による利益は誰のものになるのでしょうか?賃貸契約をしてから又貸しするだけでも儲かりますよ」とロイ副委員長は指摘する。

一方でビンタイン区17地区の職員であるグエン・ティ・ミン・サウ氏は、この会議に参加する前に市内で路面店を経営する企業や個人、屋台の人達に意見を聞いてきたと話す。サウ氏によれば回答してくれた人の80%が歩道の有料レンタルは、時期尚早だと回答している。その主な理由は、歩道の占有が市民の通行に大きな影響を与える可能性があるからだ。そうなれば、道路管理業務に反し、道路交通法にも違反することになる。

サウ氏は、歩道は通行目的のみに使用されると規定されている道路交通法の条文を引用した。もし、暫定的に歩道の使用権を有料でレンタルすることになれば、市民が歩道を占有してビジネスをおこなうことを奨励し、合法化することに繋がるとサウ氏は指摘する。

「これは、歩行者の通行に影響を与えるだけでなく、街の景観を損なうことにもつながります。この草案の審議はもっと慎重に行うべきでしょう」とサウ氏は述べ、歩道の暫定的な有料レンタルは、現状を詳細に調査し、関係者の利益が調和するように調整する必要があると指摘した。

さらに、1区ベンゲー地区の職員であるブイ・ジエウ・タム氏は、調査によればグエンビンキエム通りの屋台の92%が歩道にバイクを停めていると指摘した。これらの店は、歩道を1mほど占拠しており、更にバイクを停めているので、歩行者が通れる幅がほとんどない。

「レンタル料を徴収していなくてもこのような状況なのに、正式にレンタル料を徴収するようになれば、歩行者が通れるスペースは全くなくなるでしょう」とタム氏は指摘し、一部の地域で歩道のレンタルが実施されたが、交通状況は悪化したままで、歩行者が通れる場所がなくなったと付け加えた。

ホーチミン市運輸局のチャン・クアン・ラム局長は、政府の議定によって各省と政府直轄都市の人民委員会は、交通の安全と秩序に影響を与えない範囲で歩道の一部を暫定的に別の目的に使用することが認められていると述べた。そのため、今回の提案にも”暫定的”という言葉が使用されており、歩道自体は依然として歩行者の通行のためにあるとラム局長は説明した。

ラム局長によれば、この草案を立案するにあたって運輸局は国内の専門家へのヒアリングはもちろん、日本、台湾、韓国など海外の大都市の歩道管理モデルを研究してきた。
「歩道の管理は交通だけでなく、都市文化にも適したものでなければなりません」とラム所長は話し、歩道の有料レンタルプロジェクト草案は、市民生活と交通に影響が出ないように慎重に検討する必要があると付け加えた。

出典:13/06/2023 VNEXPRESS
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