ホーチミン市内のオフィスで撤退や移転が増加する中、多くのオフィスビルが家賃の引き下げやプロモーションの強化に追われている。
7月10日時点でフーニョン区、タンビン区および、ダカオ地区やタンディン地区など1区の端のエリアでは、Cクラスのオフィスビルの賃貸料金が10~20%下落し、1㎡あたり15~20USDとなっている。また、数多くのオフィスビルが2㎡あたりの賃貸で1㎡をプレゼント、管理費無料などのプロモーションを実施している。フーニョン区やタンビン区の多くのオフィスビルでこの3か月間に空室率が15~25%上昇しており、Cクラスのオフィスビルのオーナーはこの市場停滞状況が今後も長引くことを懸念している。
AクラスとBクラスのオフィスビルでは、賃貸料の値下がりは僅かではあるものの、退去するテナントは増加傾向にある。CBREのオフィス市場レポートによれば、第2四半期にAクラス(最高級)のオフィスビルの賃貸料は平均45.4USD/㎡となり、前年同期比で1.1%の下落となった。この賃貸料の調整は、一部のオフィスビルが景気低迷状況に適応するために迅速に対応していることを示している。
Bクラスのオフィス賃料は、平均25.6USD/㎡で、前年同期比で0.8%の下落となった。Bクラスのオフィスビルオーナーも空きスペースを埋めるために魅力的な価格提示に積極的であり、特に高層階の価格調整が進んでいる。
CBREの賃貸コンサルティングシステムによる内部調査によれば、第2四半期には移転によるオフィス賃貸取引が全体の60%弱を占めている。経済状況が厳しい中で、多くのテナントはより競争力のある価格帯で高品質な物件への移転を求めているとCBREは分析している。
Cushman & Wakefield Vietnamのオフィス移転状況調査によれば、2023年上半期に退去したオフィススペースの90%は、不動産、IT、銀行関連だった。下半期に向けて、オフィススペースの吸収量はマイナス4500㎡と予測されており、明らかな減衰傾向がみられている。このうち、70%以上を市内中心部から移転する大規模案件が占めている。
一方でJLLは、2023年末から2024年初旬にかけてホーチミン市のオフィス市場は、新たに竣工するオフィスビルとの競争が激化し、既存のオフィスビルは、テナントを繋ぎとめるための価格競争に巻き込まれると予測している。
Cushman & Wakefield Vietnamのチャン・ブイ社長は、企業は財政的な困難に直面しており、コスト意識が高まっていると指摘する。この傾向は2022年末から継続しており、規模を縮小したり、より安い物件に移転したりするケースが増えており、中には完全に撤退するケースもある。
ホーチミン市1区、フーニョン区、タンビン区に所有する12軒のオフィスビルで値下げを実施したSabay Homeのグエン・フー・ティエン社長は、市場の減速サイクルは2022年末から始まり、2023年第1四半期に顕著になり、第2四半期にはさらに強まっていると指摘する。この状況は2023年末まで続くとティエン社長は見ている。
ティエン氏は、現在オフィスを利用しているスタートアップ企業や中小企業から大手企業まで全ての企業がコストを削減し、事業規模を縮小する傾向にあると分析している。
ティエン氏は、2023年下半期から2024年上半期にかけてのオフィス移転や縮小傾向は、経済の回復状況に大きく左右されるとみている。「経済の停滞が長期化するとの予測があるため、オフィス賃貸料は今後も下落傾向が続き、テナント有利な状況が続くでしょう」とティエン氏は述べている。
出典:10/07/2023 VNEXPRESS
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