家庭内暴力に対する新たな行政処分規定が施行
12月15日から、社会秩序・安全、社会悪防止、家庭内暴力防止分野における行政違反の処分を定めた政令282号が施行された。特に、夫婦関係に関わる家庭内暴力行為について、多くの新規定が盛り込まれている。
経済的強要や資産支配に最高3,000万VNDの罰金
政令282号第44条によると、
- 家族に過度な労働を強いる行為
- 能力を超えた金銭的負担を強要する行為
- 家族の資産や収入を管理・支配し、物質的・精神的な依存状態を作り出す行為
これらは2,000万〜3,000万VND(約12万~18万円)の罰金対象となる。
同様に、刑事責任を問う水準に達しない場合でも、
- 家族共有財産や他の家族構成員の私有財産の横領
- それらの財産の破壊
についても、同額の罰金が科される。
さらに、違反者は不法に占有した財産の返還、またはすでに消費・隠匿・破壊された場合には、その相当額を返還する義務を負う。
夫婦間の「経済的暴力」を明確に位置付け
新規定では、従来と同じ罰金水準を維持しつつ、経済的暴力の類型として、
- 夫または妻が配偶者に能力を超える経済的負担を強要する行為
- 配偶者の資産や収入を管理・支配し、依存関係を生じさせる行為
が新たに明確な処罰対象として追加された。
性的暴力に関する規定を独立項目として明文化
政令282号では、性的暴力行為についても独立した規定が設けられた。
第41条によると、刑事責任を問われない場合であっても、
- 配偶者に意思に反して性行為を強要する行為
- 家族にわいせつ行為の演出を強要する行為
は2,000万〜3,000万VNDの罰金対象となる。
また、
- 家族にわいせつな音声を聞かせる
- わいせつ画像や内容を見せる・読ませる
行為については、1,000万〜2,000万VNDの罰金が科される。
加えて、加害者は被害者の要求に応じて、自宅、職場、その他の場所、またはマスメディア上で公開謝罪を命じられる場合がある。
家庭内暴力を黙認・隠蔽した者も処分対象に
新政令では、家庭内暴力を黙認または隠蔽した者も処分対象となった。
従来は「精神的圧力を与える行為」に分類されていた性的強要や身体的虐待について、新政令では違反行為の内容を正確に定義し、より具体的な処分規定を設けている。
家庭内暴力を知りながら、
- 防止できる立場にありながら防止しなかった場合
- 当局に通報しなかった場合
には、100万〜400万VNDの罰金が科される。これは旧規定(警告または100万〜200万ドン)よりも厳格化されている。
家庭内暴力被害者、男性の割合が増加傾向
関係機関の報告によると、2023年の家庭内暴力件数および被害者数は2022年より減少したものの、男性被害者の割合は増加傾向にある。
2023年には、
- 家庭内暴力が発生した世帯:3,122世帯
- 総件数:3,240件
内訳は、
- 身体的暴力:1,520件
- 精神的暴力:1,404件
- 経済的暴力:230件
- 性的暴力:110件
被害者数は計3,193人で、女性2,628人、男性565人であった。
加害者数と処分状況
2023年に家庭内暴力を行った加害者は計3,208人で、
- 男性:2,677人
- 女性:531人
このうち、2,900人以上が何らかの処分を受け、129人は刑事処分となっている。
本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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