リアルタイム統計サイトWorldometersによると、現時点までに全世界で約1億3794万人がCOVID-19に感染し、296万人以上が死亡した。
アメリカの科学者たちは、アストラゼネカとジョンソン・エンド・ジョンソンの開発したCovid-19ワクチンに使用されたウイルスベクター技術が、ワクチン接種後の血液凝固作用に関連しているかどうかに着目している。
ウイルスベクター技術とは、チンパンジーの無害なインフルエンザウイルス(アデノウイルス)にnCoVの遺伝子を組み込んで培養する技術だ。人間にこのワクチンを注射すると、免疫系が病原体を認識して反応するのを助けるタンパク質を作りだすことができる。
アメリカの科学者たちは、ウイルスベクター技術を用いたワクチンが免疫反応としてごく稀に、血栓症を引き起こすという仮説のもと検証を進めている。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのエボラワクチンを含むウイルスベクター技術を使用した多くのワクチンの臨床試験データを分析して、手がかりを探すとしている。
ロシアのスプートニクVワクチンもウイルスベクター技術を使っているが、これまでのところこのワクチンでは注射後の血栓症の発症は報告されていない。
FDAの生物学研究センターのピーター・マークス所長は、血液の凝固作用が全てのウイルスベクターワクチンに共通する問題とは言えないが、これまでに報告された症例に共通点があることは間違いないとしている。
「ジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンで発生したことは、アストラゼネカ製のワクチンで起きたことと非常に類似しています。まだ詳細な声明を出すことはできませんが、これらのワクチンは全てウイルスベクター技術を使用するワクチングループに含まれています」とピーター・マークス所長は話す。
ワクチン接種が進む中、各国の感染状況はどのようになっているだろうか?
アメリカ:
世界最大の感染国であるアメリカでは、これまでに3200万人以上がCOVID-19 に感染し、57万人以上が死亡している。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、ワクチン接種後に血栓症の副反応が6例発生したことをうけて、4月13日にジョンソン・エンド・ジョンソン製のCovid-19ワクチンの使用を一時中断するよう勧告した。これはCDCによる勧告ではあるが、アメリカ政府が各州での同ワクチンの使用を停止する可能性が高まっている。
このワクチンの一時使用停止勧告は、アメリカ国内の多くの州が新たなCOVID-19 の感染拡大に直面しているなかで、ワクチン接種の取組をより複雑化させる可能性がある。しかし、ホワイトハウスは4月14日の声明で、今回の件は、今のところアメリカのワクチン接種には大きな影響を与えていないと発表している。
インド:
インドは世界で2番目に感染が拡大している国で、これまでに1387万人が感染し、17万人以上が死亡している。インドの感染拡大第2波は、昨年半ばに発生した第1波よりも感染拡大スピードが早く、多くの州が厳格な都市封鎖措置を実施せざるを得ない状態に追い込まれている。
インド経済の中心であるマハーラーシュトラ州では、現在感染が急増しており、スーパーマーケット、病院、銀行、証券会社など必要不可欠とみなされる場所を除き、全ての商店、公共施設、集会場所の閉鎖が命じられている。製造業でも、輸出品を製造している工場と必要不可欠な設備を製造している工場を除き、全ての工場が活動停止状態となっている。
インド政府は、今年2月以降に各企業が事業活動を再開し、大勢の人がマスクをせずに密集したことで、感染の再拡大が起きたと説明している。人口13億5000万人をかかえるインドでは、現時点で4億回分のワクチンしか確保できておらず、各州からワクチン不足の声が上がっている。
ブラジル:
ブラジルは、世界で3番目に大きな感染国であり、これまでに約1360万人が感染し、35万人以上が死亡している。
ブラジルでは現在、新たな感染拡大が発生しており、全国の病院が崩壊寸前にまで陥っている。またブラジル政府は、2億1200万人の人口に対して十分なワクチンを確保するのにも苦労している。
感染が拡大し続けているにもかかわらず、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は各地方政府による、都市封鎖やその他の制限措置に反対し続けており、州知事や市長の対応を批判している。4月8日、ブラジルの最高裁判所は、ボルソナーロ政権がパンデミックに対してどのように対処したかについて調査を開始するよう上院に要請した。ボルソナーロ大統領はこれに対して、政府を弱体化させる試みであるとして調査要請を批判した。
フランス:
世界で4番目に大きな感染国であるフランスは、これまでに510万人以上の感染者と9万9000人以上の死者が出ている。フランス国内のすべてのレストランとカフェは過去5か月に渡って閉鎖されている。フランスは今週、急激な感染拡大に対応するため、新たに全国的なロックダウンに踏み切った。
ワクチン接種の拡大は、ロックダウンにうんざりしている市民に若干の希望をもたらしている。現在フランスでは、55歳以上のすべての人がワクチン接種の対象となっている。
イギリス:
イギリスではこれまでに437万人以上が感染し、12万7000人以上が死亡している。
Covid-19の死亡率が世界で最も高い国の1つであるイギリスは、4月12日からパブやレストランの屋外での営業再開を許可し、徐々に希望が見え始めている。イングランド北部のアスクリッグにあるレストランのオーナーであるルイーズ・ポーター氏は「地元の人たちをはじめ、みんなに会えることは、素晴らしいことですよ」と話した。イギリスでは、ヘアサロン、ジム、プールも営業活動を再開している。
かつてヨーロッパで最もCOVID-19 の影響を受けた国であったイギリスは、感染予防対策とワクチン接種キャンペーンが功を奏し、1月以降、感染者数を90%、死者数を95%減少させている。
インドネシア:
インドネシアは東南アジア最大の感染拡大国で、これまでに157万人以上が感染し、4万2700人以上が死亡している。
インドネシア政府は、インドによる輸出制限のために、1億回分のアストラゼネカ製ワクチンを予定通りに入手することが困難になったと発表した。インドネシア政府は、主に中国のシノバック製ワクチンとアストラゼネカ製のワクチンで、1年以内に約2億7000万人の人口のうち1億8100万人にワクチンを接種するという計画を立てている。
インドネシアでは、これまでに少なくとも1350万回のワクチン接種を実施し、人口の1.6%にあたる約443万人が2回目のワクチン接種を完了している。
フィリピン:
フィリピンは東南アジアで2番目に大きな感染国であり、これまでに88万人以上が感染し、1万5000人以上が死亡している。
フィリピンでは、アストラゼネカ製ワクチンによる血栓症の発症例が多くの国で確認されたことを受け、60歳未満のアストラゼネカワクチンの接種を一時停止した。
フィリピンは、中国のシノバック製ワクチンを約250万回分を受け取っており、Covaxプロジェクトを通じて約52万回分のアストラゼネカ製ワクチンも受け取っている。これまでに受け取ったワクチンの殆どが既に接種済みとなっている。フィリピンには、今後数か月以内にさらに300万回分のアストラゼネカ製ワクチンが提供される予定だ。
カンボジア:
カンボジアはこれまでに、4696人が感染し、33人が死亡している。最近のカンボジアでの感染は、縫製工場の従業員と市場の小規模小売店で拡大している。
WHOカンボジア事務所の代表であるリ・アイラン氏は、「カンボジアは、COVID-19 によって国家の悲劇の瀬戸際に立っている」と警告している。「新しい感染例が毎日報告されており、私たちはウイルスとの競争を強いられている。もし感染拡大を止めることが出来なければカンボジアの医療システムは崩壊し、悲惨な結果を招くことになる」とアイラン氏は悲壮感を募らせる。
2月下旬にカンボジアの中国人コミュニティで市中感染が確認されて以降、カンボジアの感染者数は急増している。首都プノンペンの病院は満床状態に陥っており、当局は学校や結婚式場を軽症患者の治療センターに変えて対応している。
出典:14/04/2021 VNEXPRESS
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