ベトナムの不動産市場は、ベトナムの力強い経済発展と世界におけるベトナムの地位によって、今後さらに飛躍する可能性が十分にあるとみられている。
2020年、COVID-19の感染拡大により世界中の多くの国が経済危機に陥る中、ベトナムは、約3％の経済成長を遂げるという世界的に見ても稀有な国の一つとなった。
ベトナム経済のターニングポイント
ベトナムは、過去5年間に渡って主要な経済指標で目覚ましい進歩を記録し、大きな成功を収めてきた。感染抑制に成功し、COVID-19の感染拡大防止と経済成長という2つの目標を同時に達成したことで、ベトナムは有望な投資先とみられるようになった。
国際通貨基金（IMF）によると、ベトナムの経済規模は現在3400億USDを超えており、世界のトップ40に入っている。またエコノミスト誌も、ベトナムを世界で最も成功した新興国トップ16にランクインさせている。
イギリスのシンクタンクである経済ビジネスリサーチセンター（CEBR）は、ベトナムが今後も安定的で一貫した成長を継続することが出来れば、2035年にはベトナムの経済規模がアジアの経済大国である台湾やタイなどを上回るだろうと予測した。ベトナムのGDP成長率は、今後5年間は年平均7％で推移すると予測されており、その後の10年間も年平均6.6％と予測されている。 この経済成長スピードが実現すると2035年までに、ベトナムのGDPは1兆5900億USDとなる。これは現在のGDPの約5倍の数字だ。
2020年末までに、ベトナムに対する外国直接投資額は、新規投資案件、拡張増資案件、株式買収案件など合計で285.3億USDに達した。 2013年から2019年におけるFDIの年間平均成長率は10.4％となっており、ベトナムは世界で最もFDIを誘致している国の一つだと評価されている。国連貿易開発会議もベトナムをFDI誘致で最も成功した12か国の1つと評価している。
新たな発展への推進力
2021年、ベトナムは新たな経済発展段階の入り口にさしかかっている。その中でベトナムの経済成長のけん引役となるハノイとホーチミン市は、今後5年間における短期目標と中長期目標を設定した。
昨年、ホーチミン市の域内総生産（GRDP）は1.39％増加した。全ての経済部門がプラス成長を達成し、ベトナム全体のGDPの22％以上、税収の約27％に貢献し、ベトナム経済の主導的地位を維持し続けた。経済政策、都市計画、インフラ整備は、ホーチミン市の経済発展に貢献するだけでなく国全体の発展に貢献し、不動産分野を中心に外国人投資家からの見たベトナムの地位を高めることに繋がる。
計画投資省のデータによると、2020年11月の時点で、不動産分野に対するFDIは、COVID-19感染拡大の影響があったにもかかわらず、昨年同期に比べて大幅に増加している。不動産に投入されたFDIの合計は38億米ドルに達し、2019年の同時期に比べても15％増加した。四半期ベースでみると2020年第3四半期の投資額は2020年第2四半期と比べて400％も増加している。
都市部の不動産にチャンス
専門家は、オープンな投資環境、安定して成長するマクロ経済、需要と信頼を備えた不動産市場は、ベトナムで利益を求める外国人投資家にとって最も魅力的なセクターの1つであると説明する。特に、日本と韓国を中心としたアジア太平洋地域の不動産投資家は、自国よりもベトナムの不動産により多くのチャンスがあると見ている。そのため、日本と韓国の多くの投資家がベトナム、特にハノイとホーチミン市の2大都市に大きな関心を寄せている。
一方、ホーチミン市の人口は2040年までに1300万〜1400万人、2060年には1600万人に増加すると予測されており、特に中心部において土地不足が不動産価格に深刻な影響を及ぼすとみられている。住宅の供給が限定的でありながら需要が高いため、もしホーチミン市1区に不動産プロジェクトがあれば、予想される価格上昇には非常魅力的なものがある。
サウスチャイナモーニングポストは、中国の投資家がベトナムの不動産の可能性、特にホーチミン市の一等地における可能性を高く評価していると報じている。ベトナムで最も人口の多い都市の住宅価格は上海の浦東新区と同じように、今後10年間で4〜5倍に上昇する可能性がある。それこそが、多くの外国人投資家が、賃貸、購入、譲渡によって高い利益を得るために、高価で稀少な不動産物件を求めている理由だ。
上海の浦東新区とホーチミン市には多くの類似点がある。浦東新区の住宅価格は、地下鉄と空港の稼働にあわせて過去10年で急騰した。ホーチミン市の住宅価格も今後10年間で同じようになる可能性が高いと海外の不動産業者は分析している。
出典：23/03/2021 VNEXPRESS
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