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【新型コロナ】呼吸器専門医、F0、F1などの呼称はもはや適切ではない

(C) VNEXPRESS

呼吸器内科を専門とするグエン・ビエット・ニュン医師は2022年のCOVID-19の感染状況を楽観視しており、F0、F1などの呼称はもはや適切ではなくなるとの見方を示した。

VnExpressは、中央呼吸器病院の院長でありベトナム呼吸器学会の会長でもあるグエン・ビエット・ニュン医師に2022年のCOVID-19の展望について話を聞いた。

 WHOのテドロス事務局長は、2022年はCOVID-19の終焉を迎える年になるかもしれないとの声明を発表しました。先生はこの発表をどのように受け止めていますか?

– テドロス事務局長の声明は、コロナウイルスは突然変異によって様々な株に変異し感染力は強くなるが、毒性は強くならず多くの人が感染しても軽症で収まることで集団免疫を獲得するというコロナウイルスの特性に関する科学的根拠に基づいたものです。更にワクチン接種によって一定程度の免疫力(すべての変異株に対応できるとは限らない)がつくことで感染した際の症状が穏やかになり、ウイルス自体の自然毒性も徐々に下がるでしょう。

実際にデルタ株から現在はより感染力の強いオミクロン株に置き換わりが進んでいます。これまでの状況を見ると新しい変異株ほど感染力は強くなっていますが、毒性は強くなっていません。オミクロン株は多くの変異を起こしており感染力はデルタ株の5倍かそれ以上と評価されていますが、オミクロン株が最初に確認された南アフリカをはじめとした各国の研究によれば、毒性はデルタ株より弱いとされています。

オミクロン株の後にも新たな変異株が登場するかもしれませんが、上記と同様のプロセスを辿ることになり、パンデミックが発生することはもはやなくなるでしょう。また、世界はWHOによって緊急承認された10種類のワクチン開発に成功し、世界各国に85億回分以上のワクチンを提供するという重要な成果を達成しています。

さらに、COVID-19感染者の治療に関しても、現在は圧力が緩和されてきています。ワクチンを接種していない場合、84%の人が無症状か軽症とされていましたが、ワクチン接種後には90~95%の感染者が軽症か無症状となり、自宅での健康観察と適切な治療薬の投与で、治療をすることが出来るようになっています。

特に最近では、抗ウイルス治療薬としてレミデシベル(点滴薬)とファビピラビル、モルヌピラビル、パクスロビドという3種類の経口薬がCOVID-19の治療薬として承認されています。これらの薬を初期段階で投与すると重症化を防ぎ、ウイルス濃度を素早く下げて感染の連鎖を食い止めることができます。経口薬に関しては、病院に入院することなく服用することが可能です。これは、COVID-19による医療崩壊を防ぎ、死者を最小限に抑えるために非常に重要なポイントです。

 ベトナムの感染状況については、今後どのようになると予測しますか?

– ベトナムでは、私たちがCOVID-19の管理と安全で柔軟な対応に関する政府の議決128号と保健省の発行したガイドライン4800号を順守すれば、感染状況は徐々に収束していくと思います。

全ての地方自治体は、感染拡大を恐れすぎるあまり科学的根拠もないままに経済活動を停止させ、社会経済の発展に影響を与えたり、市民生活を脅かしてはいけません。一方で、極端に感染を軽視して感染防止対策をないがしろにすることも非常に危険です。

最近になってクアンナム省でゲノム解析によって14人のオミクロン株感染が確認されました。ハノイでも海外からの入国者でオミクロン株が確認されています。我々には、今後ベトナムでオミクロン株がどのように広がっていくかはっきりとは分かりません。国内と世界のオミクロン株の感染状況をしっかりと追跡管理していくことが重要です。

COVID-19は世界的なパンデミックを引き起こしたので、ベトナムが慎重かつ安全に社会経済活動を段階的に再開させる状況下においては、国内の感染状況とともに、他国の感染状況を注意深く観察する必要があります。最近、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2022年の国連決議における目標を達成するために、世界各国が団結し、先進国は発展途上国の感染防止対策を支援するように呼びかけました。

 先生がおっしゃるような感染収束に向かうためには、どのような対策が必要でしょうか?

– 各地域の感染を積極的に管理するためには、町村レベルでの十分な感染防止対策に焦点を当てる必要があります。我々は、各町村が3つの最も重要な能力を改善することを支援しています。それは、感染状況のモニタリング、自宅および移動式医療ステーションでの治療、50歳以上の高齢者と基礎疾患のある人などCOVID-19感染リスクの高いグループへの充分なワクチン接種の3点です。

まず第一に感染状況のモニタリング能力です。各自治体は、効率的に感染拡大を阻止し、経済を促進させるために、感染がどこで誰に発生し、どのように処理されているかを知っておく必要があります。そのためには、ITシステムのサポートと市民の積極的な医療申告が必要不可欠です。

感染拡大地域から移動してきた人が当局に医療申告をおこなうと、当局は、該当者に自主検査をおこなう権限を与えます。我々はもはやF0やF1といった言葉を使わない方がいいでしょう。そのような言葉は、社会に偏見や罪悪感を蔓延させるだけで、あまり意味がありません。ワクチン接種が進んだことで感染しても症状が出にくくなり病気とは言えなくなるので、誰かがウイルスに感染したら、その人は単に感染者と呼ぶだけでよいのです。

2つ目の重要な能力は、治療管理能力です。現在、COVID-19感染者の90~95%は無症状か軽症なので、町村レベルの自治体は、自宅療養か移動式医療ステーションでの隔離と治療に注力し、残りの5~10%だけが重症の場合、病院へ運ばれます。

これを実現するためには、移動式医療ステーションと地域のCOVID-19対策チームという2つの重要な組織を一つのシステムに統合する必要があります。移動式医療ステーションと地域のCOVID-19対策チームには多くのスタッフが必要ですが、医療従事者は中核を担当するだけで、それ以外は退役軍人、青年団、ボランティアなどが参加することで、医療ステーションや自宅で治療にあたる感染者の治療、隔離、栄養補給、運動不足解消などをサポートします。

隔離条件も柔軟性を持たせる必要があり、自宅に個室があればベストですが、個室が無くても周囲への感染防止対策がしっかりととられていれば、自宅隔離としても問題ないでしょう。

3番目の能力は、50歳以上の高齢者や基礎疾患がある人など感染リスクの高いグループへのワクチン接種状況の管理です。各自治体は、各世帯を戸別訪問して50歳以上でワクチン未接種者のリストを作成し、中でも60歳以上で基礎疾患のある人へのワクチン接種を進める必要があります。このグループへ属する人について、これまで自治体レベルの医療スタッフはワクチン接種による合併症を恐れ、病院でワクチンを接種するように指示していました。しかし具体的な病院を指定していないために、このグループの多くの人がワクチンを接種していません。そのため、保健局は地域にある中央病院を含めた病院に対して対応を促す必要があります。このグループの人については、ワクチンを3回接種して初めて安心できるようになります。

 これまでと異なりF0やF1といった呼称をやめて、各自に自分で検査する権限をゆだねるということは、今後の感染防止対策では市民の果たす役割がより重要になるということですね?

– 市民は、感染を避けるためにワクチン接種と5Kルールによって自分を守る必要があります。しかし、もし感染しても重症化しない、重症化しても死亡しないということが非常に重要です。自分を感染から守ることは家族やコミュニティを感染から守ることにもつながります。

全ての自治体と市民が上記の3つの能力を十分に備えて感染対策を実施すれば、新規感染者数は変わらないとしても重症者や死亡者は減少し、今年のテト(旧正月)は去年よりも楽しいものになるでしょう。

ベトナム政府は、各個人または、各家庭にCOVID-19感染抑制の権限を委託する必要があります。各家庭には少なくとも1人はCOVID-19に関する知識があり、家族の誰かに感染の疑いがある場合や、症状が疑われる場合には即座に検査できる準備を整えておく必要があります。そのために検査キットは市民が市販されているものを購入できるようにしておかなければなりません。

以前は、全ての問題を医療従事者が処理する必要がありましたが、これからは感染防止対策の主役を市民の皆さんに譲りましょう。もちろん、専門的な判断が必要な場合は、医療従事者が診察する必要がありますが。

出典:03/01/2022 VNEXPRESS
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