ベトナム最大級の日越交流フェス、JVF(ジャパンベトナムフェスティバル)が4月17日と18日に、ホーチミン市1区の9月23日公園Bエリアで開催。新型コロナ禍にもかかわらず、2日間の来場者は約22万8000人を記録した。
牛丼、ラーメン、カレー!
新型コロナで延期が続いたJVFがようやく開催された。前回が2019年1月開催なので2年3ヶ月振り、今年で7回目だ。当日は一時的な雨もあったが快晴に恵まれ、2日ともに汗ばむほどの陽気だった。
会場のレイアウトは前回とほぼ同じで、公園のLe Lai通り側は主に日系企業のブース、Pham Ngu Lao通り側には日系に加えてベトナムの文化や観光のブースが並び、その間が屋台街のフードストリート。東端はメインステージとジャパンキャラクターエリア、西端はロータスグループエリアだ。
Le Lai通りの入口を入ると、左手にロータスグループエリアが始まる大きな鳥居があり、まっすぐ行くと日系企業のブースになる。
最初にあるのはゼンショーベトナムの「すき家」で、主力の牛丼やたこ焼き、ドリンク類を販売。続くキッコーマンベトナムは醤油とそれを使った料理を提供。
次が赤くて派手なブースのエースコックベトナムで、Hao Haoなどカップラーメンの自動販売機を設置。多くの種類が選べるのと物珍しさもあってか、若いベトナム人が行列を作っていた。その隣はイエローが特徴的なハウスフーズベトナム。カレーのサンプルを配り、キッチンカーではカレーライスやカレーパンを販売していた。
その先は文具のプラスベトナム、アガタジャパンカフェとでん六は日本の調味料や豆菓子などを販売、アンジメックス・キトクは浴衣を着たベトナム人女性がご飯(コシヒカリ)を配っていた。
アニメキャラやゲームは減少
次からは少々様相が変わり、警備会社のアルソックベトナムセキュリティ、ヘルスメーターのタニタ、Sojaがスキンケア商品などの割引販売と体験コーナーも作っていた。
ちょっと異色だったのは三菱重工業のブース。来場者がサッカーのシュートゲームをする横には業務内容のパネルと、フォークリフトも。その横はロートメンソレータムベトナムで、人気のスキンケア商品の展示とプレゼントのゲーム。
その先はJETROが「Japan Mall Pavilion」を開いており、日本製品ショップのハチハチやアクルヒ、ファミリーマートなどが日本の食品、飲料、調味料、健康食品、日用品、雑貨などを販売。日系商品と入手方法を知りたいベトナム人にとって便利なブースだと感じた。
このパビリオンの前がスポーツ体験エリアで、ネットの中での野球教室。ベトナムではマイナーな球技である野球に興味があるのか、何人もの人が順番を待っていた。
ここからPham Ngu Lao通り方向に歩くと、すぐ右手にジャパンキャラクターエリアがある。ハローキティ、名探偵コナン、ドラえもんのぬいぐるみやキャラクターグッズが販売され、ロッテベトナムやコイケヤベトナムは菓子を配っていた。
残念ながら前回に比べるとキャラクターの数は少なく、子供たちが喜んでいたゲームもなかった。日本からの参加がないためどうしてもブース数は少なくなり、全体で81ブース。それでも盛り上げようとする気持ちは感じた。
ステージのショーが熱い!
ジャパンキャラクターエリアの奥がメインステージだ。2日間行われたのが「ベトナム阿波踊り協会 ロータス連」で、「連」とは阿波踊りに参加する団体・グループのこと。
ステージ上には巨大なモニターがあり、オンラインでつないだ徳島県の踊り手の方々が映る。本場の阿波踊りは迫力満点だ。徳島県知事があいさつし、「47都道府『連』の知事を代表して感謝いたします」と笑顔で語る。最後は観客がステージに上がり、阿波踊りの基本を徳島県の方々から教わって、一緒になって踊った。
今回のJVFの特徴は、リアルなイベントであると同時に、オンライン配信で会場と日本をつないだことにある。この阿波踊りが好例だが、初日の開会式はメインステージと日本との同時開催だったし、北海道の北見・オホーツクエリアとの交流や、平成帝京大学は日本の日本人学生と日本語を勉強するベトナム人とを結んで話してもらうなど、ユニークな試みもあった。新型コロナがなければ、ここまで進まなかっただろう。
メインステージでは朝から夕方まで様々なイベントがあり、前回までは夕方からの日越アーティストによる競演が目玉だった。今回は日本のアーティストが来越できないため、EXILE ATSUSHIやDA BUMPなどはメッセージとプロモーションビデオで登場。次のように語る日本人もいた。
「やっぱり本人が来られないのは残念です。でも、その分だけベトナム人の歌手が目立っていて、前回とは違った充実感がありました」
確かに会場の熱気はいつもと変わらない。ベトナムから出演したMinh HangやDong Nhiといった実力派シンガーたちの歌は素晴らしかった。
ACCESSも屋台で出店?
メインステージ正面から公園中央に向けて芝生が広がり、ここにフードストリートが作られた。まるで縁日だ。串焼き、イカ焼き、たこ焼き、フランク、寿司などの定番や、ビール、ワイン、アイスティーなどの屋台が並んで、人通りが絶えないほど混んでいた。
目立っていたのは人の顔ほどあるイカの姿揚げと、たくさんのフライドポテトのまとめ揚げ、ちょと変わった白いたい焼き揚げだ。
実は今回はACCESSも出店。といっても、市岡製菓ベトナムさんとの合同ブースで、ACCESS本誌を来場の方に配っていいただいた。その市岡製菓さんの人気商品が「白いたい焼き揚げ」で、試食で配ると来場者が集まって好評だった。市岡製菓さんはこう語る。
「フードエリアには常に来場者がいました。昼間より夕方から夜にかけてのほうが、お客さんも注文も多かったですね」
フードストリートの先がロータスグループエリアだ。通りの両側にブース、中央のステージではCoCo壱番屋のカレー試食会など、グループ企業のイベントをしていた。
出展企業は多く、ドラッグストアのマツモトキヨシ、美容品のReFa、お酢の私市醸造、チョコレートのROYCE、蜂蜜製品の杉養蜂園、加工食品の日本水産、森永のマンナビスケット、出汁などのホクト……。
バラエティ豊かなブースが魅力的で、鍋料理や餃子なども提供しており、このエリアは友人同士やカップルなどが多いように見えた。
ベトナムと日本の文化を紹介
Le Lai通りの反対側となるPham Ngu Lao通り側には、旅行、趣味、カルチャーなどのブースが多かった。ヤマハミュージックベトナムはギター、ドラム、キーボードなどを並べてアピール。双日は北海道牛ステーキの試食に若いベトナム人が集まっていた。住友商事はベトナムでの事業を紹介し、その一角では、ベトナムで絵本の普及活動をするMOGU絵本プロジェクトが出展していた。
「絵本の種類は80冊ほどに増えて、今日は絵本の即売会もしています。子供向けに紙芝居もしているんですよ」
コーナンベトナムは店舗での商品を法被姿で販売。明治は日本でのロングセラー「アーモンドチョコレート」を配っており、若い女の子たちが前に進めないほど群がっていた。
その先はしばらく、「ホーチミン市のベトナム-日本友好協会」のブースが続く。アオザイ、折り紙、ベトナムの工芸品などで、餅菓子のBanh Itを作って食べるコーナーも。前の通りではベトナム人のアイドルグループ、虹ユニバースのミニコンサートが観客を集めていた。
その先はJICA、VJU、VJCCの共同ブースで、ホーチミン市メトロのフォトブースや、少数民族衣装の試着体験など。日本政府観光局(JNTO)は浴衣の試着体験やガイドブックを配布。日本の観光地紹介では北海道、岐阜市、変わったところでは東京都の中野区と豊島区があった。
来年に向けて第8回を計画中
2日間を振り返ると、ベトナム人の若者や家族連れを中心に、思ったより人が多かった印象だ。新型コロナ禍で久々の大型イベントだったためかもしれない。JVFのベトナム事務局を務めたAAB Vietnamも次のように感じている。
「来場者22万8000人は予想より多い数字でした。雨季に入りましたが雨もほぼ降らず、大盛況で大成功だったと思います」
来年の第8回JVFの計画は既に進んでいるそうだ。次は入国制限がなく、日本からも自由にこの公園まで来れますように。