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1時間待って数十秒だけ ホーチミン市で「線路沿いカフェ」が人気に

ホーチミン市の線路沿いのカフェで列車を待つ客
(C)THANH NIEN

ホーチミン市の中心部にある線路沿いのカフェで、列車が通過する瞬間を楽しむ客が増えている。

列車が走り抜ける時間はわずか数十秒。それでも、客の中には1時間以上も席に座って列車を待ち、予定時刻を過ぎても現れなければさらに待ち続ける人もいる。

忙しい都市の中で、あえて「待つこと」を楽しむ時間が注目されている。

列車の警笛が聞こえると一斉にスマートフォン

週末、ホーチミン市ビンタイン街区の鉄道沿いにあるカフェでは、線路に面した屋外スペースが多くの客で埋まる。

客はコーヒーを飲みながら友人と話したり、食事をしたりしながら、列車が通過する時間を待つ。時には時計を確認しながら、店員に「列車はそろそろ来ますか」と尋ねる客もいるという。

そして、遠くから列車の警笛が聞こえてくると、店内の雰囲気が一変する。

それまで会話を楽しんでいた客たちが一斉に線路へ目を向け、スマートフォンを手に取る。ほどなくして列車が大きな音を立てながら通過していく。

しかし、その光景はほんの数十秒で終わる。

最後の車両が見えなくなると、カフェは再びゆったりとした空気に戻る。

「待つ時間」そのものが面白い

ホーチミン市工科大学の学生、チャン・グエン・フーン・リンさんは、SNSで列車がカフェの前を通過する動画を見たことをきっかけに、この店を知ったという。

「とても情緒的な風景だと思って、実際に来てみたかった」とリンさんは話す。

屋外のためエアコンの効いた室内より暑いものの、それでも列車を見るためなら十分価値があると感じたという。

リンさんが興味深いと感じたのは、列車そのものだけではない。

列車が来るまで長時間待たなければならないことも、この場所の魅力だという。

普段は何でもすぐに手に入れたいと考えがちな生活の中で、ここでは1時間近く待って、列車が目の前を通過するわずかな時間を眺める。その過程で、普段なら気に留めない周囲の出来事にも自然と目が向くようになる。

「急いで生活していると、すぐに結果を求めてしまう。でも、ここではしばらく待って、ほんの一瞬の列車を見る。そのことで、周囲で起きていることを以前より注意して見るようになった」

そんな感覚が、訪れる人を引きつけているようだ。

普段は「待たされる列車」が週末の楽しみに

同じく週末の訪問先としてこのカフェを選んだグエン・ティエン・ルアットさん(32歳)は、普段からホーチミン市の鉄道を身近に感じている。

線路沿いの道路を日常的に利用しているため、平日に列車を見れば、まず思い浮かぶのは交通渋滞や足止めされる時間だという。

ところが、週末に友人とカフェで過ごしながら、自分から列車の通過時間を待つとなると、同じ列車でも感じ方がまったく変わる。

日常生活では「待たされるもの」だった列車が、休日には「待つためのもの」になるのである。

ルアットさんにとっては、見慣れたホーチミン市の風景が、ちょっとしたリラックス体験に変わる瞬間でもある。

また、線路に近い場所だけに、安全面への配慮も印象に残ったという。

カフェでは客席と鉄道の通路との間に仕切りを設けており、写真を撮るために線路へ近づく必要はない。店員も周囲を見ながら、客が安全な距離を保つよう注意を促している。特に子ども連れの客には注意しているという。

暑くても屋外席 「列車を見るためなら待てる」

ホーチミン市のファムバンドン通り周辺から訪れたマイ・ティ・トゥ・タオさん(29歳)は、これまでダラットやハノイでも列車を眺めた経験がある。それでも、ホーチミン市にも同じような場所があると知り、興味を持って訪れた。

このカフェでは、客は敷地内の席に座ったまま、比較的近い距離を走る列車を見ることができる。

列車が近づく前には警笛が聞こえ、その後、鉄製の車輪が線路を走る音が響く。

初めて体験する人にとってはかなり大きな音だが、それこそが客にとって待ち望んでいた瞬間でもある。

列車が通過すると、大人だけでなく子どもたちも一斉に線路の方向を向く。特に列車が好きな子どもたちは、その瞬間を楽しみにしているという。

もともとは食堂 鉄道を生かしてカフェに

店員のグエン・タイン・ビーさんによると、この場所は以前、コムタムを提供する食堂として営業していた。

その後、カフェへ業態を変更。その際、目の前を鉄道が通るという立地を生かし、列車を眺める体験も店の特徴として打ち出すようになった。

客が増えるのは主に午前と午後で、5~7人程度のグループで訪れるケースも多い。家族連れも少なくなく、子どもを連れて列車を見に来る客もいる。

混雑する日には、子どもを含めて1日100~200人ほどが訪れることもあるという。

もちろん、ホーチミン市の暑さは客にとって無視できない問題である。

特に昼間は屋外席が暑くなるため、店員があらかじめ客に伝えている。それでも「列車を見たい」と屋外席を選ぶ人は少なくない。列車が大好きな子どものために、暑さを承知で一緒に待つ親もいるという。

列車は1時間以上待つことも

列車を目当てに訪れる客にとって、もう一つの問題は「いつ来るのか」である。

通常、列車が1本通過するまでには1時間以上待つこともある。しかも、予定されている時刻と実際の通過時刻が完全に一致するとは限らない。

10~15分程度、早くなったり遅くなったりするケースもあるため、予定時刻を過ぎても列車が現れなければ、客が店員に確認することも多いという。

カフェでは鉄道区域との間に柵を設け、客が線路へ下りたり、列車に近づきすぎたりしないよう店員が継続的に見守っている。

「数十秒のために、1時間以上待つ」。

効率を考えれば、あまり合理的な時間の使い方とは言えないかもしれない。

しかし、何でも短時間で済ませようとするホーチミン市の都市生活の中では、あえて何もせず列車を待つことそのものが、ちょっとした非日常になっている。

コーヒー1杯の代金を払っているにもかかわらず、客が本当に待っているのはコーヒーではなく、目の前を列車が通り過ぎる数十秒なのだ。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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