世界貿易機関(WTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ(Ngozi Okonjo-Iweala)事務局長は、ベトナムの経済発展と国際経済への統合を高く評価し、WTOとルールに基づく多角的貿易体制の「成功例」と位置付けた。
9月12日、インドのニューデリーで開催されたBRICS首脳会議に合わせ、ベトナムのレ・ミン・フン首相がンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長と会談した。双方は、ベトナムの国際経済統合やWTO改革、今後の貿易政策などについて意見を交わした。
WTO加盟から約20年、ベトナムを「成功例」と評価
レ・ミン・フン首相は、ベトナムの国際経済統合におけるWTOの協力と支援を評価するとともに、11月に予定されているベトナムの第3回貿易政策審査に向けたWTO事務局との連携を歓迎した。
また、ベトナムはWTOの議論に積極的かつ責任を持って参加していると説明し、WTOが包摂的でバランスの取れた世界貿易を促進する調整役として、引き続き機能することへの支持を表明した。
さらに、WTOには新たな環境への対応として、デジタル貿易、AI、グリーントランスフォーメーション、気候変動、サプライチェーンの強靭性など、新しい分野を議題に取り込むことを求めた。
一方、WTOのイウェアラ事務局長は、ベトナムの経済発展を「非常に印象的な成果」と評価した。
特に、近年のマクロ経済指標について、ベトナム政府によるマクロ経済運営能力の高さを示していると指摘した。
そのうえで、2007年のWTO加盟から2027年で20年となることを踏まえ、ベトナムはWTOとルールに基づく多角的貿易体制の成功を示す代表的な事例だと評価した。
イウェアラ事務局長は、ベトナムが経済発展と国際統合で蓄積した経験を、他の発展途上国とも共有することに期待を示した。
水産物補助金協定とMPIAへの参加を評価
WTO側は、ベトナムが「漁業補助金に関する協定」を批准したことや、多国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)に参加したことについても評価した。
イウェアラ事務局長は、これらの対応が、ベトナムの多角的貿易体制に対する強い関与と責任を示すものだと指摘した。
ベトナムにとってWTOは、単に輸出市場を確保するための枠組みではなく、国際的な貿易ルールの形成や紛争解決にも関わる重要な制度となっている。
フン首相は、WTOがベトナムの貿易政策分野における人材育成や能力向上、国際紛争への法的対応、貿易円滑化などを引き続き支援することにも期待を示した。
市場・製品・サプライチェーンを多様化
今後のベトナム経済について、WTO事務局長は、ベトナムが市場、製品、サプライチェーンの多様化を進めていることを評価した。
ベトナムはこれまで、外国企業による製造拠点の集積を背景に輸出を拡大してきた。一方、今後は単純な生産・組立拠点としての役割にとどまらず、より高い付加価値を生み出す産業への移行が重要となる。
イウェアラ事務局長も、ベトナムがバリューチェーンのより上位へ移行していることを評価し、特にAI、半導体、マイクロプロセッサーなどの高付加価値製品を挙げた。
これは、ベトナムが「安価な生産拠点」から、技術や知識を取り込んだ高付加価値型の産業構造へ移行することへの期待を示すものでもある。
WTO改革にもベトナムの協力を期待
WTOを取り巻く環境も変化している。
デジタル貿易やAI、気候変動、サプライチェーンの強靭化など、従来の貿易ルールだけでは十分に対応できない新たな課題が増えている。
フン首相は、こうした変化に対応するため、WTOが改革を進め、新たな分野を議題に取り込む必要があるとの考えを示した。
これに対しWTO事務局長は、ベトナムの国際経済統合を引き続き支援するとともに、WTO改革や他国のWTO加盟に向けた取り組みにおいても、ベトナムの協力を期待した。
WTO加盟から約20年を迎えるベトナムは、単に国際貿易の恩恵を受ける側から、多角的貿易体制を支える側へと役割を広げつつある。
今回の会談は、ベトナムの経済統合が次の段階に入り、市場の拡大だけでなく、サプライチェーンと産業の高付加価値化を進める段階に移っていることを象徴するものとなった。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN




























