1999年、1万円札を握りしめて辿り着いた「非日常」のベトナム
1999年、カンボジアとベトナムの国境で、1万円札を見せながらバイクを呼んでいた。ホーチミン市まで5USDだと言うのでバイクにまたがり、何度もバイクを乗り継ぎながら、ブイビエン通りに着いた。
インド人の雑貨屋で降ろされ、ここで1万円を両替しろと言われた。1万円は65USDにしかならなかった。しかも全額ではなく明日残りを渡すと言われたが、その明日はなかった。
5USDをバイクタクシーに渡して、インド人が紹介した民家に泊まった。深夜に警察だと名乗る男たちにドアをノックされ、明日の朝来いと怒鳴ったら静かになった。私の初めてのベトナムだった。
進む駐在員の高齢化——日本の若者はどこへ行ったのか?
縁があったのか、再び仕事で訪れてから8年も住んでいる。知合いになった駐在員と話すと、任期3年で来たのに、「5年いる」とか「6年目です」とか言われる。私の周りだけかもしれないが、任期を延長される人が多くて、赴任者が高齢化している感じがする。日本の若者よ、どこに行ったんだ。
コンプライアンスに守られない社会で得られる「生きる力」
私は何人かの人たちに会った。「わかった」や「できます」と言いながら全然できていなかったり、失敗を失敗と思わず反省も感じられなかったり、仕事を取る時は一転してギラギラ感が高かったり。でも、こんな個性的な人々と交渉した経験があれば、日本のようにコンプライアンスと規律で守られた安全な社会が普通じゃないこともわかる。
新しいワクワク感を胸に、この国を離れる時期が来た
日本の若者に、たくさんこの国に来てほしい。良い経験になると思う。オッサンの私はそろそろこの国を離れる時期が近いと感じている。少しの寂しさと、新しいワクワク感がある。あの日感じた非日常の空間も、今では日常の場所になってしまった。





























