高成長に年2600億USDの資金需要
ベトナムが今後、高い経済成長を維持し、2045年までに高所得国入りを目指すには、巨額の投資資金が必要となる。
BIDVのチーフエコノミストであり、首相政策諮問委員会のメンバーでもあるカン・バン・ルック博士によると、2026~2030年の年間投資需要はGDPの約40%、金額にして約2600億USDに達する見込みである。さらに、気候変動対策やエネルギー転換、デジタルインフラ整備などの追加資金も必要となる。
国内資金は豊富も、銀行依存が課題
ベトナムはGDP比約37%の高い貯蓄率を持ち、資金供給の潜在力は大きい。一方で、金融構造は銀行融資への依存度が極めて高い。
信用残高はGDPの135~140%に達し、新興国の中でも高水準である。企業は不動産から消費、インフラまで幅広く銀行資金に依存している。
しかし、信用拡大には限界がある。仮に年間15~20%の信用成長を維持すれば、毎年数兆VND規模の資金供給が必要となり、インフレや為替、金融システムの安定性にリスクをもたらす。
短期資金で長期投資を賄う「ミスマッチ」
さらに深刻なのは資金の期間構造である。銀行預金の多くは1年未満の短期資金である一方、インフラやエネルギー、都市開発などの投資は5~20年の長期資金を必要とする。
この「期間ミスマッチ」は、金利上昇や資金流出時に流動性リスクを高める要因となる。
資本市場の発展が不可欠
こうした課題を踏まえ、専門家は株式市場や社債市場、投資ファンドなど資本市場の発展が不可欠と指摘する。
国際的にも、持続的に成長する経済は資本市場を通じた資金調達を重視している。米国では企業が株式や債券で資金調達を行い、AppleやMicrosoft、Amazonなどが成長を遂げた。
また韓国は1997年のアジア通貨危機後、社債市場を強化し銀行依存を低減。シンガポールもREITや投資ファンドを活用し、インフラ・不動産分野の資金調達を支えている。
法制度と透明性の強化が鍵
専門家は、資本市場発展の前提として制度の安定性と透明性の確保を挙げる。
具体的には、
- 法規制の一貫性と予見性の向上
- 汚職防止や司法制度の強化
- 信用格付機関や情報開示の充実
- 債券発行における監督強化
などが必要とされる。
これにより投資家の信頼を高め、資金供給の基盤を強化することができる。
長期資金を担う投資家の育成が課題
資本市場の拡大には「資金の出し手」の存在が不可欠である。
年金基金、保険会社、投資ファンド、不動産投資信託(REIT)などの長期投資家を育成しなければ、企業は引き続き銀行に依存せざるを得ない。
専門家は、「長期資金を必要とする経済には、それを支える長期投資家が不可欠だ」と指摘する。
新たな資金チャネルも活用へ
今後は、国際金融センターやカーボン市場、デジタル資産市場といった新たな資金チャネルの活用も期待されている。
また、国営企業の民営化や株式上場の推進により、株式市場の拡大も重要な課題となる。
「資金量」から「資金構造」への転換
ベトナムにとって今後の課題は、単に資金量を増やすことではなく、資金構造そのものを転換することである。
銀行中心の金融システムから、多様な資本市場を持つ構造へ移行できるかが、持続的な高成長の鍵を握る。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



















