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ベトナムのマンション管理費に大きな価格差 高額化とサービス品質をめぐり紛争も

ホーチミン市の高層マンション
(C)THANH NIEN

ベトナムでマンションの管理費をめぐる住民と管理会社、管理組合、開発会社との対立が相次いでいる。

マンション価格そのものと比べれば小さく見える管理費だが、毎月発生する固定費であるだけに、値上げをきっかけとして紛争に発展するケースも少なくない。

一方で、マンションの規模や設備、提供されるサービスによって必要な管理コストは大きく異なる。ベトナムでは現在、管理費を単純に「安いか高いか」で判断するのではなく、サービス内容や運営コスト、財務の透明性を含めて適正水準を考える必要性が指摘されている。

ホーチミン市で管理費の上限引き上げを提案

ホーチミン市マンション管理運営協会(HCMO)が開催したマンション管理政策に関する座談会で、同協会のグエン・ティ・ミー・ヴィエン副会長兼事務局長は、ホーチミン市のマンション管理費の基準額を現在の月7,000VND/㎡から7,700VND/㎡へ引き上げることを提案した。

現在の基準額について、実際の管理コストを十分に反映していないとの見方である。

ただし、実際のマンションでは管理費に大きな幅がある。物件のグレードなどによって、月1万1,000~3万VND/㎡程度の管理費が設定されているケースも多い。

さらに高級マンションでは、その水準を大幅に上回る物件も存在する。

管理費値上げが住民との対立に

管理費の値上げは、ベトナムのマンションで特にトラブルが発生しやすい問題となっている。

ハノイのLancaster Luminaireでは、管理会社が管理費を従来の1万9,500VND/㎡から2万4,300VND/㎡(税別)へ引き上げると通知した。

これに対して新料金が従来の約1.35倍となることで住民側から反発が起きた。管理会社側は、新しい料金を住民が受け入れない場合には建物の管理・運営業務を終了するとしており、双方の対立が表面化した。

ホーチミン市のThe Sun Avenueでも、管理費を1万1,000VND/㎡から1万2,100VND/㎡へ引き上げたことをめぐって、住民と管理組合との間で紛争が発生した。

共用部のバイク駐車料金も従来から100%引き上げられたことから問題が拡大し、最終的には地元当局や関係機関が対応に乗り出した。

高級マンションでは月数千万VNDも

一方、管理費の水準は物件によって極端な差がある。

ホーチミン市のGrand Marina Saigonでは、管理費が月約26万VND/㎡に達するとされる。

100㎡の住戸であれば、管理費だけで月約2,600万VNDとなる計算である。51㎡程度の比較的小さな住戸でも月1,300万VNDを超える。

なお、これらの金額には自動車やバイクの駐車料金は含まれていない。

Empire Cityでは管理費が月2万5,000~3万5,000VND/㎡程度、Metropole Thu ThiemではVAT込みで月3万8,500VND/㎡程度となっている。

Metropole Thu Thiemでは、インフィニティプール、ジム、屋上庭園、24時間対応のフロントなど、ホテルやリゾートに近いサービスを提供していることから、管理会社側は料金が高い理由を高水準のサービスにあると説明している。

一方、My Phucでは月5,000VND/㎡、My Longでも月5,000VND/㎡程度と、低い料金で管理運営されているマンションもある。

つまりベトナムでは、マンション管理費が月5,000VND/㎡から26万VND/㎡まで大きく開いている。

管理費は「安ければよい」のか

では、適正な管理費とはどの程度なのか。

不動産管理会社Promanのグエン・タイン・クエンCEOによると、必要な管理費はマンションの規模や設備、サービス水準によって変わる。

マンションでは、警備、清掃、エレベーター、排水処理、消防設備、発電機、技術設備などの維持管理が必要になる。

さらに、24時間体制で技術スタッフを配置する必要がある物件もあり、受付や警備などのサービスを充実させれば、それだけ人件費も増える。

特に住戸数が少ないマンションでは、建物全体の維持管理に必要な固定費を少ない住戸で負担するため、1㎡当たりの管理費が高くなる場合もある。

したがって、単純に「管理費が安いマンションほど優れている」とは言えない。

透明性の不足が紛争を招く

一方で、管理費が高いこと自体が問題なのではなく、その金額が何に使われているのかが分からないことが住民との対立を生む大きな要因となっている。

専門家によると、日本などマンション管理が成熟した国では、管理制度や関連法規が比較的明確に整備されている。また、住民側にも管理費が必要となる理由について一定の理解があるため、料金をめぐる紛争が比較的少ないという。

管理運営に関する財務報告を透明化することも、トラブルの抑制につながる。

ベトナムではマンション市場が急速に拡大してきた一方、管理運営についてはまだ制度や市場の成熟が追いついていない部分がある。

低価格競争がサービス低下を招く懸念

HCMOのグエン・ズイ・タイン副会長は、タイやマレーシアではマンション管理費を実際の運営コストや法的義務などに基づいて算定しており、管理会社の単純な価格競争だけで決めているわけではないと指摘する。

重要なのは、最も安い料金ではなく、必要なサービスを維持し、労働法や税務上の義務を守り、財務を透明化できる料金水準だという。

ベトナムでは、新規参入した小規模な管理会社などが契約獲得のために低価格を提示するケースがある。

しかし、過度な低価格は人件費の削減や社会保険、税金などの負担を避けることにつながる可能性がある。

その結果、サービス品質が低下するだけでなく、法令を順守する大手・経験豊富な管理会社が価格競争で不利になるという問題も生じる。

マンション市場の成熟に向けて

ベトナムの都市部ではマンション居住者が増加し、マンションは単なる住宅ではなく、数百~数千世帯が暮らす一つのコミュニティーとなっている。

そのため、警備や清掃、設備保守、消防などを安定して維持するためには、一定の管理コストが必要となる。

一方で、住民が納得できる料金設定とするためには、管理会社側が費用の内訳を明確にし、どのようなサービスにいくら必要なのかを説明することが欠かせない。

ベトナムのマンション市場が成熟していく中、今後は「管理費が高いか安いか」という議論だけでなく、料金とサービスのバランス、管理会社の法令順守、そして運営資金の透明性がより重要なテーマとなりそうだ。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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