ベトナム各地で大雨や洪水による被害が相次いでいる。中部では熱帯低気圧の影響による大雨で、24時間雨量が500mmを超える地点が相次ぎ、今回の降雨の累積雨量が700~800mmに達した地域もある。
一方、南部では大雨に加えて高潮が重なり、ホーチミン市やメコンデルタで浸水が発生している。今後も中部では大雨が続く見通しで、南部でも高潮による浸水への警戒が必要となっている。
中部で24時間雨量が500mm超、累積800mmに達する地域も
9月13日夜、熱帯低気圧がハティン省からクアンチ省にかけての地域に上陸し、その後ラオス中部方面へ進んだ。当初予想された台風6号には発達しなかったものの、ベトナム中部には非常に強い雨をもたらした。
9月13日午後までの24時間雨量は、クアンチ省ターロンで566mm、フエ市のラオチャン水力発電所流域で543mm、アルオイで527mmを記録した。
今回の一連の雨を累積すると、700~800mmに達した地域もある。
長時間にわたる大雨によって、フエ市、ダナン市、クアンチ省では各地で浸水や土砂災害が発生している。
フエ市ではノン川の水位が上昇し、フンロック地区の一部で広範囲に浸水した。ダナン市でも浸水や土砂災害が発生しており、ホーチミン市方面と中部を結ぶホーチミン道路西支線でも被害が確認された。
各地では当局が住民の避難支援や被害の復旧にあたっている。
中部では15日まで大雨続く見通し
ベトナム国家気象予報センター(NCHMF)によると、熱帯低気圧そのものは通過したものの、その後も周辺の気流の影響で、タインホア省からクアンチ省にかけて広い範囲で大雨が続く見込みである。
15日までの雨量は150~350mmが予想され、局地的には500mmを超える可能性がある。
さらに14~15日にかけては、北部中部・平野部にも雨域が広がる見通しである。ソンラ省、フート省、トゥエンクアン省、ラオカイ省南部などでは70~150mm程度、局地的には200mmを超える雨が予想されている。
NCHMFは、熱帯低気圧の影響により、雷雨や突風、強風にも注意するよう呼びかけている。
大雨によって都市部や工業団地、低地では浸水が発生する可能性があるほか、山間部では河川の増水、小規模河川の洪水、鉄砲水、土砂災害のリスクが高まっている。
ホーチミン市は大雨と高潮が重なる
一方、南部では大雨に加えて高潮が重なり、別の形で浸水リスクが高まっている。
ホーチミン市では9月12~13日、旧暦8月初めの高潮がピークを迎えた。南部気象台によると、サイゴン川のフーアン観測所とトゥーザウモット観測所では、いずれも高潮位が警戒レベル3を上回った。
特に13日夕方から夜にかけては、朝よりも高潮位が大幅に高く、大雨も重なったことで浸水被害が拡大した。
高潮のピークが週末と重なったため、通勤・通学などで外出する人が平日より少なく、影響が一定程度抑えられたとみられている。
ただし、高潮はピークを過ぎてもすぐには水位が下がらず、週明けにかけても高い状態が続く見通しである。高潮と大雨が同時に発生することによる浸水リスクは、16日ごろまで続く可能性がある。
メコンデルタでは高潮、雨、上流からの流入が重なる
メコンデルタでは、さらに複数の要因が重なっている。
高潮に加え、局地的な大雨や上流から流れ込む水が同時に発生しているためである。
メコン川上流域に近いタンチャウとチャウドックでは、洪水と高潮の影響によって水位が上昇している。
9月12日朝の最高水位はタンチャウで3.52mとなり、平年同期の平均を0.23m上回った。チャウドックでは3.11mとなり、平年同期を0.17m上回った。
上流域では警戒レベル1程度にとどまっているものの、中流域から沿岸部では高潮や大雨が重なり、多くの地点で警戒レベル3を超えている。
9月12日午後にはカントー市のハウ川で水位が2.13mに達し、警戒レベル3を約13cm上回った。水路や排水設備から水があふれ、低地の道路などで深刻な浸水が発生している。
ミートゥアン観測所でも高潮位が2.13mに達し、警戒レベル3を33cm上回った。
アンザン省では低地や河川沿い、堤防の外側にある地域、ドンタップ省、ビンロン省、カントー市でも低地や河川沿いを中心に浸水への警戒が必要となっている。
また、浸水地域では堤防や土手の弱い部分が崩れる可能性もあり、当局は警戒を呼びかけている。
メコン川上流の洪水は今後さらに上昇か
南部水資源計画研究所(SIWRP)によると、今回の熱帯低気圧はハティン省からクアンチ省にかけての中部に上陸し、メコン川下流域にも雨をもたらした。
ただし、降雨は比較的強かったものの範囲が限定され、雨が続いた時間も長くなかった。このため、メコン川本流のクラティエ観測所では、水位は今後やや低下するものの、引き続き高い状態が続くとみられている。
一方、メコンデルタ上流部のタンチャウとチャウドックでは、今後2~3日間、水位がさらに上昇する見込みである。
予測では、今回の洪水期で最も高い水位となる可能性があり、タンチャウで3.55~3.60m、チャウドックで3.15~3.20mに達する見通しである。その後は高潮の影響を受けながら、徐々に変動が小さくなり、水位は低下するとみられている。
2026年の洪水期、今後も熱帯低気圧に警戒
2026年の洪水期について、国内外の関係機関は今後も注意が必要とみている。
特に10月中旬ごろまでは、南シナ海で台風や熱帯低気圧が発生する可能性があり、中部などで大雨をもたらせば、メコン川下流域やメコンデルタ上流部の水位を押し上げる可能性がある。
今回の大雨では、中部で大規模な降雨による洪水や土砂災害が発生する一方、南部では大雨と高潮、さらにメコン川上流からの流入が重なった。
地域によって水害の要因は異なるものの、大雨、河川増水、高潮が同時に重なることで、都市部から農村部まで浸水リスクが高まっている。
ベトナムでは雨期の終盤に向けても、地域ごとの気象と水位の変化を注視する必要がありそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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