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ベトナムの法人設立・駐在事務所設立ガイド|現地法人と駐在事務所の違いを解説

ベトナムの法人設立・駐在事務所設立ガイド|現地法人と駐在事務所の違いを解説

ベトナムでのビジネス展開を検討する際、最初に直面するのが「現地法人を設立するか、駐在事務所を設置するか」という選択です。両者は法人格の有無から、できる活動の範囲、税務上の扱いまで大きく異なります。

ACCESSを運営するLAI VIEN(ライビエン)は、ベトナムでの法人設立・駐在事務所設立を数多く手がけてきました。本記事では、両者の違いから、それぞれの設立の流れ、必要書類、2026年の法改正のポイントまで解説します。

目次

  1. 現地法人と駐在事務所、何が違うか
  2. 現地法人設立
  3. 駐在事務所設立
  4. 設立にかかる期間の目安
  5. よくある質問
  6. おわりに

現地法人と駐在事務所、何が違うか

現地法人駐在事務所
法人格ありなし
営業活動可能原則不可
主な活動販売・製造・サービス提供など市場調査・事業機会の開拓・本社との連絡など
銀行口座開設可能開設可能(売上入金口座としての利用は不可)
税務・申告法人税等の申告が必要税務・申告関連の対応が必要(後述)
活動期間原則50年。一定の場合は70年まで設定可能で、条件を満たせば延長可能原則5年。更新可能
設立にかかる期間の目安業種・条件により変動(後述)2〜3ヶ月程度

まず市場調査や事業機会の把握から始めたい場合は駐在事務所、実際に販売・製造等の事業活動を行う場合は現地法人、というのが基本的な使い分けです。ただし駐在事務所では、販売契約の締結や輸出入取引など、収益を伴う営業活動を行うことはできないため、将来的に事業展開を予定している場合は、当初から現地法人での進出を検討した方がよいケースもあります。

現地法人設立

現地法人設立は、製造業・商社・サービス業など幅広い業種で行われています。

現地法人設立の手続きの複雑さは、事業内容によって大きく異なります。ベトナムの投資法では、外国投資家の市場アクセスが制限される業種(条件付き投資分野)が定められており、該当する業種では、投資登録証明書(IRC)取得の際に関連当局の意見聴取など、追加の審査が発生することがあります。対象業種がこうした条件付き分野に該当するかどうかは、個別の確認が必要です。

IRC・ERCとも、事業内容や出資構成によって必要書類が異なりますが、主に以下の書類を準備します。

IRC(投資登録証明書)申請時

  • 投資家の資格を証明する書類(法人の場合:登記簿謄本等、個人の場合:パスポート等)
  • 投資プロジェクトの提案書(事業内容、投資規模、実施場所、実施期間等)
  • 投資家の財務能力を証明する書類(親会社の財務諸表、銀行残高証明書等)
  • 事業所在地の使用権を証明する書類(オフィス・工場の賃貸契約書等)

ERC(企業登録証明書)申請時

  • 企業登録申請書
  • 会社の定款
  • 出資者名簿(発起人株主・外国投資家である株主を含む)
  • 出資者・法定代表者のパスポート(または登記事項証明書)の公証写し
  • IRC(取得済みの場合)

日本側で準備する登記簿謄本・財務諸表等は、日本の公証役場・法務局での公証手続きに加え、外務省の公印確認、駐日ベトナム大使館(領事館)での認証が必要です。

現地法人設立は、一般的に以下の流れで進みます。

  1. 投資登録証明書(IRC)の取得:投資登録を管轄する当局へ投資プロジェクトを申請。審査期間の目安は15営業日程度ですが、条件付き投資分野に該当する場合はさらに時間がかかります
  2. 企業登録証明書(ERC)の取得:IRC取得後、企業登録を管轄する当局に申請。審査期間の目安は3〜5営業日程度
  3. 社印作成・銀行口座開設:ERC取得後、法人印を作成し、必要な銀行口座の開設手続きを進めます
  4. 資本金の払い込み:ERC発行日から90日以内に、資本金口座へ出資金を送金
  5. 税務登録などの初期手続き

2026年3月施行の新投資法(143/2025/QH15)第19条第2項により、外国投資家はIRCの取得前に現地法人(経済組織)を設立できるようになりました。 同年3月31日には、この制度を実施するための政令96号(Nghị định 96/2026/NĐ-CP)も公布されています。

ただし、政令96号では制度の枠組みが示された一方、IRC申請の期限や、IRC取得前に行える活動の範囲など、実務上確認が必要な点も残されています。また、銀行によっては、資本金の送金に必要となる直接投資資本口座の開設時にIRCの提示を求める運用が続いているため、ERCを先に取得しても、IRCがない段階では資本金の送金など、その後の実務を進めにくいケースがあります。そのため、現時点ではIRCを先に取得する従来の流れが実務上の基本となっています。制度の運用は今後変わる可能性があるため、着手前に最新の状況をご確認ください。

また、実質的支配者に関する情報の提出を求める制度も導入されています。出資比率25%以上の保有者など、該当するケースでは、設立準備の早い段階で必要な情報を整理しておくとスムーズです。

駐在事務所設立

駐在事務所は、市場調査、事業機会の開拓、本社との連絡窓口としての活動が中心です。販売契約の締結や輸出入取引など、収益を伴う営業活動を行うことはできません。一方で、ベトナム人の雇用、銀行口座の開設、事務所・住宅の賃借は可能です。ただし銀行口座は、事業上の売上入金口座として利用するものではありません。

駐在事務所設立許可申請にあたり、事務所候補地を管轄する当局へ、主に以下の書類を提出します。

日本側で準備する書類

  • 駐在事務所設立許可申請書
  • 本社の登記簿謄本(発行後6ヶ月以内)
  • 本社の決算書等、財務状況を確認できる書類(直近1期分)
  • 本社定款
  • 代表者のパスポート(公証コピー)
  • 取締役会議事録(駐在事務所設立の決議、必要な場合)

現地で準備する書類

  • 事務所賃貸契約書(賃貸物件が事務所使用のライセンスを有していることの確認が必要です)
  • 委任状(設立申請用)
  • 誓約書(営業活動を行わない旨を記載したもの)
  • 駐在事務所代表者任命状

日本で準備する公的書類(登記簿謄本・決算書等)は、日本の公証役場・法務局での公証手続きに加え、外務省の公印確認、駐日ベトナム大使館(領事館)での認証が必要です。

許可書取得後、以下の初期手続きが必要です。

  • 税務登録(税コードの取得)
  • 社印作成
  • 銀行口座開設(収益を伴う営業活動を行えないため、事業上の売上入金口座として利用するものではありません)

駐在事務所自体に法人税の申告義務はありませんが、代表者・従業員の個人所得税の源泉徴収・申告や、当局への年次活動報告書の提出など、設立後も継続的な対応が必要です。

駐在事務所の活動可能期間は原則5年です。継続する場合は更新手続きが必要になります。また、本社や駐在事務所の名称・住所・活動内容、駐在事務所代表者などに変更があった場合は、内容に応じて所定の変更手続きが必要です。

設立にかかる期間の目安

  • 駐在事務所設立:日本側の書類準備から許可取得まで、2〜3ヶ月程度が一つの目安です
  • 現地法人設立:IRC取得(15営業日程度)+ERC取得(3〜5営業日程度)が中心ですが、条件付き投資分野に該当する場合や、書類の準備状況によって、実際にはこれより長くかかることが多く、数ヶ月単位を見込んでおくと安心です

実際の期間は、業種、事業内容、書類の準備状況、当局の審査状況によって変動します。

よくある質問

Q. 現地法人と駐在事務所、どちらを選べばよいですか?
まずは市場調査や事業機会の把握から始めたい場合は駐在事務所、実際に販売・製造等の事業を行う場合は現地法人が基本的な選び方です。将来的に事業展開を予定している場合は、当初から現地法人を検討することをおすすめします。

Q. 現地法人はどんな業種でも設立できますか?
製造業・商社・サービス業など幅広い業種で設立されていますが、業種によっては外資規制や条件付き投資分野に該当し、追加の審査が必要になる場合があります。

Q. IRCを取得せずに、先に法人を設立することはできますか?
2026年3月施行の新投資法とその施行政令(政令96号)により、制度上は可能になりました。ただし、銀行によっては資本金送金用の口座開設にIRCの提示を求める運用が続いているなど、実務上の制約から、現時点ではIRCを先に取得する流れが基本となっています。今後の運用状況によって変わる可能性があるため、着手前に確認することをおすすめします。

Q. 駐在事務所は将来的に現地法人に切り替えられますか?
駐在事務所を自動的に現地法人へ転換する制度はなく、あらためて現地法人設立の手続きを行う必要があります。将来的な事業展開を見据えている場合は、当初の進出形態を検討する段階で考慮しておくとよいでしょう。

Q. 事業内容の登録(業種コード)は、後から追加・変更できますか?
現地法人の登録時には、VSIC(ベトナム標準産業分類)に基づく業種コードを選定する必要があります。登録後に事業内容を追加・変更することも可能ですが、そのつど変更手続きが必要になるため、将来展開しうる事業も見据えて、当初の登録段階である程度幅を持たせておくことをおすすめします。

おわりに

現地法人と駐在事務所は、法人格の有無から活動範囲まで大きく異なり、どちらを選ぶかによってその後の手続きも変わってきます。また2026年の新投資法施行により、現地法人設立の手続きにも変化が生じています。

LAI VIENでは、事前調査の段階から設立手続き、設立後の初期対応まで、ホーチミンを拠点にサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。

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なお、「自社で対応するか、専門会社に依頼するか迷っている」という方には、「ベトナムの法人設立・駐在事務所設立を依頼できる会社は?選び方とサポート内容」もあわせてご覧ください。依頼先を選ぶ際に確認しておきたいポイントを解説しています。


本記事の内容は2026年9月時点の情報に基づいています。制度は改正される場合があるため、実際の手続きにあたっては最新の情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

著者紹介

桜場伸介
1999年よりベトナム・ホーチミン在住。ベトナム進出支援を手掛けるLAI VIEN CO., LTD代表。27年以上にわたりベトナムで企業の進出・事業運営を支援している。労働許可証をはじめ、外国人のベトナムでの就労・滞在に関する実務にも携わる。

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