ベトナムで、過去に事業を行っていたものの現在は営業していない個人や企業について、税務上の手続きが完了していないことを理由に、出国時に問題が生じるケースが出ている。
特に注意が必要なのが、税務当局から「登録された住所で活動していない」と判断された納税者である。
2026年7月から新たな規定が適用され、こうした状態にある場合、税金を滞納していなくても、一定期間内に納税者番号の回復または終了手続きを行わなければ、出国一時停止の対象となる可能性がある。
10年前に廃業した事業が出国時の問題に
ハノイ在住の女性は最近、オーストラリアに住む兄がベトナムを訪問した際、帰国時に突然、出国を一時停止されたケースを紹介した。
兄は約10年前に宿泊施設・ゲストハウスの事業を停止していた。当時、営業許可に関する手続きを終えたため、税務上の手続きも完了していると家族は考えていたという。
しかし、実際には個人事業の納税者番号を終了する手続きが完了していなかった。
兄が6月にベトナムへ帰国した際、家族が税務情報を確認したところ、70万7,000VNDの税金の過払いが確認された。本人は返還を受けない手続きを行ったため、その後の出国に問題が生じるとは考えていなかったという。
ところが、オーストラリアへ戻ろうと空港の出国審査を受けた際、過去の個人事業に関する納税者番号の終了手続きが完了していないことを理由に、出国一時停止の通知を受けた。
その後、ハノイ市税務当局が状況を処理し、本人はオーストラリアへ戻るための手続きを進めることができた。
「税金を払っているのに出国できない」ケースも
税務をめぐる出国一時停止については、最近、税務関連のオンラインコミュニティーでも不安の声が相次いでいる。
ホーチミン市のある男性は、電子税務システム「eTax」で自分の税務情報を確認したところ、身に覚えのないハノイの企業が表示され、約750万VNDの税金を滞納していることになっていたという。
その企業の税務状態は「登録された住所で活動していない」とされる「状態06」で、法定代表者とされている男性には出国一時停止の措置が取られていた。
この男性によれば、税務当局に問い合わせると警察へ行くよう案内され、警察に相談すると税務当局へ行くよう言われたという。
また、本人の身分情報を無断で利用して企業が設立され、その企業の税務上の問題によって法定代表者の出国が一時停止されたとするケースも報告されている。
長期間放置された会社・個人事業にも注意
問題となっているのは、最近設立された企業だけではない。
20年以上前に兄弟から頼まれて自身の情報を使って企業を設立したという男性もいる。
その企業は事業がうまくいかなくなった後に営業を停止したものの、正式な閉鎖手続きを行わないまま長期間放置されていた。
現在、税務当局が納税者番号のデータ整理を進めていることから、本人も出国への影響を懸念しているという。
海外出張で年に数回出国する人にとっては、空港で初めて出国できないことが判明すれば、航空券やホテルのキャンセルなど、業務面・金銭面の影響も大きい。
税金を滞納していなくても出国停止の対象に
今回の制度変更で特に注意したいのが、「税金を滞納していなければ出国停止にはならない」とは限らない点である。
従来は、個人事業主や個人事業世帯の代表者、企業などの法定代表者について、登録住所で活動しておらず、かつ一定の税金を滞納している場合などが出国一時停止の対象となっていた。
しかし、2026年7月1日から適用されている新制度では、登録住所で活動していないことを税務当局が確認し、その旨を通知した納税者について、一定期間内に必要な税務手続きを行わない場合も対象となる。
具体的には、税務当局が「登録された住所で活動していない」と通知した後、120日が経過しても、納税者番号の回復または納税者番号の終了手続きを行わなかった場合、出国一時停止の対象となる。
つまり、税金の滞納額があるかどうかだけでは判断できないということである。
「状態06」とは何か
税務上の「状態06」とは、納税者が登録した住所で活動していない状態を指す。
2026年8月に税務当局が発出した文書では、企業、協同組合、個人事業、個人事業世帯などについて、状態06の場合の出国一時停止および解除の手続きが示されている。
特に重要なのは、状態06であっても、それだけですぐに出国一時停止になるわけではないという点である。
税務当局による「登録住所で活動していない」という通知が行われ、その後、定められた期間内に納税者番号の回復または終了手続きを行わなかった場合に、出国一時停止の対象となる。
また、税務当局は出国一時停止に先立ち、原則として30日前までに、電子税務システムを通じて「出国一時停止措置を適用する予定」であることを通知するとされている。
過去に事業をしていた人は税務情報を確認しておきたい
今回の制度で注意が必要なのは、現在ベトナムで事業を行っている人だけではない。
過去に個人事業を営んでいたものの正式な終了手続きをしていない人、過去に設立した企業を長期間放置している人、あるいは自分の身分情報を使って企業を設立したものの、その後の状況を把握していない人なども対象となる可能性がある。
特に海外へ頻繁に出張する人にとって、出国直前に問題が判明する事態は避けたいところである。
ベトナムで過去に事業を行った経験がある場合は、現在の納税状況だけでなく、納税者番号がどのような状態になっているのか、過去の企業・個人事業の終了手続きが正式に完了しているのかを事前に確認しておくことが重要である。
税務当局による納税者番号のデータ整理が進むなか、過去の事業を「もう何年も前にやめたから関係ない」と考えるのではなく、税務上の登録状態まで確認する必要性が高まっている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



























