ベトナム政府は2027年の実質国内総生産(GDP)成長率について、10%以上を目指す方針を示した。レ・ミン・フン首相は10月17日、国会第16期第2会期の開会にあたり、2027年を経済成長の加速と飛躍を図る年と位置づけ、マクロ経済の安定やインフレ抑制と両立させながら、高い成長目標の達成を目指す考えを表明した。
2026年1~9月のGDP成長率は9.01%
フン首相は政府の経済・社会報告で、2026年は高い経済成長とマクロ経済の安定、インフレ抑制を並行して進めてきたと説明した。
2026年第3四半期のGDP成長率は前年同期比9.95%、1~9月累計では9.01%となり、地域および世界でも高い水準にあるという。
国家予算収入は年間で約3060兆VNDに達し、前年比14%増となる見通しである。一方、企業や国民の負担軽減に向け、税金・手数料の免除、減免、納付期限の延長などを通じて、360兆VNDに相当する措置が実施された。
2026年末時点の見通しでは、公的債務残高はGDP比33~34%、政府債務は32~33%、対外債務は28~29%、財政赤字はGDP比4.1%とされ、いずれも安全とされる範囲内に収まる見込みである。
また、ベトナムの株式市場が初めて市場格付けの引き上げを受けたほか、格付け会社ムーディーズはベトナムの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。国際機関からも、ベトナム経済の耐性や成長見通しが評価されている。
輸出入総額は初の1兆USD超、FDI登録額も拡大
貿易面では、2026年の輸出入総額が前年比30.4%増の約1兆1,100億USDに達する見通しである。年間の輸出入総額が1兆USDを超えるのは初めてとなる。
社会全体の投資総額は、1~9月で約3110兆VNDとなり、前年同期比15.1%増加した。公共投資の実行額は約643兆VNDドンで、年間計画の63%に相当し、前年同期を約13%上回った。
外国直接投資(FDI)の登録額は503億6,000万USDとなり、前年比76.4%増加した。2021年以降で最も高い水準であり、投資先は加工・製造業、ハイテク、電子機器、半導体などに集中している。
こうした動きに加え、企業活動も引き続き改善していると政府は説明した。
高速道路の整備進む一方、中小企業の資金調達などに課題
制度面では、政府は法制度の整備を進め、経済発展の障害となるボトルネックの解消や、利用可能な経済資源の活用を目指している。第66号決議の方針に沿って、制度改革を実際の執行面での改善につなげる考えである。
インフラ整備では、新たに395キロメートルの高速道路が完成し、東側南北高速道路の全区間が供用開始となった。ハノイでは都市鉄道5路線の建設が一斉に着工されたという。
一方、フン首相は課題も指摘した。大規模な投資需要とインフレ圧力を背景に、預金金利や貸出金利は高い水準にあり、民間資金の動員も十分ではない。中小企業は土地や信用へのアクセスに困難を抱えており、輸出入構造の持続可能性にも課題が残る。
さらに、一部住民の生活は依然として厳しく、経済成長の恩恵が均等に行き渡っていないこと、大気汚染、浸水、交通渋滞、火災・爆発事故などの問題も解決されていないとした。自然災害や極端な気象、サイバー犯罪、ハイテク犯罪、薬物犯罪への対応も課題に挙げた。
2027年はGDP成長率10%以上、1人当たりGDP6,100USDを目標
政府は2027年を、共産党第14回党大会の決議を実現するため、成長を加速させる年と位置づける。主な経済・社会目標は次の通りである。
- GDP成長率:10%以上
- 消費者物価指数(CPI)上昇率:約4.5%
- 1人当たりGDP:6,100USD
- 労働生産性の平均上昇率:8.6%
- 多次元貧困基準による貧困世帯率:1~1.5ポイント引き下げ
財政面では、国家予算収入を約9.1%増やすことを目指すとともに、経常支出を徹底的に節約する方針である。
資金調達手段の多様化も進める。各種債券の発行、政府開発援助(ODA)借款、信用供与、民間資金の活用、国有企業による投資拡大などを組み合わせる。FDI企業に対しては、ベトナム国内で利益を再投資するよう促す方針だ。
また、中長期の資本市場を発展させ、国の信用格付けの引き上げを目指す。国際投資ファンドや、長期的で安定した海外の証券投資資金の誘致も重点課題となる。
「一人企業」や個人事業の法人化を支援
企業政策では、民間企業の成長を後押しする。特に中小企業への支援を強化するとともに、「一人企業」と呼ばれる小規模な企業形態や個人事業者が、正式な企業へ移行することを支援する。
さらに、国際競争に挑む大規模な民間企業の育成も目指す。民間部門の発展に向けては第68号決議の方針を踏まえ、企業が事業を拡大しやすい環境を整える。
外国投資については、第10号決議に沿って、選別的なFDI誘致を進める。単に投資額を増やすのではなく、技術移転やベトナム企業との実質的な連携を伴う投資を重視する方針である。
このほか、余剰となった公有住宅・土地の処理を完了させ、老朽化や資源の浪費を防ぐこと、汚職や浪費、不正の防止、行政規律の強化、公務員の能力向上も掲げた。職務を回避したり、責任を押し付け合ったりして任務を果たさない幹部については、速やかに交代させる方針も示している。
銀行システムの近代化、不良債権の処理、経営基盤の弱い信用機関への対応、複雑な相互持ち合いの防止にも取り組む。
2027年に向けてベトナム政府は、GDP成長率10%以上という高い目標を掲げる一方、インフレ抑制や金融システムの安定、中小企業の資金調達、FDIと国内企業の連携など、成長の持続性に関わる課題にも対応する構えである。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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