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リーダーたちの構想 第20回
ヤクルトベトナム

2007年に開業したベトナムヤクルト。現在は全国に21支店、約900人の社員と850人の「ヤクルトレディ」を持ち、工場を2倍に拡張中だ。インドネシア、マレーシアの市場を開拓してきた原本社長が、急成長の理由を語る。

カギは教育、モチベーション、給与

―― ヤクルトと言えば宅配のヤクルトレディが有名です。何人いるのですか?

原本 全国に64の営業所があり、合計で853人です(2019年末現在、以下同)。販売チャネルにはヤクルトレディによる宅配の他、スーパーマーケット、コンビニ、一般小売店での小売り、学校、ホテル、工場等への直納の3つがありまして、売上ベースでおよそ宅配が4割、他が6割です。

 彼女たちの存在は非常に重要です。ヤクルトは値引きやキャンペーンをせず、スーパー店頭ではサンプリングやパンフレット配布ぐらい。一方のヤクルトレディは個人に対してじっくりと科学性に基づいた効能効果を説明しますので、彼女たちが入った地域は宅配だけでなく、小売りの売上も上がるのです。店頭でヤクルトを見かけたお客様が、話を思い出して手に取ってくれるからです。

 小売りの取引店鋪は全国に3万7181軒あり、流通は社員によるルートが141、委託が154ルートあります。社員はスーパー、コンビニ、町の小売店等に運び、委託先には農村部などの過疎地の店を担当してもらっていいます。

―― 近年は売上が上昇していると聞きました。

原本 弊社の商品は乳酸菌飲料「Yakult」だけですが、この3年で支店数、社員数、売上がどれも約3倍になりました。支店は全国に計21ヶ所あり、社員数は907名です。売上高は公表していませんが、2019年の1日当たりの販売本数は52万8512本で、2016年の約2.5倍に増加しています。

 そのため、生産能力が限界になりつつあり、現在は工場を拡張している最中です。規模で今の2倍、生産能力は2.5倍になる予定で、今年末には完工する予定です。支店は、今年4ヶ所増やして、25ヶ所とする予定です。

―― 業績が伸びた理由は何でしょうか?

原本 同じ時期に赴任した営業部の日本人トップと、営業拡大戦略を考えました。最初の半年は状況把握に充てて、全てのスーパーバイザーや、ヤクルトレディたちと直接の個人面談をし、彼らの要望や不満、仕事への思いなどをヒアリング。通訳には社員を使わず、あえて外部の通訳者に依頼して、本音を語ってもらいました。同時に足を使って現場での売り方や商品PRの実態を調べました。

 その結果、まず始めたのが教育の強化です。ヤクルトの営業活動は、ヤクルトの有用性を理解して毎日飲んでくださる固定客作りが基本ですので、社員やヤクルトレディは商品を知り尽くさなければなりません。そのために5教科からなる社内資格制度の「ヤクルトライセンス」を作りました。合格しないと社員は昇進や昇格ができず、ヤクルトレディは資格手当を得ることができません。

 勉強に各教科50時間くらい必要なのですが、終業後に自主的に勉強会を開くなど、皆一生懸命に努力してくれました。過去に赴任したインドネシアやマレーシアではなかなか見かけない光景で、感激しました。

 資格には毎年再試験がありますが、セールストークのロールプレイングなども毎日続けていますので、内容を忘れずにほぼ100%の人たちが合格してくれています。

―― 他にも施策はありましたか?

原本 社員のモチベーションのアップです。年に1回だった昇格の時期を4回に増やし、9段階だった役職を21段階に細かく分けました。これにより、早い人は半年や1年で昇格できるようになり、小さな差ではありますが、スタッフが喜んでくれました。また、売上等の目標を達成したら、食事会を開いています。いつも盛り上がっていまして、実は私も楽しんでいます(笑)。

 給与も上げました。手当等を含めた総収入で、定期昇給を除いて3年間で35%ほどのアップです。また、社員の自主性を重んじました。社員には実施したい策を提案させて、決定すれば予算を付けて実践させ、うまくいけば全国展開しています。毎年、100以上もの提案が集まります。

 ヤクルトは、中間層が増えると一気に売上が上昇する傾向があります。売上増の理由の1つには、ベトナム経済の成長や所得の増加などもあります。弊社は派手に広告を投入して一気に大量販売する狩猟型ではなく、土を耕して種を撒いて水や肥料を与えて実を収穫する、農耕型のビジネスです。時間は掛かりますがじっくり進めて、固定客を増やして、右肩上がりを続けていきます。

多彩な広報・CSR活動

―― PR活動はどのように展開していますか?

原本 ヤクルトの有用性を知ってもらう広報活動は何より大切と考えています。工場見学を実施していまして、2019年度は660組、3万3431名に来ていただきました。工場見学時のセミナーでは、有識者には学術論文などを紹介をしたり、子どもにはアニメを上映したりの工夫をしています。

 地域住民を招待して公民館等で商品説明会を開催したり、学会やセミナーで講演をしたりもしています。今年は6月にハノイで、ベトナム保健省とシンポジウムを共催する予定です。アジアを中心とした世界中から微生物学者たちが300人くらいが集まる予定です。

 また、キーオピニオンリーダーとして、専門家や政府関係者等の有識者と緊密な関係作りを続けています。2019年12月末時点で875人おり、世界の学会などで発表されたヤクルトの臨床試験結果などを、テレビ番組や新聞雑誌などで発表していただいています。

 一方で、FacebookやWebサイトでの発信、Zaloの無料ステッカー配布等も展開しています。

 CSRでは、乳がん撲滅のピンクリボンキャンペーンを続けています。ハノイとホーチミン市の団体に協賛して、金銭的な寄付やウィッグのプレゼント、1万人の無料検診の提供等です。一昨年からはヤクルトの創始者である代田稔博士の名前を冠した、シロタ奨学金制度を始めました。微生物学等で優秀な論文を書いた学生に300万VNDを贈るもので、昨年は100人、今年は150人に増やします。

―― 今後の予定を教えてください。

原本 ヤクルトは、売上よりも人口に対する普及率を追っています。言い換えれば、ヤクルトの乳酸菌「シロタ菌」を通しての健康普及率です。現在の販売対象人口は約3500万人、それに対して1日のお届け本数は約53万本、つまり人口に対して1.5%でしかありません。日本は10%近くですから、対象人口を増やしていくとともに、普及率を上げていくことが使命だと思っています。

 工場拡張工事は今年末に完工しますが、現在のペースで順調に事業が伸びれば、2025~2026年にはフル稼働になります。その先のことは来年あたりに考えようと思いますが、北部に新工場建設かなと考えています。

YAKULT VIETNAM CO., LTD.
原本俊彦 Toshihiko Haramoto
大学卒業後に株式会社ヤクルト本社に入社。ヤクルト化粧品の営業を担当後、1993年からインドネシアに赴任して営業取締役に。2002年からはマレーシアに社長として赴任し、会社を設立。2016年にベトナムに赴任して現職。