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ベトナムビジネス情報Vol107|
ベトナム最大級のジャパンフェス、大盛況

Japan Vietnam Festival

1月19日と20日にホーチミン市の9月23日公園Bエリアで、ベトナム最大級の日越交流イベント、ジャパンベトナムフェスティバルが開催された。2日間の来場者数は約32万9000人。当日の様子とその舞台裏を伝える。

日本の人気アニメが勢揃い

ジャパンベトナムフェスティバル(JVF)はブースエリアとステージエリアからなる。前者では企業や商品の紹介、訪日プロモーション、日本のキャラクターなど7つのゾーンがあり、後者では人気アーティストやキャラクターのショーが行われた。

ブースエリアを見ていこう。Le Lai通り側の入口を入ると、数多くの白い提灯がゲートを作るロータスグループゾーンがあり、右手には企業PRゾーンが始まる。日系企業はファミリーマート、エースコック、ハウス食品などのブースが並び、カップラーメンやカレーを小さな容器で来場者に提供。アンジメックス・キトクはおにぎりを配っていた。ユニークだったのは鈴木ラテックスの「ヨーヨー釣り」。縁日のゲームに模して子供たちにヨーヨーをプレゼントしていた。

その先はJETROによる「Japan Sports Showcase」で、スポーツの体験型広報イベントだ。バランス感覚を保ちながら細長いベルトの上を歩く「スラックライン」では、インストラクターに誘われて何人ものベトナム人が挑戦していた。

ここが終わると、夕方からコンサートや盆踊りが行われるステージエリアがあり、メインステージを通り過ぎるとPham Ngu Lao通り側に出て、日本キャラクターゾーンが始まる。どのブースもアニメの主人公が大きく描かれていて、子どもたちであふれている。

最初はドラえもん。ブース内の中央にはどこでもドアがあり、「ジャイアンのトークショー」というコーナーも。名探偵コナンではくじ引きがあり、Dr.スランプ アラレちゃんではネイルをサービス。アラレちゃん(ぬいぐるみ)は来場者と記念撮影だ。

クレヨンしんちゃんのブースでは、しんちゃんのお尻に付けた小さな風船をダーツで割るゲーム、ドラゴンボールはボール投げゲーム、ONE PIECEは小さなキャラクターの人形に麦わら帽子を投げかけるゲーム。子どもたちが参加して、ギフトがもらえるイベントが多かった。

イベンターが舞台裏を語る

日本キャラクターの演出は、ベトナムでの版権を持つタガー社に協力を要請。JVFの事務局でありイベント全般を手がけたAABベトナムによるものだ。JVFは今回で6回目だが、同社は昨年の5回目より担当。特集でも登場したCEOの平櫛開三氏にその舞台裏を聞いた。

「昨年でおおよその様子がわかったので、今回はプログラムを盛り沢山にしました。JVFは普段できないことに挑戦できるのが楽しいですね」

常に考えているのは「ベトナム人にどう見せるか」。ただし、無駄なお金を使いたくないとも語る。そのため今回のアニメのキャラクターたちはタガー社に協力をしてもらった。平櫛氏の人脈によるものだ。

「このJVFの準備は前回の終了直後から始まりました。まずは開催日を決めることから。日本の正月とベトナムのテト正月の間に開催するので、かなり調整が必要でした」

日本キャラクターゾーンの向かい側は訪日プロモーションの観光PRゾーン。旅行会社や日本の自治体のブースが日本各地の魅力を伝えていた。品川区などもあるが、北海道、釧路市、富良野市、秋田県、福島県など東北以北が多く出展していた。

ANAとJR東日本の共同ブースで話を聞くと、「ゴールデンルートなどで西側は注目されても東北地方はまだ知名度が低く、インバウンドを見込んでのアピール」とのこと、個人旅行はまだ難しくても、「今は種まきの段階」と考えている。

その先はJETROによる「ニッポンおいしい市場」。餅、パン、菓子、抹茶、麺類など日本からの商品がニッポンの味を提供するが、ブースごとに集まる人数に差が出ていて興味深い。この一角には広めの体験ゾーンがあり、「大福デコレーション」や「おにぎり体験」などが催されていた。

出色だったのは日本の缶詰バー。日本酒、泡盛、果実酒をグラスで提供し、ツマミは焼き鳥やサバなど日本の缶詰。日の高いうちはさすがに人は少なかったが、夕方以降は日本人を中心に欧米人やベトナム人が集まり、注文ができないほどだった。

「割安で出すお酒は日本の特産品などではなく、どれもベトナムで買えるもの。ベトナム人に親しんでもらって、ぜひ購入してほしい。こうした事業をバックアップしたいじゃないですか」(平櫛氏)

人があふれたロータスゾーン

このゾーンが終わると、たくさんの赤い提灯が飾られたゲートが現れる。ここと入口の白い提灯との間がロータスグループゾーンで、一番人気と感じた。ブースにはロータスグループと提携してベトナムに出店した「丸亀うどん」や「CoCo壱番屋」などのレストラン、「信州ハム」や「ROYCE」などの食品のほか、市場調査などを請け負った企業も含まれて、その数は30社以上とか。

ゾーンの中ほどにはステージが作られ、丸亀うどん、CoCo壱番屋、信州ハムなどがテーマを変えてコンテストをしていた。同グループのレ・バン・メイ社長(昨年11月号で掲載)が会場にいたので話を聞いた。

「来場者の方をステージに呼んで、辛いカレーが食べられるか、2分でいくつのハムを食べられるかなどを競うゲームです。SNSで拡散してもらえたらうれしいなと思います」

アイスキャンディーを食べながら歩く人が多いのは、赤城乳業が無料で「ガリガリ君」を配っていたから。モスバーガーなどの食事系は夕方以降に大忙しとなり、行列ができていた。

「ロータスグループさんと組んだのも良かったですね。弊社のベトナム人スタッフに『ベトナム人がよろこぶもの』を考えてもらったのですが、やはり食べ物、タレント、キャラクターとなりました」(平櫛氏)

これで一周したわけだが、公園の中央には「日越フードストリート」のコーナーがあり、多くの屋台が出ていた。バインセオや春巻きなどベトナム料理のほか、イカ焼き、唐揚げ、おでん、ラーメンなどがあり、夕方以降はまるで縁日。来場者はここで買ったものをベンチや縁石に座って食べている。

この近くではサムライボクシングが「殴られ試合」を興行。提携している日本の川崎新田ボクシングジムのボクサー2人が、来場者に声をかけ、グローブをはめて1分間の試合。もちろん自分からは打たず、相手のパンチを避けるだけ。日本の子どもやベトナムの若者が真剣勝負で挑戦するが、スウェイされてパンチは当たらず四苦八苦していた。

C’mon, baby アメリカ!

夕方からは待ちに待ったステージエリアでのコンサートだ。初日の最初に登場したのは日本のアイドルグループ「elfin’」。         「美声女ユニット」と呼ばれるだけあってステージに声がよく通る。会場では異様に盛り上がっている若者の一群があり、サイリウムを振っているのはファンなのだろう。その後、ドラえもんファミリーによるキャラクターショーがあり、最後は「日越ミュージックショー」。当初から9割方埋まっていた会場は、既に満席状態だ。

まず登場したのは5人組の男性アイドルグループ「Uni5」。会場の日本人からは「ジャニーズ?」などの声が上がったが、ベトナム人だ。好きなメンバーの看板を掲げたベトナム女子が声援を飛ばす。最後のトリは初来越した「DA PUMP」。会場の日本人のお目当ては彼らだ。リーダーのISSAが「ベトナムは初めてです。盛り上がっていこう!」と声を掛けると、会場は一気にヒートアップ。1曲目から激しいダンスで会場を沸かせ、3曲めは昨年大ヒットした「USA」!

片足を上げて腕を振る「いいねダンス」が始まると会場も一緒に腕を振って応える。彼らの最後の挨拶が終わるとホーチミン市日本商工議会(JCCH)とアオザイ会のメンバーがステージに登場し、一緒に「C’mon, baby アメリカ!」。

コンサートの終了後は、ステージ前の櫓でJCCH主催の「日越交流ぼんおどり大会」がスタート。櫓の上と周囲とで、日本人もベトナム人も輪になって踊る。かなりの人数が参加し、見物客も多く、近くに寄れないほどの人だかりだった。

JVFの来場者に多いのは当然ベトナム人で、カップルや友人同士、家族連れ、意外に年配者も見かけた。日本人の姿もあるが、欧米人の姿が目立つ。夕方から参加する人も多く、盆踊りが続く午後7時を超えても、特に飲食系の出店はまだまだ元気で、まっすぐ歩けないくらいの人気だった。