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ベトナムニュース【社会】闇金業者の取立で工場業務が混乱

(C) VNEXPRESS

先月、闇金融業者が終日工場の電話に脅迫電話をかけ続けてきたため、ホーチミン市にあるLong Rich Vietnam社の従業員は、会社の電話を使用することが出来なかった。

激しい言葉で返済を迫る電話がかかり続けたため、リンチュンⅡ輸出加工区にあるLong Rich Viet Nam社で電話受付を担当するスタッフは、精神的に追い詰められた。その日、早朝から電話が鳴りだした。従業員が電話に出ると相手は債権回収業者だと名乗り、借金のある工員から借金と利息を取り立てるのを手伝うように要求した。もし、協力しなければ、工場の情報をSNSに曝し、工場に人を送って業務を妨害すると脅迫してきた。

嫌がらせの電話は朝から晩まで続き、会社は取引先や顧客からの電話を受けられなくなった。嫌がらせ電話は、会社の電話だけでなく労働組合幹部や総務スタッフの携帯電話や人材採用ホットラインにも及び、絶え間なく電話が鳴り続けた。工場の求人に応募したい求職者も常に通話中のため、会社に連絡することが出来なくなった。

Long Rich Vietnam社労働組合のグエン・ティ・トゥイ・バン会長は、工場には5000人の労働者がおり、そのうち30%近くがアプリを通じて闇金融から借金をしていると述べた。工員の中には1000万VNDしか借りていないのに、数か月後には利息を含めて借金が1億ドンまで膨れ上がった人もいる。彼らは、ある程度の期間返済を続けるが、とても返済できる額ではなくなり、借金取りから逃れるために電話番号を変えてしまう。電話での脅迫だけでなく、借金取りはSNSに労働組合幹部や人事部のスタッフの写真を投稿し詐欺集団だと誹謗中傷した。

同様にホーチミン市ビンタン区にあるPou Yuen Vietnam社の採用担当であるビック・ヒエンさんも工場の労働者から借金を回収するのに協力するよう強制する電話が夜中の1時から2時頃までかかってくるようになった。毎日会社には労働者の借金返済に協力するよう脅迫する電話とメールが数十件送りつけられた。

以前、ヒエンさんが間違い電話だと応えると、電話の相手は罵詈雑言を浴びせかけ、すぐにヒエンさんの夫にも電話をかけて脅迫した。電話の相手は、家族の名前や子供たちの学校の住所を読み上げ、もし工場の労働者が借金を返済しなければ”一人ずつ対処する”と脅迫し、工場にも横断幕を掲げ、SNSにも情報を投稿すると脅した。

労働組合の情報によると同社の工場では400~500人が闇金融から借金をして、返済できなくなっている。多くの金を借りた労働者が電話番号を変えたり仕事を辞め、残った人たちも常に不安な状態にあり、労働生産性にも影響が出ている。

「工場の仕事は大きな影響を受けました。」とヒエンさんは話す。人事部が、ネット上に採用情報と連絡先の電話番号を掲載したところ、すぐに借金取りのグループがその番号に朝から晩まで電話をかけ続けてきた。従業員は対応に追われ、全ての未登録番号からの電話をブロックしたが、それによって求人に応募してきた人からの電話にも対応できなくなり、採用活動は困難に追い込まれた。

ホーチミン市ビンチャン区のビンロック工業団地に入居するCholimex Foodsのファン・テー・トアン人事部長は、同社の工場は現在500人の労働者が不足しており、応募者の連絡を心待ちにしていると述べた。しかし、最近トアンさんは、工場労働者の借金取りからの電話であることを恐れて、知らない番号からの電話には出なくなってしまった。

借金取り立てグループは、脅迫電話をかけるだけでなく、トアンさんをはじめとした会社の幹部の写真を撮り、SNS上で会社ぐるみで借金を踏み倒したと誹謗中傷した。「ある時などは、借金取りのグループが朝から晩までひっきりなしに電話してきたので、他の誰からの電話も受けられませんでした。」とトアンさんは話す。

継続的な嫌がらせ行為を受けているが、工場側は対応に苦慮している。ホーチミン市のハイテクパークにあるSamsung HCMC CE Complex社の人事部長であるキウ・ゴック・ホアさんは、同社の多くの従業員も同じような状況に陥ったと述べた。警察に通報しても、借金取りグループが違法なSIMカードや架空のFacebookアカウントを使用しているため摘発は非常に難しいと言われる。

ホーチミン市労働組合連盟のチャン・ティ・ジエウ・トゥイ会長は、この借金取りによる嫌がらせ問題で多くの企業から連絡を受けていると述べた。この問題の原因は労働者が闇金禁輸に手を出して、返済不能に陥り電話番号を破棄していることにあるとトゥイ会長は指摘する。

トゥイ会長によると、COVID-19の感染拡大によって経済的に困難な状況に追い込まれた労働者は貯金もなく、日々の生活のために融資を求めている。ホーチミン市労働組合連盟は、マイクロファイナンス機関CEPを設立し、労働者向けに低金利・無担保での融資サポートを実施している。もし、労働者が病気や事故などの緊急事態に遭遇し、資金が必要な場合は、働いている企業の労働組合に連絡して融資を受けることが出来る。連絡があればCEPのスタッフが24時間以内に現場に駆けつけ、支払いをサポートすることになっている。

しかし、労働者の需要が非常に大きい一方でCEPの資金は限られており、全てをカバーするには至っていない。そんな中、闇金融業者は活発に活動し、労働者に簡単な手続きで迅速に融資を実行している。トゥイ会長は、COVID-19の感染によって苦しんでいる労働者に闇金融業者が入り込むことを避け、CEPや非営利基金団体が労働者への資金援助を十分に実施できるように国立銀行が資金をサポートすることを提案している。

トゥイ会長は、両者の合意による融資契約は民事上の問題ではあるものの、政府当局は各工場が安定して製造活動を続けられるようにするために、高すぎる利息や労働者や企業に悪影響を与える取り立て方法を取り締まることを検討すべきだと主張する。

6月12日の首相と労働者の対話集会で、公安省のルーン・タム・クアン上級中尉は、企業への資金提供や労働者への融資を隠れ蓑として、多くの闇金融業者が暗躍しており、中には月に1000%の利息を取る業者も存在すると述べた。過去3年間で、公安省は2740件以上の事件を摘発したが、このうち1000件以上が闇金融業者による事件で、被害者の多くは労働者であった。

最近になって、ベトナム国立銀行は労働者を取り巻く闇金融業者問題を解決するために、金融機関2社に対して20兆VNDの融資資本の提供を指示した。それによると、この融資の金利は現行の利息の1/2とされ、工業団地で働く労働者を対象に支援する。一人当たりの生活費融資は最大で7000万VNDで、返済期間は3か月から3年までとされている。

出典:21/5/07/2022 VNEXPRESS
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