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徹底比較、ハノイ VS ホーチミン市!|ベトナムビジネス情報 Vol.188

ハノイとホーチミン市の徹底比較 ハノイの有名な線路わきのカフェ群

ベトナムを代表する2大都市、ハノイとホーチミン市。日本人も多く住むこの2都市は南北に離れていることもあって、個性も歴史も市民性も大きく異なる。海外からの両都市の見方を、日本と比較しながら紹介したい。

観光全般ならハノイ、個性が際立つホーチミン市

 どちらもベトナム有数の観光地、でもカラーが違う。英国の新聞The Daily Telegraphによる「世界で最も魅力的な観光都市ランキング2025」によれば、ハノイが31位でホーチミン市が77位。ちなみに4位が東京だ。

 旅行・観光産業の調査機関Yanolja Researchの「世界観光都市魅力度指数2025」では、ニャチャンが31位、ダナンが39位、ハノイ市が41位でホーチミン市はトップ50の圏外だった。1位は大阪で3位が京都と日本が強い。

 英国の旅行誌Time Outの「世界で最もフレンドリーな都市ランキング」ではアジアからハノイ11位とタイのチェンマイ16位がランクイン。ホーチミン市も日本の都市も圏外だった。

 このように観光全般はハノイが優勢だが、ホーチミン市は個性が光る。米国のプレミアムな旅行専門誌Travel+Leisureの「LUXURY AWARDS Asia Pacific 2025」では、ホーチミン市はアジア太平洋地域のベストシティとして7位にランクイン。東京、バンコク、シンガポール、ソウル、香港、クアラルンプールに続くラグジュアリーな旅行先で、京都や大阪より上位だ。

 またTime Outの「世界で最もカラフルな旅行先20」でホーチミン市は20位。インドのジョードプル、ムンバイと共にアジアから3都市がランクインした。2都市の比較は面白い。

ハノイ市のSt. Joseph's Cathedral(左)とホーチミン市のTan Dinh Church(右)

暮らしやすさ

優劣なしに、どちらも街も居心地が良い?

 観光客でなく居住者にとって住みやすい街は? Time Outによる「世界で最も幸福な都市トップ20 2025」ではハノイが17位、アジアでは5位となった。これは生活満足度評価で、ハノイの人々の88%が「街での生活に幸福を感じる」と回答した(東京は70%)。

 一方、米国の大手建築設計事務所Genslerが発表した「City Pulse 2025」の「人々が住み続けたい都市トップ10」では、ホーチミン市が世界2位だった。ホーチミン市の住民の61%が市を離れる可能性を「低い」または「非常に低い」と回答しており、1位台北の64%に次いだ。

 ユニークな調査では、税務・投資コンサルタント会社Nomad Capitalistによる「東南アジアで最も住みやすい8つの場所2025」で、デジタルノマドに人気の地としてホーチミン市が3位、ハノイは7位となった。
 ここまで見てきて、要はベトナムが暮らしやすいのでは? 外国居住者の交流サイトInterNationsによる「Expat Insider 2025」の「外国人にとって最も住みやすい国」では、172ヶ国中ベトナムが5位と突出(日本は33位)。これはすなわち2大都市を示しているのだろう。

 ホーチミン市は2030年までに、世界で最も住みやすい都市トップ100に入ることを目指すという報道もあり(2025年8月)、市を挙げて取り組んでいる。

ハノイの湖畔で写真撮影する家族(上)とホーチミン市の高層オフィスビルで働くスタッフ(下)

ハノイばかりが上位にランク、ホーチミン市は?

 米国の旅行メディアTasteAtlasの「世界のベストフードシティ100」では、フエが35位、ハノイは40位、ホーチミン市は56位だった(日本は大阪10位、京都17位、東京25位)。同じくTasteAtlasの「世界のベスト料理100 2024/2025」ではハノイ名物のフォーボーが93位に入った(日本はうな丼や豚骨ラーメンなど8品)。

 また、Time Outの「アジアのベストストリートフードシティ10」では、マレーシアのペナンに次いでハノイが2位。「1つだけ食べるならブンチャーがお勧め」とのことだ(7位は大阪でお勧めは串カツ)。

 大手旅行サイトのTripadvisorが発表した「訪れるべき世界のグルメ都市15」でもハノイが選ばれており、京都、パリ、バルセロナなどと肩を並べている。

 そもそもベトナム料理は評価が高い。米国の大手旅行雑誌Conde Nast Travelerによる読者投票「Readers Choice Awards 2025」。その中の「世界の美食国トップ15」ではベトナムが4位であり、1位タイ、2位イタリア、3位日本に次ぐ。

 では、ホーチミン市は? Time Outの「世界で最も食事が美味しい都市20」で、ホーチミン市がアジア最上位の4位にランクイン! ただ、これは2024年6月の発表で、2025年3月に更新されるとホーチミン市もベトナムの都市も消えていた。ホーチミン市の再起が期待される……。

ハノイの名物料理フォーボー(上)とブンチャー(下)

文化・芸術

古都の文化・伝統と若者のアート・アイデア

 文化や芸術のランキングはさほど多くないが、Time Outが2025年5月に発表した「世界の文化都市ベスト20」でハノイが9位に選ばれた。北京(11位)、ジャカルタ(13位)、デリー(14位)を凌いだアジアトップ(日本の都市は圏外)で、旧市街、オペラハウス、ホーチミン廟などが高く評価された。

 一方のホーチミン市は今年10月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のユネスコ創造都市ネットワーク(UCCN)で新たに指定された58都市に「映画部門」で選出。UCCNには100ヶ国以上から400以上の都市が参加しており、工芸・民芸、メディアアート、デザイン、映画、美食、文学、音楽、建築の8分野がある。

 ただ、既にハノイ(デザイン)、ダラット(音楽)、ホイアン(工芸・民芸)が選出されており、ホーチミン市は4番手だ。そんな街は意外な実力を発揮する。

 Time Outの「世界で最もクールな31のストリート2025」ではホーチミン市のVinh Khanh通りが10位(2位は大阪の立花通り)、「2025年に世界で最もクールな街39」でもホーチミン市のNguyen Thai Binh街区(旧名称)が11位だ(1位は東京の神保町)。後者は2024年版でもThao Dien街区が16位に選ばれた。

 ホーチミン市は文化というよりアート、伝統ではなく新奇性が評価されている。

ハノイのオペラハウス(上)とホーチミン市のヤンシン市場(下)

共通点

忙しくて安全な2都市は、日本とそっくり?

 最後は両都市の共通点を見てみたい。まずは忙しさ。大手位置情報サービスのTomTomによる「Traffic Index 2024」では、62ヶ国501都市の世界渋滞ランキングを発表。そこでハノイは29位、ホーチミン市は32位。ダナンが400位だからその差がわかる。

 ただ、日本は京都4位、熊本11位、福岡19位、広島23位、仙台27位、札幌28位と、ハノイの前に6都市が大渋滞だ。

 また、英国に本社を置く航空業界向けデータプロバイダーのOAGは、2024年1~12月のデータを分析した「The Busiest Flight Routes of 2024」を発表した。2024年に最も混雑した(座席が販売された)国内航空路線の世界4位が、ハノイ(HAN)・ホーチミン市(SGN)間の路線で1060万席。

 2位が新千歳(CTS)・羽田(HND)間で1190万席、3位は福岡(FUK)・羽田(HND)間で1130万席というから日本も忙しい。これらトップ5は2023年も同じ順位とか。

 最後に、どちらも安全な都市だ。世界各地の生活関連データを提供するNumbeoの「Crime & Safety Index 2025」(都市別安全度指標)において、ハノイは世界で110位、ホーチミン市は251位。大阪は102位だからハノイと同程度で、東南アジアに限ればハノイが5位、ホーチミン市が12位と上位に食い込む。

 ベトナムと日本の大都市は、どこか似ているのかも。

ベトナムの交通渋滞(左)とベトナム航空の飛行機(右)
執筆者紹介

取材・執筆:高橋正志ACCESS編集長)
ベトナム在住11年。日本とベトナムで約25年の編集者とライターの経験を持つ。
専門はビジネス全般。