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米国向け海上運賃が再び急騰 ベトナム輸出企業に物流コスト増の懸念広がる

米国向け海上運賃上昇による影響をまとめた図

米国向け海上運賃が再び上昇

一時的に落ち着きを見せていた国際コンテナ海上運賃が、7月に入り再び上昇基調へ転じた。特にアジア―米国航路では短期間で大幅な値上がりが続いており、ベトナムの輸出企業では物流コスト増への警戒感が強まっている。

コンテナ運賃指数「Drewry World Container Index(WCI)」によると、40フィートコンテナ当たりの世界平均運賃は約4,639USDとなり、2024年9月以来の高水準を記録した。

上海―ロサンゼルス航路は約5,750USDと1週間で約12%上昇し、上海―ニューヨーク航路も約7,149USDと約6%値上がりした。さらに上海―ロッテルダム航路でも上昇が続いており、運賃高騰は米国向けだけでなく欧州航路にも広がっている。

米国の駆け込み輸入や中東情勢が影響

運賃上昇の背景には、米国の輸入業者による駆け込み需要がある。

新たな関税政策や物流コスト上昇を見越し、米国企業が前倒しで輸入を進めており、6月の米国港湾におけるコンテナ取扱量は前年同期比で8%以上増加した。

加えて、中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇で船舶燃料費も増加している。7月以降、多くの海運会社が燃油サーチャージ(BAF)を導入したことも、輸送コストを押し上げる要因となっている。

さらに、海運各社が利益確保を目的に船腹供給を調整していることも影響している。紅海・スエズ運河航路の正常化には慎重な姿勢が続いており、これまで喜望峰経由の迂回航行が長期化したことで船舶運用効率が低下し、輸送能力は依然として完全には回復していない。

輸出企業からは、新型コロナ禍と同様、市場の需給が逼迫する局面では海運会社が運賃を引き上げる傾向があるとの見方も出ている。実際、独海運大手ハパックロイド(Hapag-Lloyd)は、旺盛な輸送需要と運賃上昇を背景に2026年の業績見通しを上方修正した。

水産・木材業界では市場分散を加速

物流費の上昇は、ベトナムの主要輸出産業にも影響を及ぼしている。

ベトナム水産加工輸出協会(VASEP)によると、2026年上半期の対米水産物輸出額は約8億9,790万USDと前年並みにとどまった。関税政策や価格競争に加え、海上運賃の高騰も輸出企業の負担となっている。

冷凍コンテナは一般貨物より輸送コストが高く、各種サーチャージも発生しやすいことから、採算性を重視して受注先や販売市場を見直す企業も増えているという。

一方で、中国本土・香港向け輸出は上半期に15億USDへ達し、前年同期比37.9%増と大きく伸長した。ベトナムの水産物輸出全体の25.8%を占める最大市場となり、エビやパンガシウス、ロブスターなど幅広い品目の輸出拡大を支えている。

VASEPは、物流コストや輸送リスクを抑えるため、今後も中国、ASEAN、韓国など近隣市場への輸出拡大が進むとの見通しを示している。

木材・カシューナッツ業界も販路多角化

木材業界でも物流費の上昇により利益率が圧迫されている。加えて、木材合法性やトレーサビリティ、環境対応など輸出先市場の規制強化も重なり、企業は新たな販路開拓を進めている。

RCEP加盟国向け木材輸出は約20億USDと前年同期比約17%増、CPTPP加盟国向けも約8%増加した。日本向け輸出も約6%増となり、ASEAN市場ではカンボジアやラオス向けが大きく伸びている。

また、カシューナッツ業界でも市場の多角化が進んでいる。ベトナムカシューナッツ協会によると、中東や中米向け輸出が拡大しており、バーレーン向けは117.6%増、ドミニカ共和国向けは188.4%増、バングラデシュ向けは385%増、ヨルダン向けは253%増を記録した。

従来市場への依存を減らし、新興市場の開拓を進めることが、物流コスト上昇への対応策の一つとなっている。

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