国家主導の「競争キャンペーン」、再び前面へ
ベトナムのレ・ミン・フン首相は、経済の2桁成長を目標に、全省庁・地方政府を対象とした「競争キャンペーン」を発動した。これは本来、国家が掲げる目標に向けて各機関や国民の努力を競わせ、成果に応じて評価・表彰する制度であり、ベトナムでは長年用いられてきた統治手法である。
スローガンから“数値管理”へ転換
今回の特徴は、この伝統的な枠組みを、徹底した数値管理へと転換した点にある。政府は各省庁・地方に対し、すべての施策について明確な目標、期限、責任主体を設定し、結果で評価することを要求。いわば行政全体をKPIベースで運用する方針を打ち出した。
最大の狙いは「ボトルネックの除去」
フン首相が特に重視しているのが、行政手続きや制度の“詰まり”の解消である。事業許認可、投資手続き、土地・建設分野など、従来のボトルネックとなってきた領域について、大幅な簡素化と処理時間の短縮を求めている。
政府内でも「プロジェクトの進捗は7割が手続き次第」との認識があり、今回の改革は単なる効率化ではなく、成長制約そのものへの介入と位置づけられる。
投資拡大だけでは成長できない現実
背景には、ベトナム経済の構造的課題がある。2015~2024年のICOR(投資効率を示す指標)は約5.8~6.4で推移しており、GDPを1押し上げるために約6の投資が必要とされる。
これは裏を返せば、「投資を増やしても、それに見合う成長が得られていない」ことを意味する。政府は、支出削減や資源配分の見直しを通じて、成長の“質”を高める必要に迫られている。
伝統的手法に“成果主義”を組み込む試み
専門家は今回の政策について、国家主導で努力を競わせる従来の「競争キャンペーン」に、数値目標と成果評価を軸とする現代的な管理手法を組み合わせたものと評価する。
従来の精神論的なキャンペーンから一歩踏み込み、成果が出なければ評価されない仕組みに変えることで、行政の実行力を引き上げる狙いがある。
「やるか、淘汰されるか」の政策へ
今回の競争運動は、単なるスローガンではなく、各機関の評価や人事にも影響する実質的な圧力として機能する可能性が高い。
制度改革、手続き削減、投資効率の改善という複数の課題を同時に動かす今回の取り組みは、ベトナム経済が次の成長段階に進めるかどうかを左右する試金石となる。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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