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ベトナムニュース【労働】解雇の嵐がベトナム人エンジニアを襲う

(C) VNEXPRESS

ホアン・トゥーさんの『アメリカンドリーム』は、スタートから1年も経たないテト前にGoogleから解雇通知を受け取ったことで、儚く消えてしまった。

「今回は私の人生で最悪の休暇になりました。」と27歳のホアン・トゥーさんは話す。難関の面接試験を潜り抜け2022年初頭にトゥーさんはGoogleの正社員となり、シリコンバレーの新プロジェクト開発チームに加わった。トゥーさんはこの喜びを家族と分かち合うためにテト休暇にベトナムに帰ることにした。ところが1月20日に突然メールで解雇通知が送られてきたことで事態は一変した。

「事前に直属の上司からは何も聞いてませんでした。何が起こっているのか知るために同僚に会う時間すらありませんでした。このことをどうやって家族に伝えればいいのかもわかりません。」とGoogleの元従業員となったトゥーさんは話す。トゥーさんは退職手続きを完了し新たな就職先を探すために休暇を早めに切り上げてアメリカに戻った。そうしなければトゥーさんの持つH-1Bビザが、失業から60日以内に失効してしまうのだ。

同様の状況に置かれたMetaの元従業員であるホン・アインさんは、このままではアメリカから強制送還されるのにあと数週間しかないと知って焦っていた。ホン・アインさんによれば、アメリカにいるベトナム人エンジニアにとって金銭の問題は大きな問題ではなく、最も重要なのはビザを維持するために早急に新しい仕事を見つけることだ。

「特に新卒者にとってビザの問題は大きな負担になりつつあります。」とホン・アインさんは話し、既に20社以上に応募したが今のところ手ごたえはないと付け加えた。IT業界全体が人員削減を進めている中では、優秀なベトナム人エンジニアであっても、中国やインドからのエンジニアとの熾烈な競争に勝ち抜かなければならない。

3年の経験を持つホン・アインさんはアメリカで引き続き働けるようにするために、給料が低くても中小企業に就職するつもりだ。現在、シリコンバレーでの記録的な人員削減によって職を失ったベトナム人エンジニアの数についての正式な統計はないが、関係者によればITエンジニアだけでも数千人規模になるとみられている。

Metaのソフトウェアエンジニアであるタイ・グエンさんは、自分のようにまだ解雇されていない幸運な人たちも、解雇に怯えており、次のシナリオに備えて準備していると話す。タイ・グエンさんによれば、アメリカに家族がいるとしても、H-1Bビザを持っているのが1人で、残りの家族が帯同している場合は更に問題が大きくなる。「60日以内に新しい職場を見つけられなければ、失業するだけでなく、家族全員がアメリカを離れなければならなくなります。」と15年以上アメリカに住むタイ・グエンさんは話し、今回のケースは、今まで見た中で過去最悪の大量解雇だと付け加えた。

不運にも解雇されたベトナム人エンジニアには、3つの選択肢が残されている。まず一つ目は、H-1Bビザの期限が切れる前に新しい就職先を見つけることだ。彼らの多くが、就職しやすい中小企業での就職先を探している。もし、独身なのであればB-2観光ビザに切り換えてチャンスを探すことで”アメリカンドリーム”を延長させることも出来る。

2つ目めの選択肢は、大学院などへの進学でホアン・トゥーさんのような新卒者が対象になる。トゥーさんは、ビザを延長するために学業に戻り知識を蓄えながら次の機会を待つつもりだ。これまでの貯蓄と会社からの補償金で、トゥーさんは1年以上はアメリカで勉強をづけることができる見込みだ。しかし、アメリカの大学入試試験や面接は難しさを増してきており、進学先選びは簡単ではない。

3つ目の選択肢は、ベトナムに帰国するかシンガポールなどの近隣諸国で働くことだ。ホン・アインさんは、もしビザの期限までに希望する仕事が見つからなければ、ベトナムに戻って少し休んでから、仕事を探すつもりだと話す。

IT業界での解雇の嵐がシリコンバレーで吹き荒れている。新興企業から急成長を遂げたMicrosoft、Google、Meta、Amazonなどの大企業の多くが、人員削減を発表している。2023年の最初の1ヶ月だけで、アメリカでは15万人以上のITエンジニアが職を失ったとみられている。一部のエンジニアは数ヶ月分の給与が補償されることで状況を楽観視しているが、H-1Bビザでアメリカにやってきた多くの優秀な外国人エンジニア達は、失業とビザ失効という2重のプレッシャーにさらされている。

アメリカ移民局のレポートによると、2020年10月から2021年9月までに40万7000件のH-1Bビザが承認され、その大部分がアジア人だった。インド人が全体の74.1%を占め、次いで中国が12.4%を占めている。多くの優秀なベトナム人エンジニアが帰国を余儀なくされる可能性がある。中国人エンジニアの場合は、状況はより複雑だ。。香港の英字新聞”南華早報(SCMP)”によると、多くの在アメリカ中国人エンジニアは高い家賃、996勤務体制(午前9時から午後9時まで週6日)、国内のIT技術開発における多くの困難な問題などの理由で中国への帰国は考えていないと答えている。

出典:31/01/2022 VNEXPRESS
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