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ベトナムとシンガポール、戦略的連携を強化 ASEANの自立性を支える協力へ

ベトナムのトー・ラム書記長兼国家主席とシンガポールのローレンス・ウォン首相
(C)THANH NIEN

ベトナムとシンガポールの関係が、経済だけでなく安全保障や外交を含む幅広い分野で深まりつつある。2025年には両国関係が包括的な戦略的パートナーシップに格上げされ、同年の二国間貿易額は315億USDに達した。

8月24~25日には、ベトナム共産党のチャン・カム・トゥー書記局常務とシンガポール人民行動党(PAP)幹部が、初となるベトナム・シンガポール戦略対話を開催する。専門家は、両国の連携強化がASEANの戦略的自立性を支えるうえでも重要な意味を持つと指摘している。

2025年に「包括的な戦略的パートナーシップ」へ

ベトナムとシンガポールは近年、経済、外交、安全保障など幅広い分野で関係を強化してきた。

2025年には両国関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」へ格上げした。これはシンガポールにとって東南アジアで初めての包括的な戦略的パートナーシップとなる。

経済関係も拡大している。2025年の二国間貿易額は315億USDとなり、2024年から26.2%増加した。

さらに、ベトナム国内には現在、17の省・市に28カ所のベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)が展開されており、両国の経済協力を象徴する存在となっている。

経済面で高い相互補完性

シンガポール・南洋理工大学のグローバル・アフェアーズ・公共政策プログラムの古賀慶教授は、両国関係の強化について、経済、安全保障、外交における協力をさらに広げる機会になると評価している。

古賀教授によれば、両国の経済には高い相互補完性がある。

ベトナムは豊富な人材、成長する市場、拡大する生産基盤を持つ一方、シンガポールは資本、技術、経営ノウハウなどを提供できる。この相互補完性が、両国の経済協力を支える重要な要素となっている。

また、両国はともにASEANの中心性を重視しながら、特定の大国に過度に依存しない多角的な外交を進めている。

古賀教授は、国際情勢が不安定化するなかでも、ベトナムとシンガポールの関係強化は双方に利益をもたらす一方、第三国を念頭に置いた対抗関係ではないため、地政学的なリスクを高めるものではないと分析している。

ASEANの「戦略的自立性」にも寄与

国際基督教大学のスティーブン・ロバート・ナジー教授は、両国がASEAN加盟国であることから、ベトナムとシンガポールの関係は、両国だけでなくASEAN全体の戦略的自立性を維持・強化するうえで重要だと指摘する。

ベトナムとシンガポールは、米国、中国、日本など主要国との関係をそれぞれ構築している。こうした外交関係を背景に、両国が連携することで大国間競争の影響を調整しながら、日本、インド、EU、オーストラリアなど域外の主要な中堅国との協力を活用することも可能になる。

両国は、ASEANが参加する主要な経済枠組みにも積極的に関与している。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)や地域的な包括的経済連携(RCEP)などへの参加を通じ、多国間協力を進めている。

ナジー教授は、米中双方との対話を維持しながら、ベトナムとシンガポールがそれぞれの戦略的自立性とASEANの自立性を高めていくことが重要だとしている。

VSIPが象徴する経済協力

ベトナム外務省のファム・トゥー・ハン報道官も、両国関係が政治面と経済面の双方で深まっていると評価している。

2025年と2026年にベトナムのトー・ラム書記長兼国家主席がシンガポールを訪問したことについて、両国の政党・政府間に高い政治的信頼が形成されていることを示すものだと説明した。

シンガポールは現在、投資、貿易、経済連携の面でベトナムにとって重要な経済パートナーの一つである。

その象徴がVSIPである。17の省・市に28カ所の工業団地が展開されており、シンガポール企業の投資拠点としてだけでなく、ベトナムの産業発展を支える経済協力のモデルとなっている。

初の党間戦略対話を開催

今回のチャン・カム・トゥー書記局常務によるシンガポール公式訪問には、もう一つ重要な意味がある。

ベトナム共産党とシンガポール人民行動党の間で設けられた「ベトナム・シンガポール戦略対話」が今回初めて開催されるためである。

ベトナム外務省のグエン・マイン・クオン副大臣によれば、ベトナム共産党の書記局常務がシンガポールを公式訪問するのは今回が初めてであり、今回の戦略対話も新たに設けられた協議枠組みにおける初会合となる。

また、ベトナムは東南アジアで初めて、シンガポール人民行動党との間にこのような政党間対話の仕組みを設けた国となる。

クオン氏は、こうした新たな枠組みが両国の政党間関係をさらに発展させ、包括的な戦略的パートナーシップを実質的な協力へとつなげる政治的基盤になるとの見方を示した。

技術・人材育成で協力拡大へ

今回の戦略対話では、両国が共通して関心を持つ戦略的課題に加え、今後の重点的な協力分野について幅広く意見交換する予定である。

具体的には、技術分野での連携や人材育成などが議題となる見通しだ。

ベトナムとシンガポールは、すでに貿易や投資、工業団地などを通じて強固な経済関係を築いている。今後はデジタル技術や人材育成など、より付加価値の高い分野へ協力を広げられるかが焦点となる。

両国の関係強化は、二国間の経済利益にとどまらず、ASEANが大国間競争のなかで一定の戦略的自立性を維持するための協力モデルとしても注目されている。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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