ベトナムとシンガポールは、両国のデジタルID(デジタル身分証)基盤であるVNeIDとSingPassの接続を早期に実現する方針を確認した。両国は包括的な戦略的パートナーシップの下、デジタル分野だけでなく、投資、産業、サプライチェーン、教育・人材育成など幅広い分野で協力を深めている。
VNeIDとSingPassの実用化を加速
ベトナム政府によると、8月12日、政府庁舎でレ・ミン・フン首相が、着任したシンガポールのラジパル・シン駐ベトナム大使の表敬訪問を受けた。
フン首相は、両国関係が新たな協力分野を広げながら発展する時期にラジパル・シン氏がシンガポール大使に就任したことを歓迎し、同氏の外交経験を生かし、ベトナムとシンガポールの包括的戦略的パートナーシップの深化に貢献することへの期待を示した。
首相は両国関係において、経済、貿易、投資が引き続き重要な柱であると指摘。そのうえで、シンガポールに対し、ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)ネットワークの拡大を優先課題として進め、2026年中に30カ所のVSIPを実現する目標に向けて協力するよう求めた。
さらに、両国のデジタル化を進める具体策として、ベトナムの「VNeID」とシンガポールの「SingPass」の接続を早期に実用化することを確認した。
VNeIDはベトナム政府が推進する電子身分証アプリであり、行政手続きなどデジタルサービスの基盤となっている。一方、SingPassはシンガポール政府が提供するデジタルID基盤である。両国のデジタルIDを接続することで、将来的には国境を越えた行政・公共サービスなどでの利便性向上につながる可能性がある。
VSIP30カ所を目標、シンガポール企業の投資も促進
フン首相は、ベトナム政府がシンガポール企業によるベトナムへの投資・事業活動を歓迎し、円滑な事業環境の整備に努めると表明した。
VSIPはベトナムとシンガポールの経済協力を象徴するプロジェクトの一つであり、両国はこれを製造業や物流などの投資拠点として発展させてきた。
また、両国は企業間の連携をさらに強化するとともに、サプライチェーンの強靱化に関する経済担当閣僚間の共同声明を着実に実施する方針を確認した。
シンガポール側からも、同国企業によるベトナムへの投資・事業協力を引き続き促進する考えが示された。
シンガポール、ベトナム産農水産物の輸入拡大に意欲
ラジパル・シン大使は、フン首相が示した両国協力の重点分野に同意するとともに、近く開催予定の第1回シンガポール・ベトナム戦略対話への期待を表明した。
大使は、この戦略対話が両国関係における重要な発展であると評価。両国政府間だけでなく、ベトナム共産党とシンガポール人民行動党(PAP)間の関係強化にもつながるとの認識を示した。
また、シンガポールの食料安全保障に対するベトナムの支援に謝意を示し、ベトナム産の安全・高品質な農産物や水産物の輸入をさらに拡大したいとの意向を示した。
2027年のASEAN・APECを見据え協力
両国はASEANの結束と中心性を強化することでも一致した。
フン首相はシンガポールに対し、南シナ海問題についてASEANの共通の立場を引き続き強く支持するとともに、国際法、特に1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)に沿った実効性のある南シナ海行動規範(COC)の策定に向けた交渉を後押しするよう求めた。
さらに、2027年にシンガポールがASEAN議長国、ベトナムがAPEC開催国を務めることから、両国は大型国際行事の成功に向けて緊密に連携する方針である。
教育、科学技術、イノベーション、人材育成などについても協力を拡大する。シンガポール側は、ベトナムの人材育成を引き続き支援し、幹部研修などの協力を継続する考えを示した。
今回の協議では、経済・投資関係の強化に加え、VNeIDとSingPassという両国のデジタルID基盤を実際のサービスへつなげる取り組みが明確に打ち出された。ベトナムとシンガポールの包括的な戦略的パートナーシップは、デジタル化やサプライチェーン、人材育成など、より実務的な協力へと広がりつつある。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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