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マーケッターの 独り言 Vol.72
EC市場が拡大を続ける理由
購買動機は価格とプロモーション

 ベトナムのECは大幅に成長しており、2023年5月から2024年6月までの取引額の成長率は、小売市場全体の9.6%を大きく上回る48%を記録しています。特に「美容」や「ホーム&ライフスタイル」におけるEC購入が人気となっています。

 当社が2024年5月にホーチミン市とハノイの18歳以上の男女300人に実施した調査によると、54%の利用者が毎週オンラインショッピングを利用するなど、ヘビーユーザーが増える傾向にあります。

 EC事業者ではShopeeが「最も利用するプラットフォーム」として64%の消費者によって独占的な人気を誇る一方で、ここ数年はTikTokの台頭が目立っています。2023年調査との比較では約3倍増の14%と2位になり、LazadaやTikiを上回る地位を築きつつあります。

 Shopeeは価格競争力、プロモーション、製品の多様性などが人気を下支えする一方で、TikTokは商品情報の充実や楽しいショッピング体験で利用者を増やしています。

 製品別ではIT関連商品については専門ECショップの人気が高い一方で、美容分野ではTikTokやFacebookなどのソーシャルコマースが人気を集める傾向があります。

 ECの進展は今後キャッシュレス決済方法の進化や配送サービスの改善によりさらに促進されると考えられますが、消費者がオンラインショッピングを利用する主な動機は、上記の調査によれば価格(73%)とプロモーション(69%)です。

 激化する競争の中で、事業者はいかに魅力的な価格とプロモーションを継続しながら、利益を確保するかという課題に直面しています。

黒川 賢吾 Kengo Kurokawa
Asia Plus創業者兼代表取締役。NTT、ソニー、ユニクロを経てベトナムで起業。ベトナム最大級のオンラインリサーチパネルを利用して年間200以上の調査をこなすリサーチのプロ。