オンラインホテル予約サイト大手のAgodaは、ベトナムを含めた東南アジアを旅行するインド人が増え続けていると述べた。
「最近になってベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシアを訪れるインド人観光客が急増しています。ベトナムを訪れるインド人観光客の数は、コロナ前の少なくとも1000%増となっています 」とAgodaのオムリ・モルゲンシュテルンCEOは話す。
Agodaによれば、インド人旅行者は、他国のように人気の観光地に集中するのではなく、様々な国を旅行する傾向にある。インド人に人気のヨーロッパの旅行先はフランスとスイスだが、人気の旅行先トップ10にこの2カ国は入っていない。コロナ前、インド人に人気の旅行先はタイ、マレーシア、インドネシアだった。
インド人観光客は、距離が遠くそれほど知名度の高くない日本や韓国など東アジアの国へ旅行することは少ない。「東アジアの旅行代理店関係者と話をすると、彼らはインドを巨大な新興国市場であると認識しており、インド人旅行者を受け入れる準備を進めています。しかし、インド人観光客に東アジアの魅力を伝える広告活動はまだ始まったばかりです」とオムリ・モルゲンシュテルン氏は話す。
国連のデータによれば2023年4月末の時点でインドの人口は14.25億人を超え、中国を抜いて世界で最も人口の多い国となっている。この南アジアの超大国の国際舞台における影響力は日増しに高まっており、旅行業界も例外ではない。
2024年にはインド人観光客は年間420億USD以上を海外旅行に費やすようになると予測されている。オムリ・モルゲンシュテルン氏は、「インドの旅行業界は急成長しており、海外旅行者数の伸びが世界で最も高く、世界中でインドの旅行業界が最も急速に発展しています」と述べた。この成長は旅行者数の増加に留まらない。インドは航空産業の発展に数十億USDを注ぎ込み、観光拠点としての地位を確立させようとしている。
インド政府は今年の初めに、2025年までに国内の空港建設と近代化に9800億ルピー(約119億USD)を投じる計画を発表した。2024年に開港が予定されているウッタル・プラデーシュ州のノイダ国際空港はアジア最大の空港になる見込みだ。
旅行業界のマーケティング・調査会社であるCheck-in Asiaの創設者であるゲイリー・バウワーマン氏は、インド政府の実施してきた政策が実を結びつつあると指摘する。「10年前に比べて、空港、駅、インフラが充実してきました」とゲイリー・バウワーマン氏は話す。
オムリ・モルゲンシュテルン氏は、アウトバウンド市場(インド人の海外旅行市場)の成功は、インド政府だけでなく、民間航空会社による投資の成果だと指摘する。インドでは多くの格安航空会社がしのぎを削っており、国民にリーズナブルな航空チケットを提供している。
今後より多くのインド人観光客を受け入れるために、各国はビザの制限を緩和させ、インドからの航空便の本数を増加させるべきだとオムリ・モルゲンシュテルン氏は提案する。「この2つが揃えば、インドのような新興国市場では奇跡のようなことが起こるでしょう」とモルゲンシュテルン氏は話す。
中国のアウトバウンド市場は、過去20年間で急激に成長してきたが、最近ではインドのアウトバウンド市場が爆発的に伸びている。コロナ前、中国は東南アジアにとって最大の海外旅行市場だった。2019年に東南アジア諸国は中国から3230万人の旅行者を受け入れたが、インドからは530万人に過ぎなかった。バウワーマン氏は、東南アジアの旅行業界は中国市場に過度に依存しない新たな動きを見せていると指摘する。東南アジア諸国の旅行業界は代替市場を探しており、これはインドにとっても朗報だ。しかし、もしインドが海外旅行市場で中国を超えようとするならあと20年はかかるだろうとバウワーマン氏は分析している。「短期間で中国を超えることは難しいでしょう」とバウワーマン氏は述べた。
出典:15/06/2023 VNEXPRESS
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