この数年で中古不動産市場の取引件数が増加しましたが、日本人や日系法人からは円安の影響もあり、当社では購入依頼は限定的で、売却依頼が続いております。
その背景の1つは、主要なプロジェクトなら購入時から平均1.5倍は値上りしていて、充分なキャピタルゲインが得られること。また、円安の影響により、取得時と売却時の為替レート差による為替換算の恩恵があること。最後が日本の税制度の事情になります。
日本では不動産のキャピタルゲイン税について、所有期間5年未満は短期譲渡所得扱い、5年を超えると長期譲渡所得扱いとなり、税金が約2倍異なります。現金化を急がなければ、一般的には5年以上所有して売却手続きを行う傾向にあります。
日本居住者の場合は海外不動産にも適用されますが、所有期間5年の判定は通常は竣工および引渡し時点から起算され、契約の取交しや購入代金支払い時ではないことに注意が必要です。
そのため、長期譲渡所得扱いは、2017~2018年に竣工および引渡しとなったプロジェクトになり、ホーチミン市ではVinhomes Central Park、Vinhomes Golden River、Masteri Thao Dienなど、不動産住宅法改正による外国人の投資用不動産購入のまさに火付け役となった大型プロジェクトが対象です。これらを購入した個人不動産投資家の方が、現金化が有利な状況と判断し、売却依頼が続いているという背景です。
今後もこの所有期間5年を目安とした日本人所有者(ベトナム非居住者)からの売却依頼は続く傾向にあるとみています。コンドミニアム購入・売却を検討している方の参考になれば幸いです。