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ベトナムエラー通信簿Vol.13
委託先のミスで手数料を全額返金
「できるだけ自前」のきっかけに

アイクラフトJPNベトナム 西田社長

 発明王エジソンは言っています。「失敗すればするほど、我々は成功に近づいている」。ところが、大きな失敗をした時はそんな気にはなれません。

 弊社がまだ本格的にコンサル業務をしていなかった頃でも、その類のご相談はありました。ある日、日本の広告代理店がベトナムでの会社設立を目指して入国されました。ご依頼を受けた私は、規制される業種なので弊社が手を出すのは無理と判断し、ローカルの法律事務所に委託しました。日本語でのやり取りが必要になるため、私たちが間に入りました。

 無事ライセンスの取得に漕ぎつけ、今で言うIRC(投資登録証明書)をお渡ししてほっとしたのも束の間、先方から連絡がありました。「希望した業務内容が入っていない」との苦情です。弊社からお客様のご希望を伝えてはいましたが、法律事務所が自分たちの判断で進めていたのです。確かに希望通りのライセンスになっていないので、お詫びに伺いましたが、簡単には許してもらえません。

 今であれば「すぐに修正します」と言えますが、当時はノウハウがありませんでした。悩みましたが、受け取った手数料を全額返金して、修正は別の法律事務所に依頼していただくようにお伝えしました。会社の資金繰りにも影響するほどの金額でした。

 このことが結果として、「できることは自社でやるべき」と強く思うきっかけになりました。やや難しいことは法律事務所にアドバイスを受けても、今日コンサル業務が増えてきたきっかけはこの失敗だったと思います。

西田俊哉 Toshiya Nishida
アイクラフトJPNベトナム社長。生命保険会社に23年勤務の後、2005年に仲間とベンチャーキャピタル・IPO支援事業の会社を創業し、2007年に初来越。現在は会社設立、市場調査、不動産仲介、会計・税務支援などを展開。