新型コロナ感染拡大をきっかけに、ベトナムの冷凍食品市場は大きく変化している。多様な産業や地域を調査するTechSci Researchによると、ベトナムの冷凍食品市場は2026年までに約23億USDに達し、CAGR(年平均成長率)は約7%と予想されている、
所得の増加、ECによる販路の拡大、食生活の変化が今後の成長要因であると言われているが、消費者視点では冷凍食品の需要はあまり高くない。その理由には市場での購入習慣や外食頻度の高さが挙げられる。
現時点の冷凍食品は種類が豊富ではなく、ライスペーパーを使った春巻きや点心類が5割弱ほどを占めている。社内スタッフに冷凍食品についてヒアリングすると、ほとんどの人が春巻きや点心を食べていると回答した。コールドチェーンの冷蔵冷凍輸送の不足も課題である。投資コストが高くて、高度な技術知識も必須となるため、担い手が少なくて導入が進んでいない。
一方、消費者の冷凍設備は十分と言える状況にある。ベトナム統計総局によると2022年のホーチミン市等の都市部の冷蔵庫普及率は101%。例えば、ホーチミン市の大型家電量販店で販売されているのはほとんどが冷凍庫付き冷蔵庫であり、冷凍設備は十分に普及している。
経済成長を支えるベトナム人労働者にとって、冷凍食品は生活の手助けとなる商品・サービスである。日系企業が冷蔵冷凍輸送に積極的に投資し、多様化を見せ始めた冷凍食品のニーズを把握し、日本で培った独自の商品やサービスを開発する。そんなベトナム市場の攻略に期待したい。