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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想第78回
Consulate General of Japan in HCMC

ベトナム南部に住む日本人ビジネスパーソンの力強い味方、在ホーチミン日本国総領事館。今回で4回目の赴任となる小野益央総領事が見たベトナムの変遷、総領事館の業務、今後のベトナム、ご趣味まで幅広く取材した。

1980年代からのベトナム

小野 外務省に入省後、1986年8月からベトナム語研修生として、ハノイ国家総合大学でベトナム語を1年ほど学びました。その後は1989年秋まで在ベトナム日本国大使館(大使館)で勤務しました。

 当時はちょうど1986年12月の第6回党大会でグエン・バン・リン氏が書記長に就任し、ドイモイ政策を大々的に打ち出したタイミングと重なりました。

 1994年秋~1999年1月に在ホーチミン日本国総領事館(総領事館)に赴任した際は、1995年に新たに導入された「草の根・人間の安全保障無償資金協力」(草の根無償)の、案件形成・実施を担当したことが良い思い出です。

 草の根無償は、1案件当たり1万USD程度と予算的には比較的小規模ですが、迅速に実施できることが特徴です。私が最初に手がけた案件は、ダラットの孤児院施設の増設だったと記憶しています。

 通常、自分の任期中に完成まで見届けることは難しい大規模なODA案件とは異なり、草の根無償案件は、自ら地方を訪れ、現地の方々と対話し、実施して完成まで見届けることができるのでとてもやりがいを感じました。

 当館では、地方の小学校建設や改修、村落の橋の建設、医療施設への医療機材の供与など、これまでに226件(総額約1800万USD)の支援を実施してきています。

小野 数多くの日本企業が進出し、ベトナムの成長に勢いがついた時代でした。インフレ率が高く、米の生産も不足していた1980年代を知る私には、その後、ベトナムがこれほど発展するとは想像できませんでした。日本とベトナムの関係も非常に親密になり、ベトナム研修から自分のキャリアが始まったのはとても幸運だったと感じています。

 ベトナム赴任3回目は2009年秋~2014年1月で、大使館の政務班長として勤務しました。当時は南シナ海問題が前面に出てきた時期でした。2010年のベトナムのASEAN議長国や2011年の第11回ベトナム共産党大会などがあり、様々な政務案件のフォローを行いました。

 2023年4月から現在の4回目の赴任となりますが、直前には、オーストラリアの在ブリスベン日本国総領事館で総領事を務めました。

 オーストラリアには多くのベトナム人が在住しており、ブリスベンにも大きなベトナム人コミュニティがあります。私は毎週のようにそこに出かけて、フォーを食べたり、ベトナムの食材を購入したりしていました。

2025年以降の日越動向

小野 最も大切なのは邦人の方々への支援や保護です。当地での結婚やお子さんの出生などの届出や証明書の発行、パスポートの更新や在外選挙などのほか、事件・事故の被害に遭われた方のサポートも行っています。

 最近ではナイフでカバンを切り裂いて金品を盗む手口やイカサマ賭博などが増えており、総領事館から注意喚起やメール配信を行っています。また、不幸にして病気や事故でお亡くなりになる邦人の方や、重篤な状態になられた方への様々な支援もしています。

 ベトナム人の方たちとの関係では、査証の発給が非常に大きな業務です。申請数が多いのでできるだけ人員を割いて対応しています。

 南部に数多く進出している日系企業のサポートも大事な役割です。例えば、行政手続きなどで問題に直面している企業からの相談を受けて、問題解決のためにホーチミン市や周辺省の関係当局に働きかけるなどを行っています。

 また、日本酒、日本の果物など日本食や日本産食材の普及促進も行っています。日本政府はこれらの輸出拡大を推進しており、ベトナムおよびホーチミン市などはその対象地域となっています。JETROや農林水産省とも協力して、スーパーマーケットなどの流通業者、日本産食材や日本酒などの輸入業者など日越双方の関係企業と情報交換を行っています。2023年11月には、総領事館で日本酒のプロモーションイベントを開催しました。

小野 日本への留学生拡大のため、ホーチミン市元日本留学生クラブ(JUACH)と協力して、日本留学セミナーを実施しているほか、日本語を第2外国語として教えている中学校や高校を対象とした日本語スピーチコンテスト、日本語を学ぶ大学生を対象とした日本映画上映会、また、当館と当地の大学等との共催による着物展示会や小学生のこけしの飾付け体験など、様々な文化交流イベントを行っています。

 毎回、多くの方にご来場いただきうれしい限りです。これからも日本・日本文化に関心を持っていただけるようなイベントを実施していきます。

小野 日越両国の関係は引き続き強化され、ベトナム南部への日本の投資も増えていくでしょう。ホーチミン市周辺省には伸びしろがありますし、多少投資が飽和状態と思われるホーチミン市にも、メトロ1号線の開業という公共交通機関の整備に伴う沿線開発や都市開発(TOD:Transit Oriented Development)がメトロの駅周辺などで始まると思われ、日系企業が関わる機会が増えることを期待しています。

 また、行政手続きの合理化・効率化を目的に、財務省と計画投資省の統合や労働・傷病軍人・社会事業省の分割など、ベトナム政府の大規模な省庁再編が2025年春をめどに行われるようです(取材時)。この動きは、ホーチミン市など地方自治体にも波及する可能性があります。

 機構再編により行政手続きが簡素化され、投資の許認可などが迅速に判断されるようになれば、日本からの投資促進に弾みがつくでしょう。

 また、2025年は米国で新政権が発足します。米国はベトナム最大の輸出先国であり、ベトナム南部の経済・生産活動を行っている日系企業にも影響があり得るので、こちらも注視したいと思います。

小野 趣味というほどではありませんが、週末は健康のためにプールで泳いでいます。1990年代に赴任した際も通っていたプールで、一度に1kmちょっとくらい泳ぎますが、泳いでいる時間と休んでいる時間のどちらが長いのか分かりません(笑)。

 また、語学が好きなので、ベトナム語や英語でニュースや記事を読み、知らない単語を調べるのが楽しいです。洋楽も好きなので、昔は分からなかった英語の歌詞が今はインターネットで見られますので、こんな意味だったのかという発見も面白いです。80年代や90年代の懐メロばかりですが(笑)。

小野益央 Masuo Ono
外務省入省後、1986年にベトナム語研修生としてハノイに赴任。1994年に在ホーチミン日本国総領事館、2009年に在ベトナム日本国大使館に赴任。2021~2023年に在ブリスベン日本国総領事館総領事。2023年4月から現職。