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ベトナムビジネス情報Vol.178
美味しいパンをベーカリーで
VIBS 2024

ベトナム唯一の製パン業界に特化した国際展示会「VIBS(Vietnam International Bakery Show)2024」が2024年12月11~14日に、ホーチミン市7区のSECCで開催された。今後の有望市場に会場は来場者で埋まった。

 2019年に初開催されたVIBSは今回で2回目。会場のB2ホールは決して広くないが、隣のAホールでの2つの展示会とは比較にならないほどの人だかりだった。

 出店したのは約120社で、外資系企業は台湾と中国が多く、台北ベーカリー協会(TBA)の共催とあって台湾のブースはどれも大きく、目立っていた。中国の次に多いのが日本で、入口近くに日本パビリオンのように集合していた。

 会場に並ぶのはパンを作るためのオーブン、ミキサー、スライサー、ホットプレート、包餡機など食品機械、ナイフや鍋などの調理器具、クリームやチョコレートなどの素材、マフィン用の紙カップやギフトボックスまで幅広い。麺用スープの包装機や餃子の試食会といった、ちょっと「?」なブースもちらほら。

 製菓を含めた製パン業界の展示会なので、出来立てのデニッシュ、ペストリー、マフィン、パンケーキ、バタールなどが提供され、来場者は争うように手を伸ばす。いくつかをいただいたがどれも美味しくてふわふわだった。

 4日間を通して開催されていたのが「Vietnam Bakery Cup」。会場奥に広いコーナーが作られ、白いコックコートと帽子姿の職人がパンやケーキを作る。報道によれば皆がプロのパティシエ、パン職人、料理人などで、国際ベーカリーコンテストで豊富な経験を持つベトナム人や国際審査員が評価したそうだ。

 中でも目を引いたのが大サイズのデコレーションケーキ。家、城、宝箱などの形をした色合いも豊富なケーキが並び、来場者のスマホ撮影が止まらない。

 来場者はベトナム人が中心で、特に若い人が多いと感じた。ベトナムの平均年齢が低いせいだけでなく、製パンという若い業界が彼らを引き付けているのかもしれない。

 東京都大田区の三幸機械は初回に続いて2回目。業務用のオーブンメーカーで、当地の日系企業や地場ベーカリーに何十台も製品を納入している。

「製菓・製パン専門の展示会なので、業界に携わる方にピンポイントでお会いできます。いわば全員がお客様です」

 ベトナム市場はまだ小さいが拡大が「わかっている」ので、先んじてアピールしに来た。日本や各国で似た展示会はあるが、VIBS 2024の来場者のほとんどは他国まで行かず、この場の出展企業や展示品が全てのはず。だから効果も高い。

 展示したのは3段タイプの大型オーブンで、入口正面という立地もあり、来場者が途切れない。商談となったのは従来の顧客も、新規の来場者もいる。

 経済が発展するとパンなどの嗜好品が好まれ、関連企業が必要とされる。ただ、展示会での即売は珍しく、その後の商談や、3~4年後に受注となるケースも多い。大型工場などは3~5年の計画となるからだ。

「どこの機械を使うかって時に、どのメーカーを知っているかがカギです。だから5年、10年先を考えて、これから売れる国に最初に出ていく必要があるのです」

 製菓中心の食品機械と菓子生産の食品製造を事業とする埼玉県所沢市のマスダック。パステルカラーの可愛らしいブースが注目を集め、小型のどら焼き機で作る試食品に長い列ができた。

「トッピングを入れたり、ジャムでアクセントを付けたり、こちらの人にどうやったら受けるかを試しています。卵を使わないパンケーキも美味しいですよ」

 世界で累計約3000台のどら焼き機を販売したニッチトップ企業。東南アジアではタイやインドネシアは取引が拡大しているが、ベトナムはリピートオーダーが少なかった。そこで現法のMASDAC SOUTH EAST ASIAを2024年1月にホーチミン市に設立した。

 ベトナムで主力としたのは上記の卓上パンケーキクッカー。原材料やレシピを一緒に提案しており、ベーカリーだけでなくレストラン、カフェ、コンビニなどもターゲットで、台湾ではジェラート店にも置かれている。

「自分で店舗を始めたい方、値段を聞かれる方、機械の合理化をしたい方など様々で、お会いできていなかったお客様も来ていただきました」

 ベトナム現法は東南アジア各国を見る拠点でもある。ホーチミン市を選んだのは「流行りに飛びつく」傾向が強いからだ。

 クロワッサンの自動成形機で有名な栃木県宇都宮市のレオン自動機。2回目の出展だが、ベトナムには30数年にわたって製品を納入している。

 そのひとつが他の日本企業とも取引がある地場大手のABCベーカリーで、社長のKao氏がVIBSの発起人だという。ABCベーカリーはベトナム国内約40店舗のほかカンボジアにも出店しており、創業者のKao氏は立志伝中の人物として知られる。

「彼がベトナムのベーカリー業界を発展させたいと各社に呼びかけたのがVIBSのきっかけです。TBAの協力も彼の人脈によるものです」

 ベトナムの製パン業界が伸びているのは肌で感じており、取引先も広がっているという。特に若い世代がビジネスの主役になっていくと、米文化から小麦文化に変わっていくと見ている。Kao氏の試みは5年後、10年後に必ずつながると確信している。

 ABCベーカリーのブースはひときわ大きくカラフルで、来場者にバインミーを提供していた。その列には50人以上が並び、同社への信頼を表していた。

 東京都中央区のクレオは業務用洗浄機メーカー。ベトナムではこれまで代理店と一緒に出展していたが、今回は初めてCREO INTERNATIONALとして単独出展した。

「洗浄機はうちだけで、これは1番小さい機械。本当は大型が主力ですが、大きすぎて置けないからビデオで(笑)」

 洗浄機の導入は「二の次」と語る。ものを生み出す食品機械の次に「衛生」が求められるためで、隣国のタイを例に挙げた。この5年ほどで大きく市場が拡大し、同社も事務所を設立した。

 ベトナムは若者が多くて人口も増加しており、「大化けする要素」を持っていると語る。その際の競合と想定しているのが欧州のメーカー。欧州市場が頭打ちになる中で中国などのアジアに生産拠点を作り、そこから輸出するので価格が抑えられるのだそうだ。

 既に商談の話がいくつかあり、1番多いのは製菓・製パン関連、次が食材として鳥、肉、魚などを扱う企業だ。

 食品向けや化学用の業務用ミキサーを製造販売する埼玉県戸田市の愛工舎製作所は、初回に続いて2回目の出展だ。

「5年前は中国人が多かったのですが、今回は来場者が全然違うので驚きました。ベトナム人の方がとても増えています」

 主力製品として洋菓子店用とパン店用の2台のミキサーを展示。これまでの3日間で商談につながりそうな会社は10社弱あり、製菓・製パンメーカーが中心だが、化学系、油脂系などと幅広く、ベトナム企業や日系企業と様々だ。

「どうしても日本製品は価格が高い。ただ、それは多分来場者もわかっていると思います」

 大阪府大阪市の製菓機器メーカー型久堂は、中井機械工業と共同出展し、共に初出展だ。シュークリームの中にクリームを、最中にあんこを入れるような充填機が主力商品で、タイやミャンマー、韓国、中国、台湾、香港などに輸出しているが、ベトナムは案件がまだないそうだ。

「日本の充填機メーカーとしてまずは知っていただく。認知度はないので、弊社をお客様にお伝えすることがスタートだと思っています」

 展示したのは出来上がったマフィン、どら焼き、羊羹などと、焼き菓子、エクレア、シュークリームなどを作る工程のビデオ。全自動のラインを入れたい、パンの中にクリームを充填したいなど、ベトナムの製菓・製パンメーカーや韓国企業からの相談があったそうだ。ただ、楽観視はなしていない。

「これから何度かベトナムに来て、お客様とお会いすることがとても大事になると思っています」

 大阪府四條畷市の中井機械工業は食品機械メーカーで、展示したのは縦型ミキサーのホットミックス。ケーキの生地やスポンジを作るためのミキサーは多いが、加熱も含めた全自動型だ。

 通常は生地が入ったボールの下からバーナーで加熱するが、二酸化炭素、火事、火傷等の危険があり、微妙な温度管理も難しい。IH加熱で微妙な温度管理まで自動化できるのは他社にないと語る。

「日本では大手製パンメーカーさんのフランチャイズ店などに納入しています。ベテランでない素人さんでも対応できますから」

 ニーズの理由はまず人件費で、日本、韓国、中国などで人件費の向上によって自動化が進んだ。次は事故の防止で、韓国企業では問題意識が高まっているという。この2つが重視されなければ、「半自動で良い」となってしまう。

「これまでの商談は3社で、すぐにも欲しいとのこと。韓国系企業さんからは韓国での納入先を聞かれ、著名な企業ばかりなので安心されていました」