忙しすぎて気づかず…ミシュラン掲載に本人も驚き
2025年6月5日夜、ダナン市で発表された「ミシュランガイド・ベトナム2025」にて、ハノイのフォーロールの店「フォー・クオン・チン・タン(Phở Cuốn Chinh Thắng)」が「ミシュラン・セレクテッド」に選出された。
この栄誉に、店主のグエン・ゴック・カインさんは「まったく知らなかった」と話す。発表当日も通常どおり客対応に追われ、常連客からの祝福メッセージで初めて掲載を知ったという。
ミシュランの招待状メールを見逃し…実感は翌朝に
カインさんは、「5月初旬にミシュランからイベント招待のメールが届いていたが、忙しすぎて開封できていなかった」と話す。実際に掲載を知ったのは、発表の翌朝、常連客からミシュランの公式リストに店名が掲載されている写真が送られてきた時だった。
「いつ、誰が来てどのように評価してくれたのかは分かりませんでした。でも、この評価は私たちにとって忘れられない出来事です」と、カインさんは話す。
高級路線にせず、庶民価格を維持
カインさんはこの名誉を受けても、店のスタイルを変えるつもりはないという。「価格を上げたり、内装を高級化したりはしませんよ。シンプルさと誠実さがフォーロール(フォークオン)の魅力なんです」とカインさんは強調した。
小さな店からミシュラン掲載店へ:チン・タンの軌跡
チン・タンは、ハノイの14の新規ミシュラン・セレクテッド対象店の1つとなった。20㎡にも満たない小さなスペースに、シンプルな路上のテーブルと椅子。決して豪華とは言えないが、20年以上変わらぬ「本場の味」が支持されてきた。
看板メニューの「フォーロール」は、もちもちのライスヌードルに牛肉や香草を巻き、甘酸っぱいタレ(ヌックチャム)でいただく。他にも「フライドフォー」や「フライドエッグフォー」などのメニューがあり、価格はいずれも4〜8万ドン(約250〜500円)とお手頃だ。
海外からの来店客も増加中
現在、来店客の約30%は外国人観光客で、特に日本人・韓国人からの人気が高い。味だけでなく、親しみやすい雰囲気や手頃な価格が支持されているようだ。
フォーロール:誕生の背景と全国への広がり
フォーロールは、2000年代初頭にハノイのグーサー通りで誕生した比較的新しい料理である。発案者であるブー・ティ・チンさんによれば、「暑くてスープ入りのフォーが売れず、冷たい巻き物を考案した」とのこと。偶然の発想から生まれたこの料理は瞬く間に人気を博し、ハノイ中に広がった。
各地に広がる進化系フォーロール
現在では全国に普及し、地域の特色に応じてエビ、卵、生野菜を加えるなどのアレンジも多い。中にはライスペーパー(バインチャン)で巻く「メコンデルタ風フォーロール」も登場。また、フォーの皮を四角く切って揚げた「フライドフォー」も人気メニューとして定着しており、特に冬季には注文が多い。
世界が注目:国際的な評価と拡散
フォーロールは近年、CNN Travel、TasteAtlas、The Culture Tripなどの国際メディアにおいて、「ベトナムを訪れたら食べるべき料理」として紹介されている。TasteAtlasでは「世界の絶品ロール料理50選」にも選出されている。
フォーロールの本質は「シンプルで誠実な味」
一介の路地裏食堂から、世界的なグルメガイドのミシュランに名を連ねるまでに成長したフォー・クオン・チン・タン。その物語は、「本物の味」こそが世界に通用するということを証明している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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