「3つのない」状態に置かれる歩く宝くじ売り
ベトナム南部の宝くじ市場は、2025年に21社で総売上155.5兆VND(約9418億円)を達成し、国家予算には約52兆VNDが納付されるなど、巨額の利益を生み出している。しかし、日々路上で宝くじを販売する「歩く宝くじ売り」は、法的に「3つのない」状態に置かれている。すなわち、雇用契約なし、強制保険未加入、安全労働保護なしである。
歩く宝くじ売りはリスクを自ら負う
ハノイの弁護士であるグエン・ディン・テー氏によれば、歩く宝くじ売りは自らの判断で販売活動を行い、売れ残った場合は自己負担で損失を被るなど、すべての事業リスクを自分で負っている。
法律上は、彼らは「独立した小規模商業活動者」とされ、正式な流通システムの一部とは見なされない。このため、代理店としての登録や信用枠も制限され、「買い切り・部分販売」の取引しかできない。
労働者として認められない理由
歩く宝くじ売りは、1日12〜16時間勤務し、祝祭日も販売活動を行うにもかかわらず、労働者として扱われない。理由は労働法(2019年版)における「労働関係」の要件を満たさないためである。
- 固定賃金なし:報酬は販売価格の差益(約10%の手数料)に依存
- 管理なし:時間・場所・販売方法は自己判断
- 事業リスクを自己負担:売れ残りや偽券、交通事故なども自己負担
テー弁護士は「労働者は事業リスクを負わないが、歩く宝くじ売りはすべて自分で背負う。この本質的な違いが問題だ」と指摘する。
社会保障制度の外に置かれる現状
労働者として認められないため、歩く宝くじ売りは社会保険・医療保険などの強制制度から外れている。任意加入の社会保険は月収の約22%で、低所得者には大きな負担となる。
現在の法律では、このグループ向けの特別な社会保障制度はなく、災害や事故時の補償も事実上任意や慈善に依存している。
専用保護メカニズムの必要性
テー弁護士は、歩く宝くじ売りに対して専用の法的保護メカニズムを構築すべきと主張する。提案されている3つの解決策は以下の通りである。
- 法的な明確な定義:特別関係労働者や個人小売代理として契約・事故保険を整備
- 宝くじ業界の社会保障基金設立:利益の1〜2%をリスク・医療支援に充当
- 代表組織設立:労働組合や協会を通じて権利保護と法的支援を提供
テー弁護士は、「代表組織があれば、これまで分散し弱体化していた声をまとめることができる」と指摘する。歩く宝くじ売りの保護は、社会保障だけでなく、公平性と責任の観点からも重要であり、法的枠組みの整備が政策の人間性を測る尺度になるという。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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