インフレ率は4%超、生活への負担感が拡大
ベトナム統計総局が6月3日に発表した統計によると、2026年1~5月のコアインフレ率は前年同期比4.04%上昇した。一方、消費者物価指数(CPI)の平均上昇率は4.31%となり、インフレ圧力が引き続き高まっている。
5月単月のCPIは前月比0.29%上昇した。猛暑による電力・水道使用量の増加に加え、住宅賃料、建設資材、ガソリン価格の上昇が主な要因となった。
住宅・光熱費・建設資材グループは前月比0.96%上昇し、特に住宅賃料は0.71%、電気料金は2.38%、水道料金は1.41%上昇した。
また、交通費関連も0.83%上昇し、ガソリン価格は2.12%上昇したほか、自動車・二輪車運転免許取得費用も上昇した。
統計総局によると、2026年最初の5か月間で35.3%の世帯が「商品・サービス価格の上昇による影響を受けている」と回答しており、物価高が家計に重くのしかかっている実態が明らかになった。
貿易総額は25%増加、輸入の伸びが輸出を上回る
2026年5月の輸出入総額は990億7,000万USDとなり、前年同月比25.8%増加した。
1~5月累計では4,451億2,000万USDに達し、前年同期比25%増となった。
輸出額は5月単月で469億3,000万USD、1~5月累計で2,156億6,000万USDとなり、前年同期比19.5%増加した。
輸出額が10億USDを超えた品目は26品目に達し、このうち7品目は100億USDを超えた。
一方、輸入額は5月だけで521億4,000万USDとなり、1~5月累計では2,294億6,000万USDに達した。前年同期比では30.8%増加しており、輸出の伸びを大きく上回っている。
輸入品の94.1%は生産設備や原材料などの生産関連財であり、生産活動拡大に伴う需要増が背景にある。
米国向け黒字拡大、中国向け赤字は625億USD
国別に見ると、米国は引き続きベトナム最大の輸出市場であり、1~5月の輸出額は696億USDに達した。
対米貿易黒字は604億USDとなり、前年同期比21.1%増加した。
一方、中国からの輸入額は926億USDに達し、ベトナム最大の輸入先となっている。
対中貿易赤字は625億USDとなり、前年同期比36.4%増と大幅に拡大した。
貿易収支は138億USDの赤字に転落
統計局の速報値によると、5月単月の貿易収支は52億1,000万USDの輸入超過となった。
その結果、2026年1~5月累計の貿易収支は138億USDの赤字となった。
前年同期は51億USDの貿易黒字であったことから、大きく状況が変化したことになる。
経済主体別では、
- 国内企業部門:207億6,000万USDの輸入超過
- 外資系企業部門(原油含む):69億6,000万USDの輸出超過
となった。
電子部品やエネルギー関連の輸入増が目立つ
輸入超過額が大きい品目としては、
- 電子機器・コンピューター・部品:320億USD
- 石油製品:43億USD
- プラスチック原料:41億USD
- 石炭:36億USD
- 原油:29億USD
- 化学品:27億USD
などが挙げられる。
これらの多くは製造業向けの原材料や設備であり、生産・輸出拡大のための投資的な輸入と位置付けられている。
専門家「現時点では過度な懸念は不要」
輸入超過の急拡大について、多くの経済専門家は「生産財輸入の増加が主因であり、現時点では過度に懸念する必要はない」と分析している。
一方、RMIT大学ベトナム校の国際ビジネス上級講師であるブー・ティ・キム・オアン氏は、輸入超過が長期化する場合には注意が必要だと指摘する。
特に、
- 不要不急の消費財輸入の増加
- 物流コストの上昇
- エネルギー価格の高騰
などによって輸入構造が変化した場合は、経済への影響を慎重に見極める必要があるとしている。
同氏は今後について、「2026年もベトナムの輸出入総額は引き続き増加する可能性が高いが、2025年と比較すると貿易黒字は大幅に縮小するだろう」との見通しを示した。



















